今回紹介するのは、旧『機動戦士ガンダム』の主役であるアムロが、満を持して『Zガンダム』に登場するに当たって、専用に使用されたモビル・スーツ、ディジェの1/144 旧キットを紹介します。
ディジェ 1/144 40 1986年2月 700円(機動戦士Zガンダム)
1/144 ディジェは『Zガンダム』の1/144キットとしてはラストになるNo.40で発売された。
それらのたいていは、当時の制作サイドの裏事情が分かったり、社会を見る目が広くなると、一般的な「大人の事情」が察せて、納得は出来なくても理解はできるようになるものなのだが、一部どうしても、理解できずに頭を悩ませる事象も残ってしまうのであるが、80年代の『ガンダム』シリーズのメカでいうのであれば、代表的な一例が「なぜバンダイは、過去から現在に至るまでに、ただの一度もドダイ改をキット化しないのか」というのがあったりする。
同じ「モビル・スーツを乗せるだけのメカ」でいえば、初代ガンダムのドダイは今でも商品化の機会があるし、『機動戦士ガンダムUC』(2010年)や『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)に登場したベース・ジャバー等は単独でキット化(1/144 1/100共に)されていたりもする。
だが。
大河さんの再現画像の場合、なにはともあれ貧乏人の独居ワンルーム生活の中で、ガンプラやら怪獣ソフビやらDVD-BOXやら、倉庫の中のような生活をしている関係上、ガンプラは基本1/144サイズの物以上は撮影ブースで上手く取り扱えないというのがある。
その上で、なにゆえ2018年現在のHGUC展開が、背景に『ガンダムUC』人気とのコラボレートがあるとはいえ、金型流用が効くわけではないという意味ではディジェと同じぐらいにはスタンドアローンの、ドーベンウルフやバーザムなどを商品化しておきながら、肝心のディジェをまだ出さないという理不尽さが不思議でたまらないのだ。
しかも、アムロ機という、これ以上ないバリューがあるのになぜ?とも思うわけだ。
金型が先にあるからとはいえ、限定品でHGUC Zガンダム アムロ機Verなどという代物をでっち上げて商品化するぐらいなら、劇中で実際にアムロが乗り込んでいたディジェを出してくれよと思ってしまうのは、大人げないだろうか?
ここからようやく今回のキットの紹介になるが、この1986年製の旧キット1/144 ディジェが、イマドキの最新鋭HGUCと比較した時には勝負にならないとはいえ、当時キットの中ではトップを争えるレベルで、造形、プロポーション、可動が優れていたというのは、だからHG化されない要因として悲しむべきか、それともHG化されてなくても絶望ではないと喜ぶべきか。
旧キット、1/144 ディジェとは、一言で言ってしまえばそういうキットなのである。
今回までで新装開店『ガンプラり歩き旅』は、カミーユのZガンダムを紹介するところから始まり、シャアの百式を紹介し、今回はアムロのディジェという流れになる。
新作主人公主役ガンダム、シャアのガンダム、アムロのモビル・スーツ。流れとしては悪くないが、これはミドルエッジに阿ったチョイスではなく、あくまでシミルボン『機動戦士ガンダムを読む!』再現画像を彩る上での、必然のチョイスであることを、ここで強調しておきたい。
さて。そんな流れで紹介する今回の1/144 旧キット・ディジェだが、出来はすこぶる良い物にしあがっている。
ランナーは、スカイブルー(というか、初音ミクの髪の毛の色のようなストーングリーン)のものと、濃紺色のものの2色で構成されていて、ポリキャップもA、Bというこの時期の標準装備。
可動範囲は、肩の開き具合が、上腕付け根のボール状パーツのおかげで水平近くまで開くかなと期待したのだが、ただ脇に向けて上げただけではあまり上がらず。
しかし、腕を前に伸ばした状態では内側に向けてはかなりスウィングさせることができ、ボディ前面では両手拳が交差するところまで互いが伸びて、これは優秀。