西川のりお   コテコテの大阪弁と捨て身の暴走で全国区へ殴り込み
2024年1月3日 更新

西川のりお コテコテの大阪弁と捨て身の暴走で全国区へ殴り込み

高校でお笑いの世界に入り、パワフルに空回りしながら下積み時代を過ごし、ヤングOh!Oh!、漫才ブーム、じゃりン子チエ、俺たちひょうきん族で一気に全国のお茶の間に。関西独特のイケイケドンドンの暴走ぶりをみせつけた。

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ハイヤーに戻ると2人は横山やすしに
「お前といい、このアホマネージャーといい、アホばっかや」
と怒られた。
それでも野山雅史マネージャーが
「のりおさんはこれから海外に行きますので、スケジュールは・・」
というと、横山やすしは
「なんで俺がコイツに合わさなアカンねん。
コイツの師匠は俺の相方や。
それの弟子になんで俺が合わせなならんのや」
と激怒。
撮影が始まり、横山やすしは自分がNGを出すと
「お前らがイランことするから、神経ハズレてもた」
西川のりおが出すと
「間違うな!」
西川のりおは、横山やすしがタバコが嫌いなためにまったく吸えず、
「厄日か」
と思いながら、なんとか映画の撮影が終了。
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西川のりおはフジテレビへ行って、そこから局車で成田に送ってもらう予定だったので、
「これでやっと解放される」
と思ったが、なんと横山やすしも息子の木村一八がドラマの撮影をしているので激励のためにフジテレビにいくという。
西川のりおは野山雅史マネージャーに
「タバコ吸えんし、怒られるし、あの人と同じ車イヤや」
喫煙者の野山雅史マネージャーも
「私もです」
意見が一致した2人は別の車の乗り、横山やすしの乗る車を追いながら一服。
フジテレビに着くと横山やすしと別れ、「金曜ファミリーワイド」のスタッフ、そして
「吉本マネージャーの上の人」
である木村政雄と合流。
成田に移動し、
(2時間前に着いたから余裕やろ)
と思いながら、係員に
「すんません。
喫煙席の通路側お願いします」
と頼んだが、喫煙席は満席で、しかも禁煙席の真ん中しか空いていなかった。
「そんなアホな。
ロサンゼルスまで何時間?」
「13時間くらいです」
「エエッ!」
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搭乗手続きを終え、木村政雄が
「そろそろ帰るわ」
というと心細くなってすがるような目でみた。
すると木村政雄は笑顔で、
「さみしいやろ。
ようしゃべるお前が13時間、誰ともしゃべられへんのやからなあ。
君の隣はきっとアラブ人かなんかで、スワヒリ語かなんかしゃべりおるで。
特にパンナムやからな、いろんな国の人が乗ってきよるぞ。
キューバ人も乗ってくるかもわからへんで。
まして真ん中やろ。
ターバン巻いてるのに挟まれるかもしれんで。
ジャマイカの奴もおるかもしれん。
いろいろ乗ってくるから楽しみやな」
搭乗ゲートに行くと先ほど対応してくれた係員がいて
「誰かタバコを吸わない人で喫煙席に行ってくれる方いませんか?」
と聞いてくれた。
すると
「私替わります」
と女子大生が名乗り出てくれた。
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こうして喫煙席の通路側に座れた西川のりおが寝ていると肩を叩かれ、起きてみると、さっきの女子大生がいた。
「なんやねん」
「サインしてもらえますか?」
数人かと思ったが、仲間がいて、結局、数十人にサイン。
タバコも吸えず
「禁煙席と変わらんな」
と思っていると横から
「芸人さんは大変ですね」
と声をかけられて、みると
「グラウンドキャニオンみたいな茶色い肌をしたオバサン」
がいた。
聞けば大阪出身で現在はアメリカに住む女性で
「アンタはパワフルでワンダフルでいい芸人や」
といわれ、西川のりおは
(大阪弁と東京弁と英語が混じっとる)
と思いながらも、素直にうれしかった。
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やがてスチュワーデスが入国審査と税関の申告用紙を配ったが、オバサンが
「書かんでいいんとちゃいます」
というので従い、一斉に書き込んでいる女子大生たちにもと旅慣れしたフリをして
「君らね、そんなの書かなくていいんだよ」
といった。
「のりおさん、慣れてるのね」
「当ったり前やんか。
君たち初めてだから書くんだよ」
しかしロサンゼルスに着くと入国審査で
「紙はどうした」
と怖い顔で聞かれた。
どうやらアメリカに住んでいる人は書かなくてよいようだったが、オバサンは、
「アンタは書かないと」
とコロッと変わり、女子大生たちからはブーイング。
西川のりおが教えてもらいながら記入して提出すると係員は、
「NO!」
ノーっといっているのはわかるが、それ以外はなにをいっているのかわからない西川のりおがオバサンにみてもらうと
「あんた、サンディエゴの動物園で寝るの?
ZOOでは寝れんやろ。
これは仕事先。
泊まり先はどこ?」
サンディエゴのどこに泊まるのかわからない西川のりおは、オバサンが住んでいるアラバマの住所を書いた。
書かされている最中、女子大生たちにバシャバシャ撮られ、
(厄日はまだ続いてる)
