今だからこそ聞きたいクラシックなヴィジュアル系の名盤!ROUAGEがインディーズ期にリリースした1stアルバム「ROUAGE」!!
2021年9月28日 更新

今だからこそ聞きたいクラシックなヴィジュアル系の名盤!ROUAGEがインディーズ期にリリースした1stアルバム「ROUAGE」!!

クラシックな名盤について色々と紹介してきましたが、これまではざっくりとした紹介が 多かったように思います。 そこで今回は個人的なチョイスではあるのですが、ROUAGEがインディーズ期にリリースした 1stアルバム「ROUAGE」をレビューしていきます。 "名古屋系"を代表する聖典のひとつであるこのアルバムの魅力を伝えていけたらと思います!

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ルアージュ - Amazon.co.jp

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M01「シ・ク・マ・レ・タ・ト・キ」
M02「Function」
M03「めざめのうたげ」
M04「Cry for the Moon」
M05「Mist of Tears」
M06「hide and seek」
M07「ark」
M08「Pa・ra・no・i・a」
M09「More Trance」
M10「Creation -審判-」

シ・ク・マ・レ・タ・ト・キ〜回り始めた歯車〜

ROUAGEは、KAZUSHI(Vocal)・RIKA(Guitar)・RAYZI(Guitar)・SHONO(Drums)の
4人で1993年に愛知県で結成されました。
バンド名はフランス語で歯車の意味を持っています。
1994年に名古屋界の重鎮であるex.Silver-RoseのKAIKI(Bass)が加わりインディーズ期の
ラインナップが揃いました。
シングル「SILK」のリリース・オムニバス「NEO ROCKS」への参加を経て、1994年7月に
本作「ROUAGE」はリリースされたのです。

ROUAGE - Shi.ku.ma.re.ta.to.ki

ROUAGEオープニングSEです。
"名古屋系"影の立役者であるMr.SASAKIが手掛けています。
SASAKI氏は本作のプロデューサー兼エンジニアで、キーボディストとしても
本作に参加しており、彼による効果音(メンバー曰く)が全編に施されているんですよ!

名古屋系ポジパン歌謡ここに極まれり!!

ROUAGE / Function

不気味な「死んでしまえばいいのに」という語りからRIKA作曲のM02「Function」へと、
なだれ込んでゆき本編の幕が上がります!
この曲はRIKAの前バンドの曲を流用したものだそうです。
ポジティブパンクをサディスティカルにしたような楽曲で、妖しくもアグレッシブ!
というか、あまりにもD'ERLANGER過ぎるフレーズが盛り込まれていたりします。
これはおそらくリスペクトを込めたオマージュなのかもしれませんね!

ROUAGE / めざめのうたげ

RAYZI作曲のM03「めざめのうたげ」 は「聖母は僕を釘づける」と歌うデカダンな詞世界と
歌謡曲的なメロディー、ツタツタビートが炸裂しています!
ラストに挿入されたガラスが割れる音も、マニアにとってはたまらないものになっていますよね。

Rouage - Cry for the moon

M04「Cry for the Moon」は、KAZUSHIが詞とメロディーを持ち込み作られた楽曲であり、
王道の銀テープ発射系シンガロングナンバーです!
ヴィジュアル系の王道に対するカウンターからはじまった"名古屋系"ではありますが、
こういった王道の要素を自己流に取り込んだスタイルがROUAGEの持ち味のひとつ
であると言えます!

ROUAGE - Mist of Tears

M05「Mist of Tears」 は、KAIKI作曲のダークでメロディアスなミドルナンバーです。
物悲しいメロディーが乗ったバラード。
薄く鳴るシンセが幻想的な雰囲気を出すのに一役買っています。
また後にオムニバス「NEO ROCKS」に収録されるのですが、アルバムとは別バージョンと
なっています。

ROUAGE - hide and seek

M06「hide and seek」 は、SHONO作曲の語りを多用した攻撃的なナンバーです。
ヴィジュアル系の王道と名古屋系特有の"黒さ"が共存しています。
よくある新規で音を足したりリズムを変えたりする現代のリミックスとは違い、
原曲そのままのサイズで各トラックをバランス調整したりエフェクト後掛けしたりと、
原曲を知っていれば違いは顕著にわかる仕様になっています。

ROUAGE - ark

M07「ark」はブリブリのベースが印象的なKAIKI作曲によるものです。
曲名はファンクラブ名にもなっており、本作のタイトル候補にもなっていたのだそうです。
前曲から間髪入れずに始まる重めの曲となっています。
歌詞は僅か2行のリフレインでしかありませんが、曲は5分弱。
このダークで神々しい雰囲気がとってもカッコイイんですよね!

