『ガンプラり歩き旅』その64 ~番外編 輝く銀河を駆け抜けるダイターン3!(後)~
2021年6月22日 更新

『ガンプラり歩き旅』その64 ~番外編 輝く銀河を駆け抜けるダイターン3!(後)~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。 今回は前後編で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、アオシマ製プラモデル群から、『ガンダム』の富野由悠季監督の名作『無敵鋼人ダイターン3(1978年)の、当時のプラモデルや最新キットを紹介していきます!

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箱の中身

箱の中身

思った通り、ソフビのパーツの山が詰め込まれたビニール袋がゴロっと出てきた。
確かに、完全塗装済みと謡うだけあって、既にダイターン3の特徴的なボディの塗り分けや、足首のパーツ等が、フルカラー彩色で詰め込まれている。
ブルーやイエロー、ホワイトなど単色のパーツは、もともとその色のソフビでパーツが作られていて、塗装コストを軽減させている。
左下の、黒と黄色の小さなパーツの袋は、関節可動には欠かせない、ABS樹脂製のボールジョイントになる。
各ソフビパーツに、余剰部分が多く見られるのは、先ほど書いたソフビ生産の工程で、パーツ部分より多くの液状塩化ビニールが流し込まれるからであり、基本的にこれらの余剰部分をアートナイフで切り取って、パーツ同士を接着したりはめ込んだりすれば、ソフビキットは完成するように出来ている。基本的には……ね。
しかし、パーツにもボールジョイントにも、ナンバーや個体認識の手掛かりは刻印されてはいない……。この時点で大河さん、嫌な予感がひた走る……。
ま、まぁ。組立説明書にいろいろ詳しく書いてあるんだろう! そうだ、そうに違いない!
よし、組立説明書を開いてみよう!
浪漫堂 DX FLEXIBLE ROBOT KIT ダ...

浪漫堂 DX FLEXIBLE ROBOT KIT ダイターン3 組立説明書

一枚! いっちまぁあああいかよぉおおおっ!
しかも、パーツにナンバーが割り振られてねぇと思ったら、説明書にもナンバーが言及されてない。最初っからの確信犯かよぉおおっ!
「見て判断しろよ」ってか!? 「自分で見て判断してね♪」ってか!?
組立説明書 上部

組立説明書 上部

これがパーツ一式のアリバイ証明書。ソフビパーツに関しては、図でグレーのスクリーントーンが貼ってあるところが余剰部分なんで、そこをカットしてください的な意味だっていうのは分かる。
けど……腕や脚の「左右の違い」に、まったく手掛かりがない……。
一覧図では一応それらしく並べて書いてあるけど、実は部品図が適当過ぎてまったく参考にならない!
これ、手足の左右は共通パーツでいいんだろうなぁ!?
っていうか、一番右上の方に、先ほどの黒と黄色のボールジョイントの図も載っているんだけれども。
どれがどれだかわかんねぇよ! パッと見、3種類ぐらいにしか見分けられねぇよ!
「スジボリを入れると良いでしょう」とか、ちょっと優しそうなアドバイスする前に、自社商品の部品チェックぐらいちゃんとさせろよ!
浪曼堂さん、もうメーカーとして存在しないんだから、仮にこれにパーツ欠品とかあっても、どこも対応してくれないんでしょ?
あ、あと。細かいことだけれども、右足首の余剰パーツのところ、トーン貼り忘れてるからね! 商品出荷までに、スタッフも誰か気づいてやれよ!

……で、パーツ構成的には、基本全てがソフビと、関節のボールジョイントはABS樹脂。
このキットは変形や合体はせずに、ロボット形態でのアクション性を追求しているんで、肩の回転可動に干渉しそうな肩大アーマーと、脚の白いウィングは、ゴムのように柔らかい、軟質ソフビという材質で作られている(素材としての扱い方は軟質も硬質も同じ)。
額の立物(?)の黄色い飾りと、腰脇のスナッパーパーツはプラ製。
後は「謎の金属棒2本」で、太い方がダイターン・ジャベリン用で、細くてぐにゃぐにゃ曲げられる方は、ダイターン・スナッパー用っぽい。

