「腹の虫がおさまらない」「腹の虫の居所がわるい」…虫で病気を表現した日本のお話について。
2017年7月24日 更新

「腹の虫がおさまらない」「腹の虫の居所がわるい」…虫で病気を表現した日本のお話について。

夏真っ只中。暑いですね。クワガタやカブトムシを取りに、夜中や夜明けに林に行った子供時代が懐かしいです。そして、夏といえば…食べ物がどうしても傷みやすくなり、お腹がやられたりします。今回は「夏といえば昆虫だなあ」と思いながら、虫で病気を表現した日本のお話についてです。

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夏真っ只中。暑いですね。
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クワガタやカブトムシを取りに、夜中や夜明けに林に行った子供時代が懐かしいです。
そして、夏といえば…食べ物がどうしても傷みやすくなり、お腹がやられたりします。

そういえば、お腹と言えば…「腹の虫がおさまらない」「腹の虫の居所がわるい」という言葉があります。「腹が立ってがまんできない」という意味です。ブチ切れ寸前といったところでしょうか。

「腹の虫」の正体について

この「腹の虫」。これが意外と面白かったりします。もちろんクワガタではありませんしね(汗)
戦国時代に書かれた『針聞書 (はりききがき)』という書物があります。今回はその話です。

病気を「虫」で表した『針聞書(はりききがき)』

『針聞書 (はりききがき)』は永禄11年(1568年)に摂津国の元行さんによって書き上げられた医学書です。時期的には、あの織田信長が京都に入った時期ですから、ガッチリ戦国時代。そして、著者についてはいまだよく分かっていない人なのですが、どうやら現在の大阪府茨木市周辺の出身?と言われています。

さて、そんな『針聞書 (はりききがき)』。内容としては針や灸の位置や打ち方や漢方薬の種類や使用法などを記した医学書なのですが、病気を63匹の虫で表現しております。虫ですヨ、虫。
この虫たち、もちろん寄生虫やウイルスではありません。想像上の病の虫です。お腹が痛いのも、熱がでるのもそこに虫がいるからですヨ…ということにした解説書なのです。そういえば「虫の知らせ」「虫が好かない」などとも言いますね。日本人は昔から虫で感情や体調を表現していました。

ということで、腹の虫…一体どんな虫がいるのかと言うと、、、

胃袋あたりに生息する「気癪(きしゃく)」

たとえば「気癪(きしゃく)」という虫は胃袋あたりに生息。この子の顔は三つ股の口で、体は赤く、胴体には1本の白い縞があり、なぜか黒い尾があります。油ものや鳥や魚を食べるが大好きなので、この子が取りついた人間も影響を受けちゃう。取りつかれた人間は勢力絶倫・色事好きになるそうです。虎のハラワタを食べると、この子は消滅するらしいですヨ。…って、これ病気なのでしょうか(汗)

脾臓に住み着く「脾臓の虫(ひぞうのむし)」

あ、他にも、「脾臓の虫(ひぞうのむし)」も。この子は脾臓に住み着いて肝臓と筋肉に被害をもたらすそうです。病状としては熱中症や眩暈や体のほてり…まさに今この時期に住み着いている子かもしれません。木香(もっこう。キク科モッコウの根)と大黄(だいおう。タデ科ダイオウの根茎)を飲むとこの子は居なくなるそうですから、こちらはなんとなく病気っぽい表現。

脾臓に生息する凶悪な「悪虫(あくちゅう)」

この他、「悪虫(あくちゅう)」なんていう子も。脾臓に生息する凶悪な虫らしいです。人の脾臓にしがみついています。この子は、自分がとりついた人間が食べたご飯を横取りします。なので、取りつかれた人間はいくら食べても太らず、むしろ痩せるので「痩せの大食い」になるでしょう。木香を飲むとこの子は死滅するようです。

その他にも様々な「虫」が登場する医学書

という感じに、なんでもかんでも虫のせいにしている医学書なのですが、虫のイラストがかわいらしいため、マニアに大好評な医学書だったりします。酒飲みの「大酒の虫」だの、子供の夜泣きの「小児の虫」だの、怒りをもたらす肝臓在住の「肝癪(かんしゃく)の虫」だの、お腹がゴロゴロ鳴る「鳴き寸白(なきすんばく)」だの…人間のいろいろな体調や感情…全部虫のせいです。これぞまさに「虫のいい話」ですね(笑)

ちなみに『針聞書 (はりききがき)』は現在、九州国立博物館が所有しております。同博物館のサイトをぜひ見ていただきたい。色々の虫が画像付きで紹介されています♪さらには、公式ソング「はらのむし体操」なんていうのまで動画配信されています。

きゅーはくオリジナル公式ソング『はらのむし体操』

夏といえば昆虫だなあ、と思いながら、虫で病気を表現した日本のお話でした☆
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