今だからこそ聞きたいクラシックなヴィジュアル系の名盤!黒夢が1993年にリリースしたアルバム「亡骸を…」!!
2021年10月16日 更新

今だからこそ聞きたいクラシックなヴィジュアル系の名盤!黒夢が1993年にリリースしたアルバム「亡骸を…」!!

クラシックな名盤、今回ご紹介するのは黒夢が1993年にリリースしたアルバム「亡骸を…」です。 ヴィジュアル系シーンに絶大なインパクトを与え、"名古屋系"と"コテ系"という2大派生ジャンルへと 発展していきました。 王道を塗り替え、瞬く間にスターダムへとぼりつめた黒夢。 伝説の首吊りパフォーマンスや、過激な作品タイトル。 80年代インディーズシーンの系譜を受け継ぐ危うい雰囲気を纏っていた黒夢でしたが、本作 「亡骸を...」ではそういった当時のパブリックイメージから一歩踏み出し、新たな境地を見せ始めました。 そんな黒夢の名盤である「亡骸を…」の魅力を存分にお伝えしていきます!

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M08「JESUS」

黒夢 - JESUS

メジャーデビュー後のロック路線に少し近いノリがあるダンサブルな楽曲です。
全編通して、サイドギターの使い方が技巧的で印象に残ります。
ギターソロのフレーズや歌メロも秀逸な名曲!
一度聴いただけで物凄く頭に残る美しい名サビと耽美的な名イントロ。
キラキラした神々しい名曲といえますよね!

M09「親愛なるDEATH MASK」

黒夢 - 親愛なるDEATHMASK

現在のビジュアル・コア界に多大な影響を与えた曲です。
デスメタルスタイルを独自のセンスで、消化したかのような歌い方が格好良い!
おそらくDir en grayの京が「MASK」「羅刹国」の2曲に渡り、
「首生掴み」というフレーズを入れてるのはこの頃の黒夢へのリスペクト。
歌詞は放送禁止用語を連発すれば格好良いと思っているところに若さを感じます(笑)
しかし、そんな事を感じさせない激しさを持つ曲です!

M10「亡骸を」

黒夢 - 亡骸を

雑誌で「亡き祖母にあてた曲」と清春が言っていた曲です。
イメージ通りのバラードで、メンバーも思い入れがある楽曲。
初めて聞いた時は、愛した女性への思いを歌った感じの世界観だと思っていました。
しかし、亡くなった祖母に贈ったという話を聞いた時に、
去りゆく敬愛すべき人への愛の歌なんだな...としみじみ感じました。

<UNDER>根底に流れる精神は永久に変わることはない!!

当時のライブオープニングSEである不気味なオルゴールの音色から、
M1「UNDER...」で本作の幕が上がります。
前作からの流れを汲む強烈な2ビートが印象的。
ちなみに本作のドラムは、クレジットでは匿名となっていますが、
一時在籍するex.THE STAR CLUBのHIROが担当しています。
そしてこの曲に込められた意味を、清春は当時のインタビューで
「時の流れとともに外見や表現方法が変わっても底辺<根底>に流れるものは
変わらない、変わってしまってはおかしい、そういう事を歌っています。」と
語っていました。
常にシーンの主流へ対するカウンターであり続け、スタイルを変えても反逆精神を
持ち続けた黒夢。
「UNDER...」は、そういった黒夢のアティチュードを体現した曲となっています。
現にインディーズ期の代表曲であり、ファンクラブ名を冠すほど重要なポジションに
あった曲なのです。

M2「終幕の時」M4「讃美歌」M6「MISERY」M7「if」では、救いようのないほどに
冷たく残酷な暗黒美旋律が鳴り響きます。
後のインタビューで、本作リリース前に東芝EMIとの契約を済ませており、
M6「MISERY」のようなミドルテンポで美しいメロディーをもつ曲を求められた事を
明かしていました。

M3「DANCE 2 GARNET」M5「十字架との戯れ」M8「JESUS 」で魅せる臣の
サディスティカルなギターと人時のうねり踊るベースが、リスナーのボルテージを上げます。
そこに重なる清春の独自性が高いビブラートやヒステリックな唱法が、退廃美をより
色濃くしていきます。
そのボーカルだが、スケジュールの都合により2日間で録り終えたというから驚きです!
所謂"王道"に寄り添ったアプローチも見受けられますが、決して安易なものになっていません。
それは、彼らが根底に持つ精神とバランス感覚のなせる技ですよね!

「生きていた中絶児」から再録されたM9「親愛なるDEATHMASK」は
"神の遺産"とも呼ぶべき曲。
耳を突き刺すような残虐でノイジーなサウンド、叩きつけられる狂気の世界、
性急な"ツタツタ"ビートの上を這いずり回る発狂寸前のボーカル、
清春の専売特許であり伝家の宝刀でもあるシャウトにビブラートをかけた
"ビャイヤイヤイヤイ"など、細部に至るまで多くのフォロワーたちに伝統芸として
継承され、様式のひとつを作り上げた歴史的名曲なのです。

ラストはDEAD END/Serafineを彷彿とさせる壮大なナンバー M10「亡骸を」。
この曲は、清春が亡くなった祖母へ追悼の意を表した楽曲となっており、
清春ソロでは「PHANTOM LOVER」としてセルフカバーされています。

発売後、「亡骸を...」は前代未聞のインディーズチャート2ヶ月連続首位を
記録する大ヒットとなりました。
これは本作がいかに革新的でセンセーショナルな作品であったかを物語る出来事の
ひとつ。

もしあなたがヴィジュアル系というカルチャー・ムーブメントの深淵に触れたいと
思うのなら、この作品は必ず手に取るべき聖典のひとつです。
ヴィジュアル系シーンの根底に脈々と流れる黒夢の遺伝子を、黒夢がレジェンドと
呼ばれるその所以を、きっと感じ取る事が出来るはずですよ!
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