『ガンプラり歩き旅』その66 ~「最初の」新世代ガンダム! 1/144 Zガンダム旧キット登場!~
2021年6月22日 更新

『ガンプラり歩き旅』その66 ~「最初の」新世代ガンダム! 1/144 Zガンダム旧キット登場!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、メカ単位での紹介をする大好評連載。 新展開第一弾の第66回は、ひさびさに「ガンプラ」に帰ってまいりましたということで、いきなり『機動戦士Zガンダム』の主役・Zガンダムの、それも1/144の旧キットからのご紹介になります!

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廃墟に等しいシャングリラコロニーで、一人の少年、ジュドー・アーシタが、Zガンダムに乗り込んだ!

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私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』( https://shimirubon.jp/series/146 )での、 再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。
今回紹介するのは、『機動戦士Zガンダム』の主役・Zガンダムの1/144旧キット。

ゼータガンダム 1/144 13 1985年8月 500円

1/144 Zガンダムのパッケージ。MSVパッケージの...

1/144 Zガンダムのパッケージ。MSVパッケージのリアル箱絵から、再びカラフルなデザインに戻った

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というわけで、久々の「ガンプラ」復帰第1回は、ツボを抑えまくった『機動戦士ガンダム』(1979年)の続編『機動戦士Zガンダム』(1985年)中盤から登場する、真の主役ガンダム、Zガンダムの1/144 キットの紹介である。

『機動戦士ガンダム』のガンプラは、試験的商品であったフルカラーモデルを除けば、1983年3月の段階で、1/60 ゲルググ、1/100 ゾゴック、1/1200 マゼランで終了しており、その後、1983、1984年は、バンダイがメインスポンサーを務める、富野由悠季監督・サンライス制作の『聖戦士ダンバイン』『重戦機エルガイム』に登場する、オーラバトラーやヘビーメタルのキット化と並行して、ガンプラシリーズの自社二次創作とでもいうべき「モビル・スーツ・バリエーション(MSV)」が並行して展開していた。
2色で成型されたランナーとポリキャップ

2色で成型されたランナーとポリキャップ

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その商品ラインナップも、アニメ版で没になったデザインから、メカデザイナーの大河原邦男氏によって独自に描かれたオリジナルMSの商品化、そしてその大河原氏に、商品化を前提に依頼した新規バリエーション機体、また当時大ヒットしていたガンプラ漫画『プラモ狂四郎』で登場したオリジナルモビル・スーツのキット化まで、一口にMSVといってもストリームは多岐にわたっていて、エンドユーザーも、完全スケールキットからの移行派や、ガンダム設定マニア、『プラモ狂四郎』ファンなど、多層構造でシリーズは2年に渡って展開された。
商品化ロボットが登場するアニメ原作がないロボットキットで、この規模で商品化が継続して盛り上がった例は、今に至る模型界でも他に例を見ない。

その中で、ガンプラも様々に試行錯誤を繰り返してそのフォーマットや技術レベルもブラッシュアップが積み重ねられていった。
関節可動も、首回転、肩回転、肩開き、上腕ロール、肘曲げ、手首回転、股間開脚、膝曲げ、足首自在接地など、初期ガンプラで個々にあった長所が均一で基本装備になり、その上で「首が前後に傾けられる」「肩が前後にスウィングする」等も取り入れられるようになっていた。
封入された塗装解説書では、まだこの頃はランナーに塗装す...

封入された塗装解説書では、まだこの頃はランナーに塗装する仕様で塗装が開設されていた

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それら新技術と新規フォーマットが、この『Zガンダム』ガンプラでは、基本的に踏まえられることになる。

一方、MSVと並行する形でキット化が進んでいた『銀河漂流バイファム』(1983年)から、今では常識になったポリキャップが関節軸の保持に用いられることが基本になるようになり、ガンプラも『Zガンダム』からは、基本上腕ロール以外は殆どの関節保持にポリキャップが用いられることになった。
塗装して完成した1/144 Zガンダム

塗装して完成した1/144 Zガンダム

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『Zガンダム』におけるZガンダムは、冒頭でも記したようにシリーズ中盤から登場する「真の主役機」であり、これは『戦闘メカザブングル』(1982年)以降の富野アニメの法則に従って「シリーズ中盤で主役メカが交代する」を、意図的に踏襲した結果、発想を逆転させるところから始まったアイディアであった。
他ならぬ「『ガンダム』の続編」であれば、その主人公メカには、「初代ガンダムと相似形」という要素と「新ガンダムとしての斬新さ」という要素の、2つの「続編で欠かしてはならないデザイン要素」が求められる。
Zガンダムのサイドビュー

