70年代前半にアルバムが7作連続で全米首位に輝いた男、エルトン・ジョン
2016年7月11日 更新

70年代前半にアルバムが7作連続で全米首位に輝いた男、エルトン・ジョン

70年代のエルトン・ジョンは凄かった!人気、作品の質、そして量と全てが桁違いです。奇跡ともいえる栄光の7枚のアルバムを紐解いてみます。

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この時期のエルトンはド派手なファッションに身を包み明るくポップなロックスターというイメージが強いが、エルトン作品の根底にあるものはノスタルジックな哀愁感だ。軽快で楽しいロックナンバーや心を洗われる美しいバラードの中にも叙情的なセンチメンタリズムが潜んでいる。彼はただの天才アーティストではなく人間の悲哀を表現することができる選ばれた音楽家である。例のあの眼鏡、あの帽子、あのファッションで登場し聴く者を泣かせることができるのはエルトンだけだろう。

 このアルバムは絶頂期の中の絶頂点と言えるものだ。個人的にエルトン・ジョンの絶頂期は最初にレコーディング及びツアーのメンバーが固定された第一期エルトン・ジョン・バンド時代だと思っている。アルバムでいうと「ホンキー・シャトー」から「キャプテン・ファンタスティック」までの5枚を制作した期間である。
 この5タイトル(ホンキー・シャトー、ピアニストを撃つな、グッバイ・イエロー・ブリック・ロード、カリブ、キャプテン・ファンタスティック)はバンド・サウンドが炸裂している。スタジオ・ミュージシャンやゲスト・ミュージシャンが集まってレコーディングした普通のソロ・アーティストの作品ではないのだ。明らかにロック・バンドの音作りでコーラス・アレンジやリズム隊のグルーブ感もたまらなく格好いい。

カリブ

Caribou

Caribou

1974年6月リリース
本作は、アメリカ・コロラド州ボルダー郡にある「カリブー・ランチ」というスタジオで制作され、アルバムタイトルはここからとられています。

【収録曲】
1.あばずれさんのお帰り - The Bitch Is Back 
2.ピンキー - Pinky
3.グリムズビー(美しき故郷) - Grimsby
4.ディキシー・リリー(ショーボートが川を行く) - Dixie Lily 
5.ソラー・プレステッジ・ア・ガモン(ぎらぎら太陽マークの特上ハム) - Solar Prestige A Gammon
6.ニューヨークの尻軽女 - You're So Static 
7.空飛ぶ円盤 - I've Seen The Saucers 
8.スティンカー(虫けらのような男) - Stinker 
9.僕の瞳に小さな太陽 - Don't Let The Sun Go Down On Me  
10.ティッキング(母さんの言葉) - Ticking

Elton John - The Bitch Is Back (with lyrics)

Year 1984 Breaking Hearts Tour @ Wembley Stadium

グレイテスト・ヒッツ

Greatest Hits

Greatest Hits

1974年11月リリース
エルトン・ジョン最大のセールスを記録しているアルバムです。

【収録曲】
1.僕の歌は君の歌 - Your Song
2.ダニエル - Daniel
3.ホンキー・キャット - Honky Cat
4.グッバイ・イエロー・ブリック・ロード - Goodbye Yellow Brick Road
5.土曜の夜は僕の生きがい - Saturday Night's Alright for Fighting
6.ロケット・マン - Rocket Man (I Think It's Going to Be a Long, Long Time)
7.風の中の火のように - Candle in the Wind
8.僕の瞳に小さな太陽 - Don't Let the Sun Go Down on Me
9.人生の壁 - Border Song
10.クロコダイル・ロック - Crocodile Rock
74年発表の「カリブ」までのベスト盤です。もうこれは何も言うこと無しの曲がずらり。エルトンの真に輝いていた時期の名曲を堪能して下さい。それまでのアルバムの中からあまねくチョイスとゆうよりも選曲が割と片寄っているのでエルトン本人がそれにかかわっていると見る方が。曲順も不思議と言えば不思議なんですがこれだけの名曲群だと聴いていてそんなことどうでもよくなってしまいます。初めて買う方にはほんとうってつけ。ここから始まって奥の深いエルトン・ワールドに入って下さい。クロコダイル・ロックの一人ハーモニーたまんない。これだけ聴いて来た人間もなおかつ感動させてくれるそんなアルバムです。

キャプテン・ファンタスティック

Captain Fantastic & the Bro...

Captain Fantastic & the Brown Dirt Cowboy

1975年5月リリース
デビューするまでの思い出をモチーフにしたコンセプトアルバムです。
史上初のビルボード・アルバムチャートで、初登場1位に輝いたアルバムでもあります。
前作がベスト・アルバムだったので、新作が待ち望まれていたのでしょうね。

【収録曲】
1.キャプテン・ファンタスティックとブラウン・ダート・カウボーイ(エルトン、バーニーの華麗な夢) - Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy
2.バベルの塔 - Tower of Babel
3.苦しみの指先 - Bitter Fingers
4.汽笛が鳴ったらおしえて - Tell Me When the Whistle Blows
5.僕を救ったプリマドンナ - Someone Saved My Life Tonight
6.ミール・チケット - (Gotta Get A)Meal Ticket
7.僕に迫る自殺の誘惑 - Better Off Dead
8.ライティング(歓びの歌をつくる時) - Writting
9.幼き恋の日々 - We All Fall in Love Sometimes
10.ベールの中の遠い想い出 - Curtains
エルトン・ジョンの人気が頂点に達した頃に発売された作品。
それまではエルトンのピアノがフィーチュアされることが多かったが、一曲目の「Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy」が、アコースティック・ギターのイントロで始まったので、ちょっとワクワクした思い出がある。
「ピアニストを撃つな」「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」から続く洗練された気持ちの良いアルバム。それを象徴するような曲が「SomeoneSaved My Life Tonight」だろう。それにしても、エルトン&バーニーから短期間に次々と生み出される曲の素晴らしさは勿論だがその量にも驚いたものだ。
この作品は、エルトンが頂点を迎えていた時期でもあり、世界のポップミュージックをリードしている貫禄を備えている。

ロック・オブ・ザ・ウェスティーズ

Rock of the Westies

Rock of the Westies

1975年10月リリース
前作からわずか5ヵ月後に発売されました。

【収録曲】
1.メドレー(助けて!~水曜の晩じゃないといい~厄介女) - Medley(Yell Help, Wednesday Night, Ugly)
2.ダン・デア(未来のパイロット) - Dan Dare(Pilot Of The Future)
3.アイランド・ガール - Island Girl 
4.今夜は怖いぜ!(国境の町酒場) - Grow Some Funk Of Your Own
5.さすらいの弾丸(ロバート・フォードの拳銃) - I Feel Like A Bullet(In The Gun Of Robert Ford)
6.ストリート・キッド - Street Kids
7.ハード・ラック・ストーリー - Hard Luck Story
8.なぐさめを僕に - Feed Me 
9.ビリー・ボーンズと白い鳥(船が沈む、食い止めろ!) - Billy Bones And The White Bird

Don't Go Breaking My Heart - Elton John & Kiki Dee - YouTube

Don't Go Breaking My Heart - Elton John & Kiki Dee
余りにもハイペースでアルバムを発表し、並行してライブ活動を行うエルトン・ジョンは、精神的にも肉体的にも徐々に追い込まれていったようで、次作「蒼い肖像」発売後、引退を表明し一旦音楽活動を休止してしまいます。

世界で活躍するというのは本当に大変なことですね。
しかし、そうした中から生み出された楽曲は今尚私たちの心を捉えて離しません。
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