稀代のヒットメーカーである伊丹十三が監督した全10作品、集めてみました。
2020年2月23日 更新

稀代のヒットメーカーである伊丹十三が監督した全10作品、集めてみました。

1984年の初監督作品「お葬式」から1997年の遺作となった「マルタイの女」まで伊丹十三が監督した全部で10本の作品を集めてみました。笑える、泣ける、感動する。どれもこれも観てソンなし!の面白いものばかりですよ。

5,298 view

伊丹十三

伊丹十三。ちょっと変わった方ですね。職業はと言えば、映画監督、俳優、エッセイスト、商業デザイナー、イラストレーター、CMクリエイター、ドキュメンタリー映像作家ということになります。一般に知られるようになったのは、やはり俳優としてでしょう。
伊丹十三

伊丹十三

本名:池内 義弘(いけうち よしひろ)
別名義:池内 岳彦(いけうち たけひこ)、伊丹 一三(いたみ いちぞう)
生年月日:1933年5月15日
没年月日:1997年12月20日(64歳没)
出生地:京都府京都市右京区鳴滝泉谷町
活動期間:1959年~1997年
多くのテレビ、映画に出演していますが、「北京の55日」や「ロード・ジム」といった海外の映画にも出ているんですよ。晩年まで俳優としての活動は続けています。しかし、80年代からは映画監督としての存在感が大きいように思えますね。伊丹十三が監督した映画作品は全部で10本。そのほとんどの作品が話題となりヒットしています。

お葬式

厳密に言うと伊丹十三が監督した作品は11本あります。最初の監督作品は、1962年の自主短編作品「ゴムデッポウ」なのですが、その時の芸名は伊丹 一三。伊丹 十三に改名したのは1967年です。ですので、伊丹 十三名義での監督作品は全部で10本。最初となる監督作品は1984年の「お葬式」です。
 伊丹十三DVDコレクション お葬式

伊丹十三DVDコレクション お葬式

【あらすじ】
井上侘助(山崎努)とその妻・千鶴子(宮本信子)、ともに俳優のふたりがCMを撮影中に、千鶴子の父・雨宮真吉(奥村公延)が死んだとの知らせが入った。ふたりは、マネージャーの里見(財津一郎)らとともに伊豆の病院へ向かい、千鶴子の母・きく江(菅井きん)を喪主に、通夜と葬式を執り行うことになるが……。
俳優・伊丹十三の記念すべき監督デビュー作。エッセイストとしても著名な彼は、妻・宮本信子の父の葬儀を体験し、死という悲しい出来事の中、繰り広げられる滑稽な出来事の数々に驚き、それを基にまさにエッセイのような映画を作り上げた。争議を経験したことのある者なら実によくわかるエピソードが満載だが、やがては人間讃歌をかなであげていく手腕がお見事。ラストの菅井きんの挨拶のシーンは感動ものだ。またそれぞれつぼをわきまえたキャスティングも絶品である
不謹慎と思われた方も多かったようです。葬式をコミカルに描くなんて。または地味と思われた方も多かったみたい。映画の題材としてですね。しかし、そうした予想を覆してこの映画は大ヒットしました。そして日本アカデミー賞を始めとして多くの映画賞を総なめにしたのです。
宮本信子や山崎努など、この後、伊丹十三作品の常連となる俳優たちが圧倒的に素晴らしいです。伊丹十三の演出も妙に細やかで、とても初監督作品(商業映画としては)とは思えない完成度です。

タンポポ

2作目を作るのは難しいと言います。1作目が大ヒットした場合は特に。伊丹十三が2作目に選んだテーマはラーメンです。1985年公開作品「タンポポ」がそれです。

タンポポ予告編

【あらすじ】
タンクローリーの運転手が、さびれたラーメン屋を経営している美しい未亡人に惹かれるままそのラーメン屋を町一番の店にするまでを、他に13の食べ物にまつわるエピソードを織り交ぜて描く。
タンクローリーの運転手ゴローとガンは、ふらりと来々軒というさびれたラーメン屋に入った。
彼らにラーメンの味が今一つと指摘されてから、店の女主人タンポポは様々な協力を経ながら商売繁盛を夢見てラーメン作りに没頭する。
前作に続いて主演の山崎努、宮本信子を中心に、役所広司、渡辺謙、更にはこの後常連となる津川雅彦、大滝秀治等がしっかりと脇を固めています。