まぁとりあえず、ソフビキットを作るプロセスを実際に見て頂きましょう。
ここで選ぶは、一番無難っぽいバックパックの組立です!
組立説明書 バックパック組立指示部分

組立説明書 バックパック組立指示部分

シンプル! めっちゃシンプル! だからといってこれ、決して「簡単」じゃないぞ。説明図が簡素なだけだからね! ウィングとか先端のミサイルっぽいのとか、左右本当にこれ、どっちでもいいんだろうなぁオイ!
バックパックの垂直尾翼パーツ

バックパックの垂直尾翼パーツ

これが、余剰パーツ部分(以下・バリ)がついたまんまの、バックパックの尾翼のパーツです。これのバリをカットしなきゃいけないんですが……。
アートナイフ

アートナイフ

デザインナイフとも呼ばれているけど、モデラーが長年親しんでいるのが、このOLFA社製のアートナイフ。ソフビキットにはこれがないと絶対作業が出来ませんぞ。
アートナイフでバリをカットしていく

アートナイフでバリをカットしていく

ソフビは生産の過程で、同じパーツの中でも、肉厚な部分と薄い部分にかなりの差があって、肉厚のところを力入れてアートナイフの刃先を入れると、いきなり刃が薄いゾーンに突入して、一気に滑って指をスパッと切ってしまうことがある。
ぶっちゃけ、ソフビキットを作ったことがあるモデラーさんであれば、一度や二度はバンドエイドのお世話になったことがあるはず!
かくいう大河さんも、今回ダイターン3を作るだけで、3回ほど指を切り、バンドエイドのお世話になりました。同じ指に3枚別角度でバンドエイドが貼ってあるとか、なんだ、俺はリストカッターの女子高生メンヘラか!
バリを切り取ったパーツ

バリを切り取ったパーツ

不要部分を切り取り終わったウィング。基本的にはこの要領で、全てのパーツのバリを切り取ればいい。たまにバリのふりしてパーツの一部ですとか、パーツの角なんで気づかれにくいですがバリですみたいな、フェイクやフェイントをソフビキットは仕掛けてくるので気を付けるように!
バリを切り取り終わったバックパックパーツ一覧

バリを切り取り終わったバックパックパーツ一覧

この場合、ウィングのパーツとバックパック本体は、微妙に嵌着ではめ込み固定することになる(怪獣ソフビの手足と違って可動しないけどね)。
嵌着とは、要は物理的に小さい穴に、穴より大きなパーツを通り抜けさせて、くぼみの部分で固定させるということなんだが……。
ドライヤーで、嵌着の穴を温めて柔らかくする

ドライヤーで、嵌着の穴を温めて柔らかくする

上でも書いたけど、ソフビは熱を加えるとすぐ柔らかくなって、一時的にゴムのように多少の無理は効くようになるので、ドライヤーで温めてはめ込まれる側の穴をこじ開けられるようにする。
ソフビキットの多くはこの構造論を使うので、ドライヤーもやはりソフビ者には必須マテリアル。
スキンヘッドの大河さんの部屋に、なぜかドライヤーが置いてあって、部屋にきた目ざとい系女子に見つかって「大河さん。この部屋に通ってくる女子がいますね!」ってツッコまれたけど、ソフビのためだけにドライヤー持ってるとか、説明するのも馬鹿らしいし面倒なんで、「そういう認識でいいです」とだけ応えておいた(笑)
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  • 市川大河 2018/5/27 04:25

    禿信者さんありがとうございます!
    毎週楽しみに待ってくださっているファンの方があってこその連載です!
    来週は、禿信者さんなら予想突くかもしれませんが「ガンダム以前の富野スーパーロボット」第一号が登場して、それからは『Zガンダム』『ガンダムZZ』『逆襲のシャア』のキットをめぐっていきます!
    これからもどうかよろしくお願いします!

    禿信者 2018/5/26 08:34

    毎週金曜日の更新を楽しみにしています。
    それにしても今回の内容は濃い!大河さんのロボ愛に当てられてクラクラしました。
    展開したファンを自作したダイターンの再登場を期待しています。

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