1985年から『ぶ〜け』に連載された『少年は荒野をめざす』と、引き続いて1988年より『ぶ〜け』に連載された『ジュリエットの卵』が代表作。クールで分析的な作風で、しばしば心理学を題材とする。青年期のアイデンティティ・クライシスを描くために、直接的・間接的に双子を扱った作品が多い。
そういった精神世界的な内容で、難解な作品が多いのですが
中二病的なテイストを好む向きからは絶大な支持を得ていました。
歌人の穂村弘や精神科医の春日武彦と交流があって
穂村弘の歌指南本には吉野朔美の歌が何首か載っています。
後年は本の雑誌社の「本の雑誌」に
『吉野朔美劇場』と銘打った隔月連載を持っていました。
とにかく読んでいる本、観ている映画の本数とカテゴリのマイナーさがすごかったです。
Sakumi Yoshino, R.I.P. #吉野朔実さん pic.twitter.com/eUEjomn9EG
— ちあ@相互フォロー垢 (@cheer_up0059) May 2, 2016
享年57歳でした。
松苗あけみ 美麗な絵柄とノリの良さ
コメディを多く手がける。 内田善美の紹介で一条ゆかりのアシスタントをしていた。「有閑倶楽部」に登場するペットのニワトリ・アケミの名前のモデルである(詳しくは「有閑倶楽部」参照)。
1977年、『リリカ』4月号にて「約束」でデビュー。 その後1978年3月号で『リリカ』が休刊となったため『ぶ〜け』他で活躍。代表作「純情クレイジーフルーツ」など。華やかな絵柄と脱力系のキャラクターのギャップが大きく、それがギャグともなっている。
1988年度(昭和63年)、第12回講談社漫画賞少女部門受賞(「純情クレイジーフルーツ」)。
女子高の個性豊かな4人組の日常のあれこれを描いた群像劇。
これはさすがに、舞台が女子高だけに、話は恋愛が中心ですが
恋愛に関してはあっさりからりなトーンで
ドタバタしながらも意外に乙女な彼女たち(年食ってる校長教頭も含めて)を
華やかで美しいペンタッチで描いていきます。
『山田さんと佐藤さん』『HUSH!』『緋野家の兄弟 花賀家の姉妹』
『ロマンスの王国』『女たちの都』など
連載を多数持って、「ぶ~け」執筆陣の中心的存在になります。
現在も現役で活躍されているマンガ家さんです。
衝撃的だった『船を建てる』
読者に衝撃を与えた作品をご紹介しておきますね。
人間は出てきません。主人公はアシカ。
アシカの世界に日本も、アメリカもあります。
たった16ページに淡々とつづられるつぶやきのような語りのようなネームと
アートのような、でもこれしかない、という絶対的な線の描写。
マンガ版村上春樹のようだと称した人もいます。
小学校の時図書室に置いてあって衝撃を受けたのは「船を建てる」。アザラシみたいな登場人(?)物で、淡々とした時間の流れとほのぼのとしたどこか抽象的な空気でありつつ全てが意味深で、突然突き放すような残酷な美しいシーンが入ったりするので大分胸に刺さった記憶がある。#船を建てる pic.twitter.com/iw2Vp8pYs1
— 古屋遙 | Haruka Furuya (@Haruborism) March 25, 2017
大きいとインパクトあると思います。
今見ても描写がアートなんですよね。
なにより意味をつかみきれない不条理さが漂うその雰囲気。
吉本ばななが絶賛している記事を読んだことがあります。
私は衝撃を受けましたが
「よくわからない」という声もありました。
こういう作品を載せていくのは、やっぱり「ぶ~け」なんだな、と思ったものです。
鈴木志保はその後、
人形劇『バケルノ小学校 ヒュードロ組』(NHK)のキャラクターデザインをしたりなど
マンガだけでなく、広い世界での活動をしています。
少女マンガにおける「アート」を牽引した「ぶ~け」
装丁をA5判からB5判に変えただけでなく
比較的一般的な少女マンガ誌の路線寄りになり、
結果、他の雑誌の中に埋もれて行った気がします。
2000年、「Cookie」誌の創刊と入れ替わるように、廃刊となりました。
少女マンガの「アート性」を牽引してきた「ぶ~け」でしたが
アートなテイストのマンガがだんだんに周知されてきたころ
静かにその役目を終えたかのようでした。