マルサの女

今でもファンの多い「タンポポ」ですが、収益としては「お葬式」には遠く及びませんでした。となると、これからも監督を続けていけるかどうかの勝負がかかる3作目。伊丹十三にとっては非常に重要です。2年間のインターバルを経て、満を持して持ってきたのは「マルサの女(1987年公開)」でした。
マルサの女

マルサの女

監督・脚本:伊丹十三

製作:玉置泰、細越省吾
出演者:宮本信子、津川雅彦、山崎努、小林桂樹、大地康雄、大滝秀治、室田日出男、桜金造、マッハ文朱、志水季里子、絵沢萠子、芦田伸介、伊東四朗、佐藤B作、橋爪功、小沢栄太郎、岡田茉莉子

音楽:本多俊之
撮影:前田米造
編集:鈴木晄
公開:1987年2月7日
上映時間:127分
【あらすじ】
港町税務署のやり手調査官・板倉亮子は、管内のパチンコ店の所得隠しを発見したり、老夫婦の経営する食品スーパーの売上計上漏れを指摘するなど、地味な仕事を続けている。そんなある日、実業家・権藤英樹の経営するラブホテルに脱税のにおいを感じ、調査を行うが、強制調査権限のない税務署の業務の限界もあり、巧妙に仕組まれた権藤の脱税を暴くことができずにいた。
そんな中、亮子は強制調査権限を持つ東京国税局査察部の査察官(通称「マルサ」)に抜擢される。着任早々に功績を挙げ、やがて仲間からの信頼も得るようになった亮子。ある日、権藤に捨てられた愛人・剣持和江からマルサに密告の電話が入る。亮子は税務署員時代から目をつけていた権藤の調査を自ら進んで引き受ける。亮子の努力が実を結び、権藤に対する本格的な内偵調査が始まる事になった。暴力団・政治家・銀行が絡んだ大型脱税との戦いが始まった。
国税局査察官、通称マルサ。ということで、今回は脱税がテーマです。伊丹十三という人はホントにテーマの見つけ方が上手い。しかもシニカルなテーマをユーモアを込めて描くんですからね。結果、「マルサの女」は「お葬式」を超える大ヒットとなりました。
また、第11回日本アカデミー賞においては、最優秀作品賞、主演女優賞(宮本信子)、主演男優賞(山崎努)、助演男優賞(津川雅彦)、監督賞(伊丹十三)、脚本賞(伊丹十三)を受賞。ほぼ主要部門を独占しています。足の不自由な男を演じた山崎努も素晴らしいですが、オカッパ頭にそばかすという奇抜な役作りに成功した宮本信子は見事です。

伊丹十三[マルサの女 2]予告編

52 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

大ヒット映画作品を連発した映画監督『伊丹十三』家族・死因・本当に自殺?等々!!

大ヒット映画作品を連発した映画監督『伊丹十三』家族・死因・本当に自殺?等々!!

大ヒット映画作品を連発した映画監督で有名な伊丹十三監督。元々はマルチタレントとして活躍されていて実は監督デビューは51歳と遅咲きだったと言います。そんな伊丹さんを色々まとめてみました。
ギャング | 6,834 view
80年代の日本アート・シアター・ギルドの作品紹介

80年代の日本アート・シアター・ギルドの作品紹介

ATGこと日本アート・シアター・ギルド。映画好きにはこたえられない優れた作品を配給し続けたことで知られています。今回は若手の映画監督を積極的に起用した80年代の代表作を紹介します。
obladioblada | 558 view
独創的な演出が新しかった!堤幸彦さん演出のドラマ

独創的な演出が新しかった!堤幸彦さん演出のドラマ

テレビドラマで脚本家が注目されることはあっても、演出家が注目されるのは珍しいと思います。堤幸彦さんは斬新な演出で注目を集めました。堤幸彦さん演出のドラマをまとめます。
saiko | 220 view
戦後の日本映画黄金時代とは!

戦後の日本映画黄金時代とは!

日活、松竹、東宝、大映、東映の映画会社が牽引していた日本映画黄金時代を調べてみました。
芸人映画監督のパイオニア・北野武さん作品をまとめてみた!

芸人映画監督のパイオニア・北野武さん作品をまとめてみた!

最近は芸人が映画監督をすることも珍しくないですがそのきっかけをつくったのはやはり北野武さんといえるでしょう。北野さんの映画作品を振り返ってみました。
saiko | 196 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト