実は『ケロヨン』の生みの親!影絵作家・藤城清治の60年以上にわたる幅広い創作活動の世界。
2016年4月25日 更新

実は『ケロヨン』の生みの親!影絵作家・藤城清治の60年以上にわたる幅広い創作活動の世界。

影絵作家として有名な藤城清治さん。でも実は、1960年代に爆発的に流行した『ケロヨン』は、藤城さんが手がけたものでした。ケロヨンや木馬座アワーを始め、CM・絵本の制作・最近の影絵の作品など、長年、精力的に続けてこられた幅広い創作活動をまとめてみました。

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絵本「マボロシの鳥」爆笑問題 太田光さんの小説とコラボ

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マボロシの鳥

マボロシの鳥

藤城さんの影絵の創作方法

藤城さんの影絵の作り方を知りたい!まねしてみたい!と思われる方が多いと思いますが、その技法は緻密で、途方もない労力から生み出されています。
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台紙に下絵を描き、黒い影にしたい部分と明るい部分に分け、光が当たる部分をカッターで切り抜きます。下からライトを当てる特製の机で、影を確認しながら作業していきます。

普通の人ならカッターを使うところですが、藤城さんはカミソリの刃を直に持って切り取ります。その方が、指先の延長のように自在に使いこなせるのだそうです。
カミソリの刃を、多い日で300枚も消費することもあるそうです。

光が当たる部分には、トレーシングペーパーを貼ります。
さらに光の濃淡をつけたいと思う部分は、トレーシングペーパーの枚数で調整します。
部分ごとに細かく枚数を指定していくと、たった1枚紙が多くなるだけで、山水画の様に、遠い山並みが現れることに感動しました。

色をつけたい時は、直接台紙にカラーフィルムを張り付けるやり方と、ライトの方に色をつけるやり方を組み合わせ、思い描いた色合いを表現していきます。
例えば青のカラーフィルムだけでも、60色を揃えているそうです。
この細やかな色遣いは、本当に職人技です。
実際に、藤城さんが製作されている様子を追った動画がありました。
文字で説明するより、動画冒頭の20秒ですべてがわかります。
百聞は一見にしかず。ぜひご覧ください。

『ワヤン・クリ』『ステンドグラス』 幅広い研究と努力

ワヤン・クリ

ワヤン・クリ

インドネシアのジャワ島やバリ島などを中心に南アジア一帯で広く親しまれてきた伝統的な影絵芝居、ワヤン・クリ。ランプの光と独特な人形がつくる美しい影の動きに合わせ、ダランと呼ばれる影絵師の声とガムランの演奏が織りなすワヤン・クリは、ユネスコの無形文化遺産にも登録された文化的価値の高いもの。元来、ヒンドゥー寺院での祭りなどで演じられていたと記録にあり、インドの叙事詩などが演目として知られる。
ノートルダム寺院のステンドグラス

ノートルダム寺院のステンドグラス

via http://4travel.jp/travelogue/10459119
藤城さんは、早くからジャワ・バリに伝わる『ワヤン・クリ』の素晴らしさを研究されていました。ワヤン・クリの人形を見たことがありますが、本当に精巧で、美しかったのを覚えています。

またヨーロッパのステンドグラスの色遣いもとてもよく研究されています。
下の影絵は、小さくてわかりづらいのですか、窓一枚一枚の宗教画がちゃんと再現されています。
圧巻です。
藤城さんの影絵のステンドグラス

藤城さんの影絵のステンドグラス

震災と向き合う

こうして数々の作品を世に送り出してきた藤城さんですが、近年、その創作活動に変化がありました。きっかけは、東日本大震災でした。
『心象風景とかメルヘンとか描いていたけれど、それだけじゃなくて、実際に地球上に起きていることを描こう』
創作の視点をリアリティの世界に向かわせたのです。
それは藤城清治さんの学生時代の原点に戻ることでもありました。
大学時代に人形劇に出会う。入学した翌年、太平洋戦争が勃発。勤労動員に駆り出された。慰問人形劇班を結成し、農村や工場をまわった。
「泣いて感動してくれる人もいてね。戦時下で人を勇気づけることができた経験は私の原点。」
海軍に志願し、九十九里浜に向かった時も、人形は肌身離さず持っていた。
「よく人形劇なんてできましたね、と言われるけど、覚悟はできていたからね。」
生きるか死ぬかの極限状態だからこそ、精一杯打ち込めたのだろう。
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