Zガンダムのサイドビュー

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「それ」を、サンライズ、富野監督サイドは、まず序盤をガンダムMK-Ⅱという、誤解を恐れない言い方をすれば「元のガンダムを“エルガイムのメカっぽく”パーツ配置やディテールなどをブラッシュアップしたデザインのモビル・スーツ」を主役として登場させて活躍させる。
静止画ならともかく、派手に動いているだけであれば、ガンダムMK-Ⅱのシルエットとカッコよさは、初代ガンダムに極めて近いものがある。
Zガンダムのバックビュー

Zガンダムのバックビュー

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その上で、満を持して第21話『ゼータの鼓動』から、タイトルにもなっているZガンダムが颯爽と登場。ガンダムでありながら初代ガンダムとは顔や配色にその痕跡を遺すだけの意匠で、スパルタンなシルエットから高速戦闘機に変形して、シリーズ後半の敵と渡り合うという展開構想は、主役機交代劇が当たり前になっていた1985年でも、十分なインパクトがあった。
付属するオプション一覧。ビーム・ライフル、シールド、ビ...

付属するオプション一覧。ビーム・ライフル、シールド、ビーム・サーベル×2本。どれもノンギミック

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さて、ここでようやく、今回の主役、1/144 Zガンダムのキットの解説に移ろう。
このキットは、テレビでZガンダムが初登場(1985年7/27)した直後の、1985年8月に、『Zガンダム』ガンプラではNo.13で登場した。
商品化順では13番でも、間に1/100のガンダムMK-Ⅱ、ハイザック、ガルバルディβ、リック・ディアスを挟むので、1/144としては9番目の商品である。
また、同月にリリースされた1/144のザクタンク、グフ飛行試験型、ザクキャノン等は、実質はMSV商品のパッケージ替えなので、『Zガンダム』完全新作の1/144 キットとしては、前月のマラサイに続き6番目の商品として捉えるのが正解かもしれない。
腕の構造状態。基本、可動すべき部分には全て可動軸が仕込...

腕の構造状態。基本、可動すべき部分には全て可動軸が仕込まれているが……

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ここまでの1/144『Zガンダム』キット化は、ガンダムMK-Ⅱ(=ガンダム)、ハイザック、マラサイ(=ザク)、リック・ディアス(=ドム)、ガルバルディβ(=ゲルググ)と、どれも何かしら最初の『ガンダム』登場のモビル・スーツの、デザイン上の延長にある機体ばかりで、それらは手法的にはMSVデザインの系譜にあり、1/144 Zガンダムの直後のジムⅡも挟むと、MSVの箱替えキットがラインナップされているのを前提にすれば、バンダイ的には『Zガンダム』のビジネスというのを、MSVキットのユーザーを、そのまま取り込む意図があったことが推察できる。
組み上がった状態での可動範囲。まずは肩から、これが通常状態

組み上がった状態での可動範囲。まずは肩から、これが通常状態

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思い出を語ろう

     
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  • 市川大河 2018/6/10 23:25

    禿信者さん、いつもコメントありがとうございます。
    私的な記憶ですが、MSVが、同時期の「テレビ商品」エルガイムプラモと並行して、どんどん技術力をあげて、スケールモデル化していった先で、ポリキャップ仕様やコストなどはエルガイム系列から、設計等はMSVから、それぞれ融合してスタートしたのが『Zガンダム』ガンプラだったという印象です。
    ただ、この時期、バンダイの技術に対してアニメメカデザイナーさんたちが足並みをそろえきれず「可動ギミックを仕込むのだけれども完成すると動かない」キットや箇所が散見されました。
    今となっては、そこも含めて楽しい思い出ですが。

    禿信者 2018/6/10 21:25

    お疲れさまです大河さん。
    今回は「Zガンダム」というより「ZZガンダムでのZガンダム」という内容でしたね。
    Zのキットはどれもポーズが堅すぎるのが玉に傷でしたが、スマートなディテール、箱のデザイン性などは未来を感じさせるシリーズでした。
    特に第一弾のMk2は、オープニングの格好良さを連想させる箱絵で、今でも自分の中の歴代プラモキットのベスト1です!

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