90年代前半ヴィジュアル系黄金時代に話題になった「名古屋系」を紐解く!!
2021年5月31日 更新

90年代前半ヴィジュアル系黄金時代に話題になった「名古屋系」を紐解く!!

90年代前半ヴィジュアル系黄金期、Silver-Roseや黒夢の全国進出に伴い、それに続く名古屋バンドの活躍が話題となりました。 中京圏V系インディーズシーンは異常な盛り上がりを見せ、当時の音楽メディアなどにより"名古屋系バンド"と称されていました。 そこで今回は、「名古屋系」とは何なのかを紐解いていきたいと思います。

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ポジティブパンク・ゴスの系譜となった「名古屋系」とは?

ヴィジュアル系黄金時代となった90年代前半。
Silver-Rose、黒夢の全国進出したことで、それに続く名古屋バンドの活躍が活発でした。
それを後押しする円盤屋の存在や、中京圏V系インディーズシーンは異常な盛り上がりを見せ、一つの大きなうねりとなりました。
そのムーブメントの渦中にいたバンドは、当時の音楽メディアなどで"名古屋系バンド"と称されるように。
「名古屋系」はヴィジュアル系という言葉と同なじく、ムーブメントを指す言葉で音楽ジャンルではありません。
しかし、名古屋シーン出身のバンドという意味合いに近かった名古屋系という言葉は、
90年代後半に黒夢/Laputa/ROUAGE/FANATIC◇CRISIS/Merry Go Roundなどが作り上げました。
また、この伝統様式を受け継ぐkein/Lamielといった名古屋系第二次世代が登場。
それにより、特徴が明確化され音楽性を表す言葉として使われるようになりました。

その名古屋系第二次世代が継承した伝統、オールドスクール名古屋系スタイルとは何なのでしょうか?
謎を紐解く鍵は名古屋系最重要人物の一人、清春のインタビューでの発言です。

「D'ERLANGER、ZI:KILLのコピーのような...そんなバンドが名古屋にはたくさんいた。
そういうのじゃなくて、アサイラムとかZOAとかガスタンクみたいなバンドがやりたかった。
シアトリカルでハードでダークなバンドがやりたかった。」
「当時多かった英語とかのいかにもなバンド名は付けたくなかった。
メイクしてニコニコして、お客さんに媚びているようなのとは全く別のものがやりたかったんだ。」
「その当時は僕らしかそんなバンドいなかった。
でも今は、ハードでダークで...包帯巻いたり血糊つけたり...そういうバンドたくさんいるよね。
僕らはそういう道筋を作ったんだろうな。」

黒夢結成時のコンセプト、ポジティブパンク/ゴスの影響下にある退廃的でダークな世界観。
それとハードコアのようにアグレッシブでハードなサウンド。
これこそが、多くのV系ファンが思い浮かべる「名古屋系といえばダークでハードなバンド」というぼんやりとしたイメージの正体。
その後のフォロワーが、オリジナル名古屋系から継承した伝統様式なのです。
また名古屋系代表格バンドの当時のインタビューにはポジパンというワードが頻繁に登場しています。
DEAD END、ビート色が影を潜めゴスに傾倒しはじめた頃のBUCK-TICK、バウハウスなどの4ADレーベルのアーティストからの影響を公言する者も多くいました。
さらに名古屋系はポジティブパンク/ゴスシーンとの親和性も高く、Lucifer Luscious Violenoueやオートモッドとも親交があります。
そのオートモッドの中心人物でありポジパンの帝王と呼ばれる”ジュネ”です。

ジュネは「黒夢はデスメタルがポジパンやっているような印象を受けた。」「ROUAGE、あれはポジパンだ。」という発言を残しています。
こういったことからも、彼らがポジティブパンク/ゴスから直接的にしろ間接的にしろ強い影響を受けている事がわかりますよね。
そう、名古屋系とはV系シーンの中でもポジティブパンク/ゴスに特化したスタイルを指すのです。


それでは、そのポジティブパンク/ゴスを基点に、オリジナル名古屋系第一次世代とポスト名古屋系第二次世代の中で特に純血度の高いバンドが気になりますよね。
それでは、時系列に沿っていくつか紹介していきます。

