日本では広くは知られていないプログレのキャメル 半世紀に及ぶ一貫した曲づくりに痺れたファンが確かにいる
2016年12月15日 更新

日本では広くは知られていないプログレのキャメル 半世紀に及ぶ一貫した曲づくりに痺れたファンが確かにいる

キャメル(Camel) は、1969年に、英国はイングランドのロンドン南西部に位置する郊外都市:ギルフォードの出身者で結成された「ブリュー」というバンドが前身。1973年にレコードデビューしたイギリスのプログレッシブ・ロック・バンド。

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「キャメル」というプログレッシブ・ロック集団

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キャメルの横顔

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数あるプログレグループの中でも叙情派サウンドで知られる。
小説やエピソードなど逸話の世界から着想を得て作品をつくりあげるプログレッシブ・ロック・バンドとしてはユニークであり、異色の存在。
ブルージーなサウンドでありながら心に響くメロウでメロディアスなギターと、情感溢れるキーボードとのコンビネーションが編み物のように絡み、幻想的なサウンドを紡ぎ出す。
キング・クリムゾンではロバート・フィリップがバンド・オーナーであったように、キャメルもアンドリュー・ラティマーが唯一一貫したバンドマスターを務めるセッションバンドといえる。
二人とも、ギブソンのレスポールモデルを愛用しているのは共通しているが、奏法や曲づくりは全く違った。
1969年の前身「ブリュー」は英国にありがちの白系ブルースを基調としたグループサウンドだったが、その後はプログレッシブ・ロック路線に転換していった。

キャメルの音づくり

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アンドリュー・ラティマーは、キャメルのサウンドづくりに重要な位置を占める泣きのエレキギターを特徴としているが、彼はマルチプレイヤーで、ギターの他にキーボードとフルートにボーカルまで務める。
ラティマーのボーカルは、囁き呟くような優しいボーカルが特徴で、癒されるような声の響きを持つ。
サックスは、キングクリムゾンにもよく顔出しするメル・コリンズがキャメルの重要なパートを幾度も務めている。
キング・クリムゾンが半世紀の歴史の中で音造りが大きく発展していき、概ね8段階のプロセスに変化していったのに対し、キャメルは同じく約半世紀の間リーダーのアンドリュー・ラティマーが創る幻想的でファンタジックなサウンドが、一本の赤い糸となって貫かれている。
良く言えば叙情の旋律でブレていないが、悪く言えば半世紀経ても変わらない一貫した保守的なサウンドともいえる。

アルバムを持たずして、先行のライブ活動

デビューは、コンサートから

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1972年春、バンド名を「キャメル」としてコンサートを敢行。興業的にも一定程度成功し、以後キャメルをバンド名として活動する事となる。
コンサート・デビュー初期は、アンドリュー・ラティマーの哀愁漂うエモーショナルなギターとピーター・バーデンスの軽快なキーボード、アンディ・ウォードの多彩なドラムを軸に、美しいメロディをテクニカルな緊張感のある演奏で聴かせていた。なおラティマーは、クリムゾンのロバート・フィリップ同様、ギブソン・レスポールを使用している。アルバムの発表がなくとも、イギリス国内での演奏活動を行う。

一年に1枚ペースの驚くべきアルバム制作力

ファーストアルバム発表から1970年代前半

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1973年にデビューアルバム「キャメル」を発表。前身のバンド:「ブリュー」から3年に渡るライブ活動を経た集大成。秀作で知られる「ネヴァー・レット・ゴー 」 「秘密の女王」を収録。
次いで1974年、アルバム「蜃気楼(Mirage)」を発表。叙情的なメロディーはあるが、ハードロック的な要素も多い曲づくりである。
「Mirage」はバンド初の全英アルバムチャート入りを果たし、23位を記録。以降レコード会社とも契約もあり、毎年のようにアルバムを制作。
さらに1975年には、アメリカの作家ポール・ギャリコの短編小説「スノーグース」を基調にしたコンセプト・アルバム「The Snow Goose」を発表。全曲インストゥルメンタルで構成。
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早くも円熟の名作発表が続く1970年代後半

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1976年、アルバム「月夜のファンタジア(MOONMADNESS)」を発表。後に、まとめ役的存在であったダグ・ファーガソンを演奏能力の限界を指摘され脱落。
元キャラヴァン(CARAVAN)のリチャード・シンクレアをベースの後任に据え、ゲストメンバーとして、キング・クリムゾンでも活躍するメル・コリンズをサックスで迎えて活動する。
1977年、アルバム「雨のシルエット(Rain Dances)」を発表。
1978年、アルバム「ブレスレス~百億の夜と千億の夢(BREATHLESS)」を発表。このアルバムの「サマー・ライトニング」に注目。ラティマーのギターがむせび泣きながらまるでサンタナのように躍動する。
アルバム収録後、ピーター・バーデンスがラティマーとの軋轢から脱退。後任に元キャラヴァンのヤン・シェルハース(キーボード)、さらにツアーメンバーとしてやはり元キャラヴァンのデイブ・シンクレアをキーボード奏者として参加させた。オリジナルのCAMELより元CARAVANメンバーの方が多くなり、「CARAMEL(キャラメル)」と揶揄される。
1978年、2枚組アルバム「ライブ・ファンタジア」を発表。これは初の公式ライブアルバム。初期からのライブ録音から選んだ楽曲と1977年発売の「雨のシルエット(Rain Dances)」までの曲にロンドン交響楽団と共演し「スノーグース」全曲を演奏したライブ録音を収録。
どのアルバムも秀作であり、数々の名作が織り込まれている。
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