1978〜80年はユーミンの暗黒時代?!
2023年12月11日 更新

1978〜80年はユーミンの暗黒時代?!

ユーミンのアルバムの売り上げは78〜80年のあいだ全盛期に比べると大幅に減退したのだそうです。言ってみれば暗黒時代。ユーミンにもそんな時代があったのです。が、そこはユーミン、楽曲のクオリティはその間もしっかり担保されているんですよ!

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松任谷由実

デビュー当初を別にすれば、現在に至るまで常に飛ぶ鳥を落とし続けているユーミンこと松任谷由実。なのですが、そんなユーミンにも低迷期があるんですよね。

それは78〜80年の間だと言われております。何故そんなことになったのかと言えば、1976年11月に4枚目のアルバム「14番目の月」リリースとほぼ同時に松任谷正隆と結婚し、ユーミンは一旦表舞台から姿を消すんですね。
これが痛かった!それまではアイドル的な側面もありましたから結婚によって人気に陰りが出たと、そうゆうことではないかと思われます。

ここからしばらく冬の時代が訪れるわけですが、その間の作品を改めて聴いてみると、なんで売れなかったのかねぇと言うぐらいに相変わらずクオリティが高いんですよ。

紅雀

荒井由実から松任谷由実となって最初のアルバム、それが1978年3月5日にリリースされた5枚目のアルバム「紅雀」です。

結婚後初のアルバムなんだからハッピーな作品を期待したファンは多かったのではないでしょうか?しかし何故かこのアルバムはジャケット同様にシブい。はっきり言うと地味。ユーミンらしくないとも言えます。そもそものコンセプトが悪かったのか、プロデューサーの松任谷正隆は叩かれまくり、終いにはユーミン自身も「これ以上はないほど地味な作品」と仰ってます。

まぁ、問題作ですよねぇ。
紅雀

紅雀

1.9月には帰らない
2.ハルジョオン ヒメジョオン
3.私なしでも
4.地中海の感傷
5.紅雀
6.罪と罰
7.出さない手紙
8.白い朝まで
9.ランドリー・ゲートの想い出
10.残されたもの
「紅雀」がユーミンのアルバム史上どれだけ地味だったのかというのは、10枚目のシングルとしてアルバムと同時発売された「ハルジョオン ヒメジョオン」を聴くと分かるかもしれません。
ご存じない方も多いと思われるシングルですので、2008年3月にリリースされた「ReleaseYUMING SPECTACLE SHANGRILA Ⅲ~A DREAM OF DOLPHINE」からですがお聴きください。

松任谷由実 - ハルジョオン・ヒメジョオン (YUMING SPECTACLE SHANGRILA Ⅲ~A DREAM OF DOLPHINE)

後々まで歌い続けているわけですから本人は気に入っているのでしょうね。勿論悪い曲ではない、が、やっぱり地味ですよねぇ。それをまたなんでシングルにしたんだ!と言う思いは拭えません。
なにも新婚早々こんなものを作らなくてもと思ってしまいます。因みにオリコンで最高80位、やっぱりなぁという感じの順位ではあります。

このアルバムから売り上げが低迷したというのも納得で、これ聞かされた日には誰だって結婚は失敗だったんじゃないのかと勘繰ってしまうほどの地味さ加減です。

流線形'80

“これじゃいけん”と思ったか、「紅雀」にに続いて1978年11月にリリースされたアルバム「流線形'80」はまさにユーミン・ワールド全開で会心の出来となりました。これで低迷期なんだと驚くばかりの名盤ですよ、これ。
流線形'80

流線形'80

1.ロッジで待つクリスマス
2.埠頭を渡る風
3.真冬のサーファー
4.静かなまぼろし
5.魔法のくすり
6.キャサリン
7.コルベット 1954
8.入江の午後3時
9.かんらん車
10.12階のこいびと
このアルバムがいかに充実しているかと言うのは、冒頭の3曲「ロッジで待つクリスマス」「埠頭を渡る風」「真冬のサーファー」を聴いてみると分かります。ユーミン、ノリノリ。
シングルカットされたのは1978年7月に「入江の午後3時(カップリング:静かなまぼろし)」、1978年10月「埠頭を渡る風(カップリング:キャサリン)」の2枚です。

それでは、松任谷由実 Yumi Matsutoya ライブレコーディング(1979年)「埠頭を渡る風」を聴いてみましょう。

松任谷由実 - 埠頭を渡る風 (YUMING SURF & SNOW in Zushi Marina Vol.16,2002)

なんで売れないかなぁ、これ。ノスタルジックなジャケットがいかんかったか?内容は充実しているんですけどね。
ところで、1978~81年までユーミンは毎年1年に2枚のアルバムをリリースしているんですよ。

OLIVE

前2枚のアルバムとは打って変わって1979年7月リリースの「OLIVE」のアルバムジャケットはヨーロッパの雑誌のようなデザインで、とてもオシャレ!ユーミンはこうじゃなくっちゃねの見本のような出来栄えです。
OLIVE

OLIVE

1.未来は霧の中に
2.青いエアメイル
3.ツバメのように
4.最後の春休み
5.甘い予感
6.帰愁
7.冷たい雨
8.風の中の栗毛
9.稲妻の少女
10.りんごのにおいと風の国
シングルカットされたのは「帰愁」。なんですが、何でもユーミンはこの曲が嫌いなんだそうです。
だからなのかは分かりませんが、YouTubeにもアップされていません!よっぽど嫌いなのでしょう。いい曲なんですけどねぇ。
仕方がないので、6年後の1985年11月に、研ナオコがカバーしたバージョンを聴いてみてください。

帰愁

このアルバムの特徴としては提供曲、他のアーティストにカバーされた楽曲が多いという事が挙げられます。
「青いエアメイル」カバー:今井美樹
「最後の春休み」ハイ・ファイ・セットへの提供曲。カバー:伊藤麻衣子、千菅春香
「甘い予感」アン・ルイスへの提供曲。カバー:ザ・リリーズ、井上陽水 他
「帰愁」カバー:研ナオコ
「冷たい雨」バンバンへの提供曲。カバー:ハイ・ファイ・セット、倉田まり子 他
「風の中の栗毛」堀川まゆみへの提供曲。

なんと6曲も!実に半分以上ですね。これって名曲含有率の高さを示しているのではないでしょうか?
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