『犬夜叉』が教えてくれる、戦い方の形、「立場」というもの。
2016年3月24日 更新

『犬夜叉』が教えてくれる、戦い方の形、「立場」というもの。

大御所、高橋留美子先生の作品です。タイムスリップ、妖怪、バトルといった王道的な要素がてんこ盛りですが、それだけでないのはさすがといった所です。

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皆何と戦っているのか

この作品では様々な妖怪等が登場し、彼らと戦います。
が、よく使われる言い回しとして、「別の何か」とも戦っているんですよね。

犬夜叉の場合

・半妖という出自と、それにまつわる種々のこと。
・桔梗に対する愛憎混じった気持ち。
・かごめと桔梗との間で揺れる気持ち。
揺れてましたが、最終的にかごめをとったようですね。かごめを追って、一緒に戻る。そうしたいと強く願ってたんでしょうか。

かごめの場合

・犬夜叉に対する気持ち、桔梗に対する気持ち。
現代っ子が戦国時代で妖怪退治ってのが凄いですし、最後がまた・・・。
優しいし、強い。ある意味で最強かもしれません、この子。

珊瑚の場合

・弟に対する気持ち(兄弟の情愛)。
かけらのおかげで生きていられる状態、操られて一族を皆殺しにした弟・・・心配ですよね。
こればかりは妖怪退治のようにただ倒せばいいというわけではないので、悩みどころでしょう。

弥勒の場合

・祖父の受けた風穴という呪いめいた宿命。
少し悲しげに、自分も飲み込まれるだろう、といった趣旨のことも言ってました。
実際父親が「飲まれる」様を見ているわけですし、それが嫌なら戦うしかない、と。

殺生丸の場合

・父が蔑みの対象だった半妖に形見を遺した、という事実。
天生牙を「斬れない」と苛立たしげに言っていましたが、冥加曰く父には「真意」があった模様。それに気づくためには、名前通り殺生と破壊を繰り返すだけではいけない模様です。
りんとの出会いで彼も変わったんですね。

奈落の場合

・桔梗への執着?
何だかんだ言っても、桔梗を慕う鬼蜘蛛の気持ちから妖怪が集まってきたわけで。
もしかすると自分の中にある「人間性」と戦っていたのかもしれませんね。

神楽の場合

・自由になりたいのになれないといういらだち。
それなりに奮闘したものの、結局は捨て駒的な扱いになりました。心臓を「返して」もらいますが、瘴気という毒のような気を吹き込まれたため、結局は死亡です。

まとめ

『犬夜叉』はある時期から戦国時代での戦いが増えた感がありますが、初期の頃は現代を舞台にしていました。
その中の「タタリモッケ」という妖怪との「戦い」が、この作品の縮図と言える気がします。
そもそもタタリモッケは「悪い妖怪」というわけではなく、本来は子供の霊をあの世へ連れて行く存在。
しかし、悪霊と化しつつある場合は少しずつ目が開いていき、開ききると地獄へ連れ去るのです。
手前にいる少女は自宅火災で死亡したのですが、母親が「弟だけ連れて逃げた」と逆恨みをし、悪霊化。
ずっと近くにいるのに、諭すこともせず、悪霊となったらすぐさま地獄へご案内。
そんなタタリモッケとの「戦い」は、その後の展開の布石だったのかもしれません。
タタリモッケ=四魂の玉(力は与えないが、相手次第でどうとでもなる点で)
子供の霊魂=妖怪もしくは人間
タタリモッケ戦=倒すばかりが戦いではない
そんな見方もできると思います。飽くまで私見ですが。
タタリモッケ

タタリモッケ

大体が、四魂の玉自体、内部で翠子という女性がずっと戦ってるんですよね。
果たすべき使命もあれば、それぞれの宿命、立場(犬夜叉の場合は半妖)もあります。そこからさまざまな感情が生まれて、時には「争い」も生まれます。
様々な「争い」や感情等のしがらみからの解放のためには戦わなくてはならない。そして、戦いの形は一つではない。
何だか、そう思いました。
作中で登場人物がとった行動を見れば、「どう戦えばいいか」が見えてくるかもしれません。
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