と思い、アメリカで横山やすしを幻影がみえた。
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12時にMr.ジェレミーというコーディネーターと待ち合わせだったので、心配して一緒に来てくれていたオバサンとバンナムの荷物カウンターで待っていた。
しかし12時20分になって来ない。
オバサンは
「私もトランジットする飛行機に間に合わなくなるから呼び出しだけしてあげるから」
とインフォメーションカウンターに行った後、去っていった。
そのとき西川のりおはオバサンに
「こちらの名前をいうと悪い奴らに荷物を持っていかれてしまう」
と教えられた。
呼び出しが行われても誰も来ないので、
(これ、ドッキリ違うか)
とキョロキョロとカメラを探し
(早よ、出てこい)
と思ったが、誰も現れる気配がない。
(おかしいなあ)
と思っていると、14時にやっと
「小太りのフランスパンみたいな顔した男」
が近寄ってきて、
「のりおさん?」
しかし西川のりおは、オバサンの教えに従って
「ナニッ。
どこに証拠があるんじゃ?」
「仕事に行きましょうか」
「いかへん」
「私はジェレミーです」
「どこに証拠があんねん。
俺は認めへんよ。
俺の名前フルネームでいうてみい」
「金曜ファミリーワイド。
西川のりお」
「まだアカン」
「吉本の木村さん。
フジテレビの〇〇さん」
具体的な名前を挙げられても80%くらいしか信じていない西川のりおはドキドキしながら後をついていった。
「トランク持ちましょうか?」
といわれ、断るのも変なので渡したが、すぐに飛びかかれる姿勢を崩さなかった。
「日本語喋れるんかい」
「少し」
「俺、空手習ってんねん。
柔道もやってるし」
とカマすと
「私、暴力嫌いです」
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駐車場に着くと大きな車ばかりなので
「やっぱり本場やな。
ズラーっと外車ばっかりや」
「なにいってるの。
ぜーんぶ国産よ。
アメリカでは」
西川のりおは、少しバカにされたような気持になりながら、トランクを奪い返し、抱えて車に乗った。
「後ろに入れないの?」
「入れへん。
オレは自分の荷物はいつも肌身離さず持ってるんや」
ヒルトンホテルで食事をすることになり、西川のりおがトランクを持っていこうとするとジェレミーに
「荷物、おろさないほうがいいですよ」
といわれたが無視して持って降りた。
「なんでそんなに疑うのですか?」
「12時に来るいうてたのに来んかったからや」
「アッ、なんだ。
そんなことで」
「そんなこともこんなこともあるかい。
俺は遠いところから来てんねん」
「ごめんなさい。
12時と2時、間違えてました」
遅れた理由がわかって、少しだけ納得し、トランクは車に置いておくことにしたが
「キー、俺が持っとくわ」
といって、ジェレミーにあきれられた。
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180㎞のドライブが終わり、サンディエゴのホテルに到着。
ジェレミーはベッドを指さし
「昨日まで友里千賀子が寝てた」
西川のりおは
「ナニッ!」
とときめいたが
「シーツは替えた」
といわれ、ドテッとコケた。
すぐにその部屋に「金曜ファミリーワイド」のスタッフがやって来て、打ち合わせが始まった。
西川のりおは動物図鑑を渡され
「のりおさん、猛獣は好きですか?
例えば抱きついたりキスしたりしたいと思いますか?」
「ヘビなんか好きですか」
などと聞かれた後、
「じゃあ今日はそういうことで。
明日は6時起床でお願いします
みんな可愛い動物ですから、安心してグッスリ休んでください。」
といわれミーティングは終了した。
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その後、唸るイグアナに顔を近づける、チーターを散歩させて体当たりされる、サイやカバの口の中に腕を突っ込んでエサをやる、ニシキヘビを持つなど過酷なロケが、連日、6~17、18時まで行われた。
ホテルに帰り、日本から持ってきたカセットテープで大川栄策や五木ひろしを聴いていると涙が出てきたが、ジェレミーに
「のりおさん、汗かいてんの?」
といわれ、厄日は続いた
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明日帰国というとき、プロデューサーに
「ポルノショップでも連れていってやろう」
と誘われ
「やった」
とジェレミーと3人で出かけた。
しかし夜のサンディエゴの街は、治安が悪く、
「チーターやサイ並みにコワかった」
店の前に銃を持った男が立っていたり
「路地には入ったらダメ」
といわれるなど、なにもできないままアメリカで唯一の夜は終了。
翌日、ロスから14時間飛行機に乗って、成田に着いたのは14時。
さらに乗り換え時間を空港でボーッと過ごし、飛行機で大阪に着いたの18時。
23時から深夜ラジオのヤンタンでしゃべりまくり、翌朝7時、「ビッグマグナム黒岩先生」の撮影のために飛行機で再び東京へ向かった。
現場で横山やすしにいきなり
「どやった?
どやってん?」
と聞かれ、
(もうエエわ)
と思った。
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