「ハギノカムイオー」。史上最高額(当時)で落札された超スターホースを振り返る!
2016年11月25日 更新

「ハギノカムイオー」。史上最高額(当時)で落札された超スターホースを振り返る!

「高額馬」「黄金の馬」「華麗なる一族」と呼ばれ、人間のさまざまな思いとともに、ターフを駆け抜けた「ハギノカムイオー」。そのレースは、華やかなものばかりではなかったのです。 人間社会に鮮烈なデビューをした、サラブレッドの一生を振り返って見ましょう。

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高松宮杯 中京芝2000m 6月26日

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「単勝1倍」という圧倒的な支持を受けて臨んだレース、ハギノカムイオーにライバルたちが襲いかかります。
まず、「タカラテンリュウ」が2コーナー過ぎの直線で並びかけます。しかし、これを振り切ります。
すると、次は3コーナーで「カズシゲ」が並んできます。それでもトップを譲りません。
そして、最後の刺客「イーストボーイ」が早めにまくりに出ました。
しかし、ハギノカムイオーは強かった。「イーストボーイ」を最後の直線で振り切り、入れ代わり立ち代わり襲いかかるライバルたちを見事蹴散らして、逃げ切りのトップでゴール。
圧巻のレースでした。
母「イットー」姉「ハギノトップレディ」とともに、母子・姉弟で制した宮杯。関係者・ファンにとって、万感の思いとなるレースになりました。
のちに、このレースは「ハギノカムイオーへの3本の矢」と称されることになります。

燃え尽きるまで

高松宮杯を制したハギノカムイオーは、療養後、オープン戦(東京芝 1800m 11月12日)に復帰します。しかし、ここで信じられない光景を目にすることになります。8頭立ての7着。平場のレースでいきなり惨敗をするのです。何が起きているのかわからないまま、ファンたちは次のレースを迎えることになります。

ジャパンカップ 東京芝2400m 11月27日

1983年 第3回ジャパンカップ スタネーラ - YouTube

スタートから先頭に立ったハギノカムイオーは、快調に飛ばしますが、向こう正面で2番手以下を20馬身以上離す暴走を見せます。
4コーナー付近で後続馬に捕まると、そのまま失速、ゴールする時には、彼の後ろに誰もいませんでした。
16頭立ての16着。
最下位でした。

有馬記念 中山芝2500m 12月25日

ジャパンカップの悪夢から約1か月後、ハギノカムイオーは1983年のグランプリの舞台にいました。ファン投票第3位。あれだけのレースをしながらも、根強い人気がありました。
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先頭に立って逃げるハギノカムイオーからは、力強さが伝わってきませんでした。3コーナーから4コーナーで馬群に沈み、そのままゴールへ。
16頭立ての16着。ファンの期待に応えられず、最下位でした。
ジャパンカップに続いて、2戦連続の最下位となってしまったのです。
競馬関係者からは、距離適性云々の発言がありましたが、ファンの間では、「燃え尽きたハギノカムイオー」の印象が強かったようです。

ハギノカムイオー引退

有馬記念の後、陣営はカムイオーの引退を決断。
伊藤調教師の「これ以上ファンの夢を壊したくありませんので」のコメントに、涙した人も多かったのではないでしょうか。
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1984年(昭和59年)1月8日 京都競馬場にて
引退式が行われました。
ゼッケンは「11番」。
宝塚記念出走時のものでした。

生涯成績;14戦8勝(重賞6勝)
生涯獲得賞金;2億3112万円
こうして、勝つか着外かの激しいレースをしたハギノカムイオーの競走馬人生はエンディングを迎え、ターフを後にし、種牡馬として第2の人生を歩むことになるのでした。

ありがとう、カムイオー

北海道・中村畜産で種牡馬生活をスタートしたハギノカムイオーですが、高額な(200万)種付け料の割には、産駒に恵まれませんでした。目立った成績を残す子供を輩出できないまま、2000年以降、種牡馬から功労馬へと隠居していきます。
そして、余生を送っていた本桐牧場で、2013年4月10日午前8時10分、34歳の生涯を閉じるのでした。
燦燦たる成績を残しながらも、引退後はたいしてマスコミに取り上げられることもなく、人間のエゴ社会から様々な洗礼を受け、揶揄されながらも、ただただ、懸命に走ることに生涯を掛けた、悲運の名馬ハギノカムイオー。お疲れさまでした。そして、感動をありがとう。

ハギノカムイオー 2012夏 - YouTube

本桐牧場 馬房

本桐牧場 馬房

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