[ROUAGE] - Pa・ra・no・i・a

M08「Pa・ra・no・i・a」 はRIKA作曲で、黒夢「狂人」を彷彿とさせる名古屋系アンセム。
ポジティブパンクとハードコアパンクを掛け合わせたようなスタイルは「これぞ名古屋系!」
という最高の仕上がりになっていますよね!
因みに、解散まで演奏され続けたヘドバン曲でした!

ROUAGE More Trance

SHONO作曲のM09「More Trance」 もM03、M06に通ずるような王道と名古屋系特有の
"黒さ"が共存した楽曲です。
前曲から間髪を入れずに、ドラムソロからスタートするアップテンポでダークな雰囲気。
こちらもアルバムで再録されますが、シンセが入っていない分、シングル版の方が
シンプルに感じるんですよね。
その替り、かどうか分かりませんが、アルバムには無いバックコーラスがサビに入っています。
攻撃的な曲で、ボーカルの高音が上がりきらない感じが、良い意味で気持ち悪さも備えた
楽曲になっています。

ROUAGE - Creation -審判-

ラストを飾るM10「Creation -審判-」はRAYZI作曲です。
ワルツ的な三拍子にどこまでもダークな呪いのような歌と語りが乗っています。
メンバーが「これからのROUAGEの序章」であると語っているように、後の作品へと
繋がっていくストーリー性を感じさせるものになっています。
本作は、演奏スキルや音質の面において決してクオリティーが高いとは言えません。
しかし、それらのマイナス要素が逆にプラスに働き呪術的な暗黒世界に更に深みを与え、
またそれらのマイナス要素を凌駕する初期衝動が閉じ込められています。
ライトなヴィジュアル系ファンには難易度の高い作品となるかもしれませんが、
一度ハマってしまえば抜け出せない中毒性を孕んだ作品なんですよね!

名古屋系スタイル純度100%のダーク世界!!

まだ幼さの残る頃、私はインディーズ期の黒夢に少しだけ触れてみた時がありました。
その頃バンドに”恐怖”を抱いたのは、当時のヴィジュアル系バンドの中で突出していた、
あのダークな世界観に恐怖してしまったのです。
確実に音楽的な免疫がなかったというのもありますが、とにかく恐ろしさがありました。

でも、その”恐怖”をかみしめているうちに”快楽”へと変貌を遂げ、同じような”恐怖”を
得られるバンドを探し始めるようになったのです。
その時に出会ったのが、すでに大人気を博していた黒夢に続く存在としての頭角を
現していた”ROUAGE”だったのです。
リリースされたばかりのシングル「SILK」を手にし、すぐに彼らのファンになった。

彼らはいわゆる"名古屋系"と呼ばれるスタイルの先駆者。
名古屋系と呼ばれるバンドには共通項はあるものの、バンドそれぞれに独自のスタイルを
形成しています。
ROUAGEは、名古屋系伝統のポジティブパンク/ゴス由来のシックかつダークなスタイルに、
DEAD END・BUCK-TICK・D'ERLANGER・LUNA SEAなどを通過した王道ヴィジュアル系
スタイルをミックスさせたサウンドが彼らのアイデンティティ。

血糊シャツを身に纏い小道具を使用したシアトリカルなステージを展開するなど、名古屋系の
中でも濃度の高い"黒さ"を見せていた彼ら。
しかし、音楽性の進化と共にその"黒さ"は徐々に失われ、純度100%のピュアな
名古屋系スタイルを味わいたいのならば、本作「ROUAGE」と翌1995年にリリースされた
「理想郷」を併せてdigして欲しいです!
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