Love Generation - AUTO-MOD

1981年2月に発売されたシングル。
AUTO-MODは、「TOKYO DARK CASTLE」のオーガナイザーであるGENET(ジュネ)が1980年に結成し、フロントマンとして活動を続けるバンドです。
80年代当時盛り上がりを見せていた、日本のポジティブパンク・シーンを牽引する形で1985年にメジャー・デビュー。
AUTO-MODの解散を最終目的とした13回限定のシリーズ・ギグ「時の葬列」を主催し、1985年11月3日に後楽園ホールにて「時の葬列・終末の予感<最終夜>」を行い解散しました。

その後、様々な活動を経て1997年10月にGENETはAUTO-MOD名義での活動を再開。
クラブにおけるアンダーグラウンドイベントの可能性を目指し、2003年より「TOKYO DARK CASTLE」というイベントを主催し、精力的に活動を行っています。

「名古屋系」プロトタイプとなった黒夢の前身「GARNET」!

1990年に真宮(後にOf-J)を中心に結成されました。
そのサウンドは、まさしく名古屋系プロトタイプと言えるもの。
今井寿(BUCK-TICK)を彷彿とさせるニューウェイビーな真宮のギター。
そして、清春のボーカルが相性抜群でした。
TABOO以降のBUCK-TICK+初期黒夢と言えばわかりやすいかもしれません。
解散する1991年には初期黒夢のサウンドにかなり近くなっていました。
清春は、真宮にオートモッドなどのダークな要素があるバンドを教えてもらったと話していました。
これが「名古屋系」、はじまりのバンドなんです!

GARNET - MARIAS DESPAIR

黒夢の前身となったGARNET。
後に間宮を除いた三人と臣で黒夢を結成する事となります。
音源はデモテープの「麻薬」と「EINS」の二であり、この七曲に加え音源化されていない曲も多数あります。
楽曲は清春曰く機械的と言う様に、黒夢初期の様なドロドロ感はあまり見られません。
どちらかというと全体的にシャープで無機質な印象を受けます。

「名古屋系」と「コテ系」という2大派生ジャンルの始祖である”黒夢”!

1991年にGARNET解散の後に黒夢が結成されました。
グロテスクな世界観とシアトリカルな演出が話題となり一躍人気を博しました。
清春と人時が掲げたポジパン+ハードコアというコンセプトに、臣のジャパメタ仕込みのギター。
それらが重なり、ヴィジュアル系の既存スタイルを破壊したのです。
そして瞬く間にシーンの最前線まで躍り出た黒夢は多くのフォロワーを産みだしました。
さらに、"名古屋系"と"コテ系"という2大派生ジャンルを作り出したのです。
いわゆる"黒†夢"はメジャーデビュー作「迷える百合達」をもって完結しました。

黒夢 百合の花束

1994年3月9日に発売された黒夢のメジャー1作目のアルバム『迷える百合達 〜Romance of Scarlet〜』の楽曲です。
「百合の花束」は、インディーズ時代に渋谷公会堂で無料配布されたシングルにアコースティックバージョンで収録されていた曲です。
本作にはバンド演奏で収録されており、仮タイトルは「血の雨」となっていました。

正統派HR/HMの素養を持った名古屋系の雄「Laputa」!

1993年に結成されたLaputa。
初期こそ黒夢の影響を強く感じるサウンドでした。
しかしSilver-RoseのギタリストKouichiの加入により独自のスタイルを確立。
名古屋系バンドでは珍しく正統派HR/HMの素養を持ち、安定したサウンドが魅力です。
akiのコブシの効いたヴォーカリゼイション、Kouichiのハイレベルな作曲センス/ギターセンス。
彼らのサウンドスタイルを引き継いだバンドも多く、名古屋系の礎を築いたバンドといえます。
メジャーデビュー後は、バンドサウンドと打ち込みが融合したスタイルへ変貌していきました。

Laputa - 私が消える

1994年5月5日に発売されたインディーズシングルです。
まだKouichiが在籍していなかった頃のシングル。
ギターをJunji、Hidenoの二人が、またベースをKusubaが務めていました。
表題曲である「私が消える」は、LaputaのCD音源としては唯一、Hidenoが作曲に携わった音源。
1stプレスは1000枚限定で販売され、予約完売となりました。
また同年5月22日にはジャケットを変更し、2ndプレスとして発売されています。

ポジパン濃度最上級の「ROUAGE」!

