主人公のわかったさんは、クリーニング屋の娘で、お父さんとお母さんの3人暮らし。小さなワゴン車で、クリーニングの配達に行くのが、わかったさんの仕事です。『わかったさん』というのは、両親に「事故起こすなよ」、「間違えて届けたらダメよ」など注意されるたび、「わかったわかった」と返事するため、そう呼ばれるようになりました。
児童書『わかったさん』シリーズとは、ご両親が営むクリーニング屋さんで働いている一人娘・わかったさんが、こまったさん同様ファンタジーな世界に巻き込まれて色んなお菓子と出会うストーリーを描いた、お子さん向けのロングセラーお菓子絵本です。
明るく活発なわかったさんが、不思議な世界のおかしな登場人物にふりまわされながらも、何とか問題解決して元の世界へ戻る美味しい冒険劇は大人が読んでも充分に面白く、読み返すごとに違った発見があって楽しいです
ゆかいなお話とおいしいお菓子の作り方が一冊で楽しめる好評シリーズ。クリーニング屋さんのわかったさんが、配達の途中でまきこまれる不思議な世界。お話のなかに、お菓子作りのカギがあり、巻末には、実際の作り方をわかりやすく解説しています。
1987年から1991年の4年間に渡り10冊、あかね書房から出版された「わかったさんのおかしシリーズ」。
寺村 輝夫 作/永井 郁子 絵
寺村 輝夫 作/永井 郁子 絵
わかったさんのおかしシリーズ(1987年-1991年)料理を扱う『こまったさん』シリーズ(挿絵は岡本颯子)が好評だった為、お菓子をテーマに永井の挿絵で始められたもので、寺村と永井の初コンビ作。
1.わかったさんのクッキー
クリーニング屋のわかったさんは、今日も小さなワゴンで洗濯物を配達に出かけます。
配達を終えて、お店に帰ると、洗濯物の中からカギが一つ落ちました。
お客さんの持ち物かもしれないと、わかったさんは心当たりのある場所に引き返します。
2.わかったさんのシュークリーム
via www.ne.jp
今回は雪の日の配達です。
すべって転んで起き上がると、そこは別世界。
お客さんにもらったペンダントのゾウと一緒に
シュークリームを作ることになります。
3.わかったさんのドーナツ
ある日、クリーニング屋さんが定休日で家の留守番をしていたわかったさんは、家でのんびりTVを見つつ「ケーキを焼こうかな。それとも、ドーナツにしようかしら」とのんびり空想にふけるのですが、そんな時一人のかわいいお客さんがやって来ます。
そのお客さんは、ぱっちりした瞳と長い三つ編みがトレードマークな小学生くらいの女の子だったのですが、わかったさんが今日は定休日だと何度説明しても、「このブラウス、洗濯してください」「明日、取りに来ます。お願いします。さようなら」と一方的に言い、そのままお店から出ていってしまいます(←大人しそうな外見に見合わずかなり強引な性格で、初見時はびっくりしたものです;)。
こういう時、こまったさんだったら「こまったわ」と気弱に呟く所ですが、わかったさんは勝気なタイプなので「こうなったら、意地でも、ブラウスを返してやるわ」と燃え、飼い犬のポレにブラウスの匂いを嗅がせて後を追わせていました。
そして、わかったさんはポレについて行って見た事もない公園に足を踏み入れ、池に浮かんでいた巨大な浮き輪がどんどん膨らんでレモンの香りがするドーナツになったり、そのドーナツが「シュワー フ フ フフフフ」「あぶらは ぬるめの 170度」「こがさず ゆっくり きつねいろ」と歌いだしたり、かと思えば揚がった途端いきなり池から出てきてくるくる回って砂場へいったりと、あからさまに奇妙な世界に迷い込んでしまうのですが、それでもわかったさんは「でも、いまは、それどころではありません」と解釈して、あくまでも三つ編みの女の子探しを優先します
その後、わかったさんは何故か作曲家と名乗る近所の酒屋・ラムさんに「きみを、音楽界に、招待しよう」と言われて迷路みたいなダンジョンへ放り込まれたり、そのダンジョンで間違った扉を開けて落とし穴に落ちた挙句小人化して危うくドーナツになりかけたり、やっと出口についたと思ったらあの女の子がいて、ブラウスを持ってきていないのを知った途端「あたし、あのブラウスを着て、シンフォニーで、歌うのよ。ブラウスがなければ、音楽界は、始まらないわ。帰ってよ。帰って!」と突き飛ばされてふりだしに戻ったりと、一言では語りつくせない程大変な体験をするのですが、最終的には洗濯されたブラウスを届けて音楽会は無事開催されていました
その際、音楽祭で女の子がレシピを歌詞にして歌い、現実の世界へ戻ってきたわかったさんが早速再現したのが、レモンドーナツなのです