世紀の番狂わせでタイソンを倒した男、ジェームス"バスター"ダグラスの悲劇と現在
2023年3月30日 更新

世紀の番狂わせでタイソンを倒した男、ジェームス"バスター"ダグラスの悲劇と現在

1990年2月11日、東京ドーム。史上最強と言われていた世界ヘビー級チャンピオン、マイク・タイソンを倒してボクシング史上最大の番狂わせを起こしたジェームス"バスター"ダグラス。マイク・タイソン敗北の理由や正規の誤審と言われたロングカウント事件、最強を倒したのに最強と呼ばれなかった悲しき男の運命について紹介。

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序盤からダグラズの鋭い左ジャブに苦戦するマイク・タイソン

試合が始まるとタイソンの動きにキレがない。
ステップして飛び込もうとするが、ダグラスの鋭い左ジャブ、ストレートを浴びてしまう。

ダグラスは左ジャブから右ストレートを軸にタイソンの顔面へ何度もパンチをヒットさせていく。
踏み込みが鈍く、ダグラスの鋭いジャブに前進を阻まれるタイソンは、有効打を全く出せないままラウンドが経過していく。

次期挑戦者イベンダー・ホリフィールドも観戦に

次期対戦相手に決定しているイベンダー・ホリフィールドも来日し、試合をリングサイドで観戦していた。タイソンの思わぬ苦戦に「おいおい、大丈夫か」と言いたげな顔で試合を見ていた。

8R、タイソンがダウンを奪うも『疑惑のロングカウント』で救われたダグラス

序盤から手数においてはタイソンを圧倒していたダグラスに6R以降、疲れが見え始める。
それまで有効だった左ジャブもスピードが衰えていき、タイソンは簡単に躱していく。
だが、タイソンも大振りが多くダグラスを捉えきれない。

ここでダグラスは大きな判断ミスを犯す。
それまで突き放すか、クリンチで逃れていた接近戦を挑んでしまう。
好調時の鋭さは無くても、その距離ではさすがのタイソン。
ラウンド終了の5秒前、ダグラスの左ジャブを躱し、潜り込んでからバネのように体ごと突き上げた右アッパー。この一発でダグラスはダウンする。ようやく見せたタイソンらしいノックダウンに会場も大きく沸いた。

ダグラスのダウンカウント

ダウンし、悔しそうにキャンバスを拳で叩くダグラス。
なんとか立ち上がったところで、ラウンドが終了。
ダグラスは命拾いをした。
という、簡単な話ではなかった。

実はダグラスがダウンしてから、立ち上がるまでをカウントすると13~14秒ほど経過していた。
そして、この時のダウンがのちに「ロングカウント事件」として物議をかもすのだった。
予想外の挽回を見せるダグラス

予想外の挽回を見せるダグラス

ゴングに救われたとはいえ、タイソンの強烈な一撃をくらったダグラスにもはや勝機は残されていないと試合を見ているほぼすべての人が思っていた。
だが、当のダグラスは非常に冷静だった。
「(ダウンから)立ち上がった時には足にきてもなかった。効いていなかったし、落ち着いていた。」と語っている通り、前ラウンドでダウンしたことが嘘のような動きを見せる。
9R開始直後は「倒してやろう」と突進したタイソンだが、序盤のように距離をうまく使い出したダグラスを捕まえきれない。
逆にラウンド終盤にはロープ際に追い込まれ、パンチの嵐を受けまくってしまう。

10R、史上最強と呼ばれたマイク・タイソンが逆転KOされる…

ダメージの残るタイソンはまるで別人のように無様なクリンチを連発。
対して、完全に復活したダグラスは突き放しては素早くワンツーを打ち放つ。

そして、その瞬間が訪れる。
潜り込もうとするタイソンを左ジャブで止め、先程のお返しとばかりに渾身の右アッパー。
タイソンの太い首がグラつく。
そこへ右左のフック。
のけぞったタイソンを追いかけるように右ストレートと左ストレート。

完璧なコンビネーションを叩き込み、タイソンはダウン。
完全にグロッキー状態のタイソンはふらつきながらマウスを拾って口にくわえて立ち上がる。
だが、無情にもレフェリーの10カウントが数えられ、鉄人マイク・タイソンは初の敗北を喫した。
マイク・タイソン衝撃のKO負け

マイク・タイソン衝撃のKO負け

あのタイソンがKOで負けた。しかも、日本で。
疑惑のロングカウントと合わせて、しばらくはタイソン敗北の話題で持ちきりであった。

【動画】マイク・タイソン vs ジェームス・ダグラス

マイク・タイソン vs ジェームス・ダグラス(ハイライト)

マイク・タイソン vs ジェームス・ダグラス(フル)

ジェームス・ダグラスはなぜマイク・タイソンに勝てたのか?

要因を考えていきたいと思う

要因を考えていきたいと思う

ボクシング史上最大の番狂わせと言われるこの試合。
宇宙一強いと言われたタイソンに、なぜダグラスは勝つことができたのか?

【要因1】すでにタイソンは凋落していた。

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