稀代のヒットメーカーである伊丹十三が監督した全10作品、集めてみました。
2020年2月23日 更新

稀代のヒットメーカーである伊丹十三が監督した全10作品、集めてみました。

1984年の初監督作品「お葬式」から1997年の遺作となった「マルタイの女」まで伊丹十三が監督した全部で10本の作品を集めてみました。笑える、泣ける、感動する。どれもこれも観てソンなし!の面白いものばかりですよ。

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【あらすじ】
地上げ屋の脱税を調べていた板倉亮子。
だが、その裏にはヤクザ、宗教法人、銀行、さらには政治家といった大きな力が働いていた。
彼らは税金のかからない宗教法人を隠れ蓑にしていたのだ。
亮子の地道な潜入捜査により、ついに脱税の確信を掴んだマルサは天の道教団に乗り込み、証拠を押収するが…。
前作が大ヒットし、“マルサ”という言葉が一般に普及したこともあり、第2弾「マルサの女2」が1988年に公開されました。これが「マルサの女」以上のヒットとなったのですから素晴らしいです。そもそも伊丹十三が国税局査察官を主人公にした映画を撮ろうと思ったのは「お葬式」で得た収益を莫大な税金に取られたことで、税金や脱税に興味を持ったからだそうですよ。

あげまん

「マルサの女」、「マルサの女2」の成功によって伊丹十三は映画監督の地位を不動のものにしたといっていいでしょう。勢いそのままに1990年に公開された「あげまん」。“マルサ”といい、“あげまん”といい、気を引くタイトルを付けてきますよねぇ。

「あげまん」予告編

捨て子だったナヨコは芸者の置屋にあずけられ、やがて僧侶・多聞院と結婚する。多聞院の位はめきめきと高くなっていくが、しばらくして多聞院は病死。その後、ナヨコが出合った銀行員・鈴木主水もどんどん出世していく。「彼女と恋仲に落ちる男は運気が上昇する」といった噂が巷で広がりつつある中、彼女の“あげまん”ぶりに政界の黒幕である大倉善武も目を付けていた…。
宮本信子、津川雅彦、大滝秀治、橋爪功に菅井きん。いつものメンバーですが、いえ、いつものメンバーであるだけに安定感があります。役にもピッタリ。伊丹十三作品はどれも理屈抜きに面白いわけですが、その秘密はキャスティングの妙にもありますね。そう言えば、伊丹十三は役者のアドリブを一切認めなかったそうですよ。

ミンボーの女

伊丹十三の6作目は1992年公開の「ミンボーの女」。ミンボー、これはまた面白いところに目を付けましたね。ちょうど「暴力団対策法」が施行された時だったので注目を集め、「マルサの女2」を上回る大ヒットとなりました。もう、伊丹十三はヒットメーカーですね。

伊丹十三[ミンボーの女]予告編

東京の名門ホテル、ロイヤルコートはそれまで許していた暴力団の逗留を禁じようとしたところ、逆に彼らを刺激して事態を悪化させてしまう。かくしてホテルは、民事介入暴力(ミンボー)専門の名うての弁護士・井上まひる(宮本信子)を雇うことに。彼女の指導によって、ホテルは暴力団排除の技術を身につけていくのだが……。
映画はまたしても大ヒットしましたが、事件が起こります。作品に暴力団を取り上げたことが災いしました。公開直後、刃物を持った後藤組のヤクザに伊丹十三が自宅近くで襲われ、全治3ヶ月の重傷を負ってしまったのです。それでも伊丹十三は気丈に「私はくじけない。映画で自由を貫く」と言い放ったものの、翌年公開された監督7作目の「大病人」の上映中に暴力団組員がスクリーンを切り裂くという事件も起こりました。

大病人

余命1年となった男の残りの人生をどう生きるかということをコメディを交えながら描いた1993年の「大病人」。病人です。癌なんです。シリアスなテーマを重くなりすぎないように描いているところが伊丹十三です。

伊丹十三[大病人]予告編

俳優兼映画監督の向井(三國連太郎)は、自分が癌に侵されていることを知らされないまま手術して退院するも、仕事中に倒れて再入院。自分の病気にうすうす気づき始めた彼は、次第に自暴自棄になっていき、彼との離婚を決意している妻・万里子(宮本信子)や医師の緒方(津川雅彦)を困惑させていくが……。
死という重いテーマ。このテーマは伊丹十三が暴力団に襲われ生死を彷徨ったことと恐らく無関係ではないでしょう。

静かな生活

1995年に公開された8作目「静かな生活」は、伊丹十三作品において初めての原作ものです。原作はノーベル文学賞作家の大江健三郎による小説「静かな生活」。伊丹十三は大江健三郎にとって義兄になります。まぁ、そんな関係もあって映画化となったのでしょう。

A quiet Life 「静かな生活」 - Trailer 予告編

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