2020年10月8日 更新
70年代前半にブームになった「ローラーゲーム」とは?
1970年代前半、東京12チャンネル(現テレビ東京)で『日米対抗ローラーゲーム』が放送されたことにより、ブームとなったローラーゲーム。殴る、蹴るが当たり前のエキサイティングな試合模様に視聴者は熱狂し、特に、日本人と日系人で構成されたチーム『東京ボンバーズ』は当時絶大な人気を誇りました。
漫画『20世紀少年』の中でも言及されていたローラーゲーム
2000年代前半に大人気だった漫画『20世紀少年』。その第18巻9話目に、テレビ局の一室でアシスタントプロデューサーの青年と、そこへ訪問した主要キャラのマルオと春波夫が、昔のテレビ番組が収録されたビデオテープをモニターで見ているシーンがあります。APの青年は過去のスポーツ番組から、今の時代にリバイバルして流行になりそうなものはないか探していたのです。その作業中に発見したのが、ローラーゲームに興じる選手の映像。それを見たマルオと春は人気選手の話題で異様に盛り上がっていました。
20世紀少年
このローラーゲームがブームになったのは、今から40年以上前となる1970年代前半のこと。きっかけとなったのは、東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放送されたテレビ番組『日米対抗ローラーゲーム』です。
そもそも、ローラーゲームとは何なのか?
ローラーゲームとは、ローラースケートを履いて行うチーム対抗のスポーツです。試合は、5名で構成されたチーム同士の対戦となり、幅3.6メートル、1周40~70メートルのトラックで行われます。得点権利者が何人抜き去ったかで競い合うのですが、小突いたり、タックルをかましたりして妨害するのは当たり前。時に殴り合いにまで発展するというエキサイティングな競技となっています。
百聞は一見にしかず。こうして文字で書くよりも、実際に見た方が早いので、まずは次の動画をご覧ください。
いかがでしょう。かなりの激しさではないでしょうか?
もともとは、アメリカ発祥のスポーツ
1930年代のアメリカで誕生したローラーゲームは、徐々にルールが整備されていった後、1960年代にテレビ中継の影響で流行していきます。日本においては、そのブームに気付いた東京12チャンネル(現テレビ東京)が、1968年4月から毎週米国のチーム「ロスアンゼルスサンダーバード」の試合の模様を放送。ちびっ子には大いにウケたそうです。
しかし、大人たちからは「子供向けのスポーツ」と認識されていたため、国内における人気は伸び悩み、やがて視聴率も低迷。1970年9月には打ち切られてしまいます。
ロスアンゼルスサンダーバード
1972年、日本人&日系人だけのチーム『東京ボンバーズ』が誕生する
ここで関係者は思いつくわけです。日本人に訴求するためには、やはり、日本人のみで構成されたチームが必要ではないのか、と。そこから幾度もの試行錯誤を繰り返した後、1972年、ついに日本人と日系人による“準”国産チームが誕生します。それが『東京ボンバーズ』です。冒頭の『20世紀少年』で話題になっていたのも、まさにこのチームでした。
この東京ボンバーズの誕生とほぼ時を同じくして始まった番組が、『日米対抗ローラーゲーム』です。というよりも、同番組の立ち上げは、ボンバーズの結成を前提に決定したといっても過言ではありません。たとえるならば、おニャン子クラブあっての『夕やけニャンニャン』、みたいなものでしょうか。
東京ボンバーズ
激しすぎる試合模様…。真似する子供たちが続出した
キャッチフレーズは「殴る!!蹴る!!つぶす!!話題のスポーツローラーゲーム」。攻撃的なにおいがプンプンします。というか、実際、エキサイティングな試合の連続でした。反則あり、乱闘あり、試合中断も日常茶飯事…。比喩表現ではなく、リアルに「トラック上の格闘技」が繰り広げられたのです。そこに土居まさるのアナウンスと、ドクター宮本の名解説が加わることにより、ボンバーズの試合は極上のエンターテイメントと化し、観る者を魅了したのでした。
特に子供たちへの反響は凄まじく、選手のまねをして友だちにタックルをかます児童が全国的に続出したそうです。今だったら、PTAやらBPOやらが即刻番組へ倫理的な是非を問い、1クールと持たずに打ち切りとなっているに違いありません。
何でもアリだったローラーゲーム
圧倒的人気を誇ったボンバーズのヨーコ
こんなに激しいスポーツなのに、1チームにつき半数は女性スケーターなのがこの競技のすごいところ。東京ボンバーズにも女性選手は所属しており、中でも圧倒的人気を誇ったのが、キャプテンをつとめた“ヨーコ”こと佐々木ヨーコです。同時代に活躍した南沙織ライクなオリエンタルな風貌とスラっとした長身、そして、選手としても有能だった彼女は、当時、アイドル的な人気を誇っていました。今は60歳を超えているヨーコは、いったい、どこで何をしているのでしょうか…。ぜひ、『あの人は今』で追跡してもらいたいものです。
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