幅広いバリエーションの全155話
TV第1シリーズ後半の“マイルド”なルパンを基本線として守ったことによる受け入れやすさなど、人気を博した理由は多々あれど、その最大の魅力は多彩な制作陣によるハナシのバリエーションの広さにあるのではないでしょうか。
(本放送時は低視聴率で打ち切りになった第1シリーズは、筆者のような田舎の子どもには当時観ることができなかったかもしれませんしね、、T.T)
赤ジャケルパンを彩った才人たちの仕事を確認しながら、ルパン三世を振り返ってみましょう。
原作 モンキー・パンチ
シリーズ構成 大和屋竺(途中から)
キャラクターデザイン 北原健雄
音楽 大野雄二
アニメーション制作 東京ムービー
製作 東京ムービー新社
放送局 日本テレビ系列
放送期間 1977年10月3日 - 1980年10月6日
話数 全155話
ルパンと仲間ととっつぁんと
シリーズごとにキャラクター造詣には微妙に違いがあったりしますからね。
フランスの怪盗アルセーヌ・ルパンの孫。世界を股にかける大泥棒。盗みの頭脳と技量に関しては天才的で、変装の名人でもある。
女たらしの三枚目。自ら三枚目を自認する振る舞いは、この第2シリーズで定着したキャラクター。
原作漫画や第1シリーズ前半ではダークな雰囲気もあり、殺しも冷酷に行い、セックス描写や類するものあるが、今作のルパンは進んで殺人を行うこともないし、セックス描写もなく、比較的親しみやすい造詣になっている。ただ、直接的な殺人シーンは少ないものの、今作でもルパンが直接間接に殺人を行っている回は存在する。
また、ルパンをボスとするルパン帝国なる秘密の組織の設定も今作では消え、ルパン単身か、次元、五右ェ門、ときに不二子という数少ない定まったメンバーで仕事にかかる一匹狼的な存在となっている。
今作では赤いジャケットがトレードマークとなっている。
次元大介 声:小林清志
S&W M19 コンバット・マグナムを使う凄腕ガンマン。ルパンの相棒。
以前は、殺し屋、ボディガード、傭兵などさまざまな裏稼業についていたと思われる。
ソフト帽がトレードマーク。ヘビースモーカー。
石川五右ェ門 声:井上真樹夫
安土桃山時代の盗賊石川五右衛門、十三代目の子孫。斬鉄剣を使う剣の達人。
着物に袴、雪駄履き。
原作漫画や第1シリーズでは、ルパンの敵として登場し、その後仲間となってからもルパンたちとは独自の距離をおいているが、今作では最初からルパンの仲間として登場する。
峰不二子 声:増山江威子
グラマー美女。自らの欲望に忠実な悪女で、目的のためならためらいなくルパンらを裏切り、獲物を横取りしたりする。
ただルパンは彼女にべた惚れしており、「裏切りは女の特権」といって、何度騙されても彼女の頼みを聞いてしまう。不二子との戯れ合いとして楽しんでいる節もある。ただし彼女の頼みはすべて聞き入れるわけではなく、彼の信念に反することなどは断ったりもする。
ルパンのことを憎からず思っているが、彼に盗みを働かせるためなど以外で擦り寄ることは少ない。
銭形警部 声:納谷悟朗
銭形幸一。ルパン逮捕に執念を燃やす、警視庁の警部。ICPOに出向しており、ルパン専任捜査官。銭形平次の子孫。
縄を付けた手錠を投げかけ、相手を生け捕りにする技術を持つ。また、先祖代々伝わる十手を所持。
ルパンを飽くまで泥棒として逮捕(=生け捕り)することを悲願としており、殺害しようとする企みはたとえ味方のものであっても妨害している。また、彼を殺人者などとする扱いには断固反対している。実際、何度かルパン逮捕に成功しているが、その度に逃げられている。
彼との間に奇妙な友情が結ばれており、ルパンの死(の偽装)には号泣し仇を取ろうとしたり、彼との共闘をとったりしたこともある。
ベージュのバーバリー製トレンチコートと同色のソフト帽がトレードマーク。
2ndルパンの豊潤を生み出した才人たち
第52話から監修にはいった映画監督鈴木清順氏人脈の映画人など、