1994年にROUAGEが1stアルバム「ROUAGE」をリリース。
ポジパン濃度が高いそのサウンドは、オートモッドのジュネに「ROUAGEはポジパンだ」と言わしめたほど。
それまでの王道ヴィジュアル系サウンドに強めのポジパン要素を融合させたスタイルは、これぞ名古屋系というものに仕上がっています。
ベーシストのKAIKI(ex.Silver-Rose)脱退後に、メジャー進出。
メジャーデビュー後には、ポジパン要素は徐々に影を潜めていきました。

ROUAGE - Queen

1996年4月22日に発売された、ROUAGEのメジャー1枚目のシングル。
表題曲でもあるQueenはBIBLEにアルバムバージョンとしても収録されています。
しかし、シングルとはかなりアレンジが異なっています。
イントロの効果音やピアノ、KAZUSHIのコーラス、最後のRAYZIのギターソロが含まれており、代わりにRIKAのバッキングがありません。
また、主観的な意見ではあるが音質そのものも本シングルの方が上回っています。
 後にシングルコレクションが発売されかしたが、そちらに収録されているのは何故かアルバムバージョン。
理想郷から本シングルにかけてみられるKAZUSHI独特な浮遊感のあるコーラスはなんとも素晴らしいです!

ポジパンを基盤にポップセンスが映える石月努率いる「FANATIC◇CRISIS」!

1994年にFANATIC◇CRISISが、1stアルバムである「太陽の虜」をリリース。
ポジパンを基盤にしたサウンドに、石月努のポップセンスが印象的でした。
楽曲にはシンセギターを使用しており、どこかBUCK-TICKを連想させる雰囲気もありましたよね。
そして、「太陽の虜」までの彼らは、まさしくダークヴィジュアル系であり、名古屋系そのものでした。
しかし「MASK」以降は、大衆性に重きを置いたスタイルへと移行していきました。

FANATIC◇CRISIS - 黒い太陽 (Making of Truth Tour Final)

1994年12月に発売された、FANATIC◇CRISISの1枚目のアルバム挿入曲です。
「黒い太陽」は、ダークテイスト満載の1曲。
イントロのギターのせめぎ合いがスリリングで、退廃的な世界観を際立たせています。
ミスマッチにも聞こえるデジタルサウンドや、ぼそぼそとした語り。
"ラララ"という不協和音を奏でるコーラスワークなど、様々なギミックを駆使しながら、崩壊の美学が表現されています。
デモテープの楽曲の再録という位置づけですが、楽曲の構築能力の高さを見せ付けたキラーチューンとなっています!

アブノーマルでアヴァンギャルドな絶対的カリスマ「Merry Go Round」!

Vo.真/Gt.Hideno/Ba.准那/Dr.KYOが揃ったメリゴが本格始動。
1996年にデモテープ「放送禁止の死んだふりをする潔癖症の実験体と箱の中の毒入りショートケーキ」をリリース。
80年代アンダーグラウンドシーンのアブノーマルでアヴァンギャルドな空気を凝縮させたような、
オリジナル度/変態度の高い音楽性は当時のシーンに衝撃を与えました。
黒夢と共に"名古屋系"や"コテ系"などに大きな影響を与えた存在です。
その影響力はDir en grey、蜉蝣といったゼロ年代以降のバンドにも及びました。
真が描く猟奇的な恋愛や、サディズムやマゾヒズムなどをモチーフにした性的倒錯の世界。
ドラッグソングともとれる精神異常の世界や、 早すぎたバンドマンとメンヘラ少女のラブソング。
転調や変拍子を多用したサウンドスタイル。
彼らはそれを"PSYCHEDELIC DRUGS"と称していました。
准那とKYO脱退後、コマーシャリズムを一切排除し、よりコアな方向へ向かっていきました。
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