2021年6月22日 更新
『ガンプラり歩き旅』その66 ~「最初の」新世代ガンダム! 1/144 Zガンダム旧キット登場!~
ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、メカ単位での紹介をする大好評連載。
新展開第一弾の第66回は、ひさびさに「ガンプラ」に帰ってまいりましたということで、いきなり『機動戦士Zガンダム』の主役・Zガンダムの、それも1/144の旧キットからのご紹介になります!
その中で、少なくともこの時点では、Zガンダムというデザインと存在感は、商品としては異端であった。
もっともアニメの方では既に、メッサーラやアッシマー、ギャプラン等の可変型モビル・スーツが先だって登場していたので、作品の画的にはそれほど極端な異端ではなかったといえよう。
さて、肝心の1/144 Zガンダムのキットの方だが。
満を持しての真打登場であり、主役のキットだけあって、基本的なシルエットとプロポーションの両立は、アニメ設定で見ても満点に近い。
今「アニメ設定で」と書いたのは、Zガンダム自体可変MSであり、ウェイブ・ライダーへ変形することを前提に置くと、胸のコクピット周りの青のパーツの配置や角度など、アレンジ云々以前の問題で、モビル・スーツ時とウェイブ・ライダー時で矛盾が多いのだ。
その上で、「アニメどおりに変形するZガンダム」は、バンダイはその後の10月に、1/100で商品化しており、誤解を恐れぬ言い方をするのであれば、「アニメでの変形」を正解とするのであれば、37年間のガンプラの歴史の中で、唯一「完全変形するZガンダム」は、この時の1/100しか、今はまだ存在していないのである。
なので、1/144 Zガンダムは、変形機構を最初からオミットして、モビル・スーツ時のプロポーションの再現に全力を注いだ結果、今の目で見ても「アニメ版としては」最高峰の出来を誇るクオリティに至っている。
その後、90年代のHG以降は、バンダイが「模型化しやすいように」「二次元の嘘に整合性をとれるように」元デザイン自体を変える手法が定着していったので、HG以降のZガンダムは、細部のデザインは純粋なテレビアニメ版とは細かく違ってきているので、そういう意味でもこのキットの存在価値は、現代においても色あせるものではないと言い切れる。
キットの方は、上でも書いたが『Zガンダム』1/144 では、関節にポリキャップが標準装備されるようになっている。
この時代なので、ポリキャップは基本「小さくて、ストッパーが角で固定されるB」と「大き目で、ストッパーが円柱軸で、回転可動も可能なA」の2種類を使い分けており、典型的な運用例としては、肘や膝の可動はB、肩、股関節、足首にはAという使い分けが慣例的であった。
ランナーの方は、このシリーズから『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)時期までの1/144は、2色のランナーで構成されるフォーマットで統一されるようになる。
例えば、ガンダムMK-Ⅱであれば「グレーと紺」、ガルバルディβであれば「ピンクと赤茶」といった感じであり、このZガンダムも「青と白」であり、赤や黄色、グレーなどの部分は一切ないが、一切塗装せずに組んでも、意外と雰囲気はアニメイメージを崩さないレベルでとどまっている(いや、あくまで当時の印象の話なだけではあるが)。
間接可動の方は、これは現代でこそ、デザインとガンプラ技術開発がコラボして新メカを開発するという足並みが揃っているようになったが、この当時は(特に前年の『重戦機エルガイム』辺りから顕著に)プラモデル技術力の上昇と、メカデザインのインフレとが、悪い意味でバッティングしあった結果のキットというのが増えていた。
これがまだ、大河原邦男氏辺りのデザインだと、格好良さと可動性の実現を常に念頭においた新デザインを発信してくださるのだが、当時の新進気鋭のメカデザイナーの多くは、画としてのメカの格好良さや斬新さには尽力するのだが、それがいざ模型メーカーでキット化するとなった時に、そのデザインで果たして関節が動くのかというエクスキューズへの配慮は、充分とは言えないデザインも多く、ロボットプラモ界は、だからじりじりと市場規模が縮小へ向かっていた。
市場規模縮小への危機感が「ここはやはり『ガンダム』の続編を」という意見を主流にさせたのだが、では肝心の新主人公ガンダムのガンプラはというと、いざ出来上がったものは、二次元をガンプラ化したものとしては及第点で、ポリキャップなどのマテリアル技術点もハードルをクリアしているのだが、組んだ人ならば分かると思うが、このキット、肘と手首以外は、想像以上に「動いてくれない」キットなのである。
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