ダブル受賞した2人の投手
ところが、最優秀選手(MVP)となると、NPB史上わずか2人しかいません。
いずれも投手。その2人とは・・・・
日本ハムファイターズ 木田勇投手(1980年)
近鉄バファローズ 野茂英雄投手(1990年)
です。
また、MVPは優勝チームから出ることが多いですが、2人はいずれも優勝チームではありません。日本ハム、近鉄は、いずれも3位。このねじれは、いかに2人の成績が優れていたかを示す傍証と言えるでしょう。
それでは、木田投手と野茂投手の成績を振り返ります。
木田勇(日本ハム)
いきなり月間MVP
ルーキーイヤーの1980年。木田は、オープン戦で好投すると、その結果を買われ、開幕2戦目の西武戦に先発登板します。当時の西武打線は、土井正博、田淵幸一、野村克也の3人のベテランホームランバッターを擁する怖い打線。しかし、木田は、土井のホームランの1点に抑え、なんと初登板・初先発・初勝利・初完投を同時に達成します。さらに、3戦目のロッテ戦では、初完封まで記録。ルーキーイヤーの最初の月となる4月は、4勝0敗、2完投、1完封、防御率0.79で、いきなり月間MVPを獲得しました。
木田勇が出演した日本ハムのCM
MVP・新人王・3大タイトルを獲得
ルーキーの場合、シーズン前半は好調でも、後半からバテて崩れてくることがよくありますが、木田の場合、むしろ真夏の方が絶好調で、なんと7〜8月は7勝0敗。チームは前期2位、後期2位で僅差で優勝を逃すも、木田はチームの3分の1の勝利を獲得し、チームの躍進に貢献しました。
この年の木田の記録は次の通りです。
成績 | 22勝8敗4S、225奪三振、防御率2.28、勝率.733 |
タイトル | 最多勝利、最優秀防御率、最高勝率 |
表彰 | 最優秀選手(MVP)、新人王、ベストナイン、ダイヤモンドグラブ賞 |
日本記録 | 毎回奪三振シーズン3回、23イニング連続奪三振(当時) |
参考 | 最多奪三振(当時は連盟表彰なし) |
1980年の木田勇
リーグ優勝にも貢献
木田勇の足跡
野茂英雄(近鉄)
8球団がドラフト1位指名
ルーキーイヤーの1990年。木田と同様、野茂も開幕2戦目の西武戦に先発で登板します。しかし、木田とは対照的に西武打線に捕まり、敗戦投手に。続くオリックス戦も、7失点を喫する惨敗で、その後も日本ハム戦のリリーフで追加点を献上してしまいます。
結果の出ないまま迎えた、4月29日のオリックス戦。ここでついに、野茂はその本領を発揮し始めます。この日オリックス打線は、野茂の前に、三振、三振のオンパレード。終わってみれば、9回完投17奪三振のプロ野球タイ記録で、プロ初勝利を完投で達成しました。
春先は黒星が先行したものの、6月に入ると無傷の4連勝。初の月間MVPを獲得しています。
1990年6月3日西武戦
MVP・新人王・沢村賞・4大タイトルを獲得
この年の野茂の記録は次の通りです。
成績 | 18勝8敗0S、287奪三振、21完投、防御率2.91、勝率.692 |
タイトル | 最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率 |
表彰 | 最優秀選手(MVP)、新人王、沢村栄治賞、ベストナイン |
日本記録 | 21試合シーズン2桁奪三振、5試合連続2桁奪三振、奪三振率10.99(当時) |