脚本演出のその主だった才人たちをご紹介していきます。
先陣きるベテランの手腕、山崎忠昭
1960年から、フリーの立場で日活の無国籍アクションの脚本・企画にかかわるようになり、池田一朗に師事。『明日が私に微笑みかける』で脚本家デビューする。代表作に、鈴木清順監督の『野獣の青春』、岡本喜八監督の『殺人狂時代』(日活用に書いた脚本がボツとなり東宝で映画化された)と、日本映画史に残るカルト映画がある。
その後、テレビの世界に活躍の舞台を移し、黎明期のテレビアニメの世界で『ハリスの旋風』『巨人の星』『ムーミン』『ルパン三世』などの脚本にかかわる。多くの作品でその第一話を担当した。
奇妙なギャグを考える才能が有名で[1]『九ちゃん!』などのバラエティに参加。『ウィークエンダー』などのワイドショーの台本も担当した。
第1シリーズ終了後にバラバラに散っていたルパン一味(と銭形。銭形はなんと信州の片田舎の駐在所にとばされていました(!)^^;)がルパンの招集で「同窓会」と思いきや、それは偽の招待状による罠で、、という導入が楽しくみごとな、第1話「ルパン三世颯爽登場」。
この黒幕は、第1シリーズにも登場してルパンをつけ狙った、犯罪シンジケート・スコーピオンの首領ミスターXなのですが、倒されたはずの彼がまたルパンに立ちはだかる、65話「ルパンの敵はルパン」も山崎氏の手によるものです。
ハードボイルドの味わい、大和屋竺
1966年、鈴木清順を中心とする脚本家グループ「具流八郎」を木村威夫、田中陽造、曾根中生、岡田裕、山口清一郎、榛谷泰明とともに結成。変名に「出口出」、「大山村人」、「大谷義明」、「日野洸」、「小南洋人」がある[要出典]。
『裏切りの季節』(1966年)、『荒野のダッチワイフ』(1967年)、『毛の生えた拳銃』(1968年)を監督[1]。
1973年、『愛欲の罠』を監督する[2]。
次元の悲恋と、彼とルパンが対決する嵌めに陥れられるハードボイルドな、第26話「バラとピストル」がかっこよい!
目の見えない娘の手術費のためにルパンと対峙する老兵と、彼女に天使と思い込まれた五右ェ門の哀しい優しさが胸を打つ、第103話「狼は天使を見た」も同じくハードボイルドな味わいです。
後述のカリオストロの城なぞより断然、ルパン三世ものとして筆者が評価する、劇場映画化第1作「ルパン三世 ルパンVS複製人間」の脚本も、大和氏であります。
若松プロ 筋金入り、高橋伴明
奈良県奈良市出身。華道の家に生まれる。東大寺学園高校卒業、早稲田大学第二文学部中退。大学時代には映画研究会に所属し、学生時代からピンク映画の現場でアルバイト生活を送る。同時に学生運動にも身を入れ、第二次早稲田大学闘争に参加したことで、大学を除籍されて中退。
1972年にピンク映画『婦女暴行脱走犯』で監督デビュー。
1975年、若松プロに参加。1980年までは主としてピンク映画で活躍し、ピンク映画界では若手監督として中村幻児と並び称される存在だった。
1982年、自身初となる一般映画『TATTOO<刺青>あり』を監督。1979年の三菱銀行人質事件の犯人に材を取り、キネマ旬報ベストテンの6位、ヨコハマ映画祭監督賞を受賞。同作でヒロインを演じた関根恵子と同年2月から交際し6月に結婚。大島渚と小山明子夫妻が仲人を務めた[2]。
1982年には1979年から主宰していた高橋プロを解散して、監督集団「ディレクターズ・カンパニー」に参加。1984年に小林よしのりが原案・脚本を担当した石井聰亙監督作品『逆噴射家族』のプロデューサーを務めた。
1990年に東映Vシネマで『ネオチンピラ・鉄砲玉ぴゅ〜』を監督。同作で東映上層部の反対を押し切り、当時はまだ無名だった後の「Vシネの帝王」こと哀川翔を主演に抜擢した[3][4]。
1990年代以降は一般映画、任侠系などを中心に活躍する。
2015年、『赤い玉、』が第39回モントリオール世界映画祭(8月27日から9月7日まで開催)のワールド・グレイツ部門に出品される[5]。