2020年10月8日 更新
道ならぬ恋を歌った80~90年代の「不倫ソング」特集
「不倫は文化だ」と石田純一が名言(?)を残した通り、不倫は多くの人が悪いと思いながらやっているし、また不倫をテーマにした文学・ドラマ・映画なども、これまでに数多くつくられてきました。音楽もまたしかりで、過去を振り返ると、数多くの「道ならぬ恋」を歌った名曲があるものです。今回はその一部を紹介していきたいと思います。
恋におちて -Fall in love-(小林明子)
TBS系ドラマ『金曜日の妻たちへ』の主題歌として名高い『恋におちて -Fall in love-』。この曲で注目したいのは、「ダイヤル回して 手を止めた」という一節。作詞者・湯川れい子は、当時、プッシュホン式の電話が既に流通していたために、歌詞を改変しようか悩んだといいます。
恋におちて -Fall in love-(小林明子)
しかし、ダイヤル式という、あえて電話をかけるのに手間がかかるツールを登場させることにより、迷う女性の心理を表現したのだとか。プッシュホン式どころか、指でスライド操作できような時代になっても、このフレーズ、そしてこの楽曲が色あせないのは、不倫愛における深層心理をしっかりと捉えて描写しているからなのでしょう。
時の流れに身をまかせ(テレサ・テン)
不倫歌の女王として名高いテレサ・テン。彼女の切なく艶っぽいボーカルは、一流の作詞家・作曲家たちに耽美的なイメージを喚起させ、その結果、多くの不貞愛をテーマにした歌が生まれていきました。
特に名作として名高いのは『つぐない』『愛人』『時の流れに身をまかせ』からなる“不倫三部作”であり、本稿ではその締めくくりにして、彼女の不倫歌における集大成ともいえる『時の流れに身をまかせ』を紹介します。
テレサ・テン
もしも あなたに嫌われたなら♪
明日という日 失くしてしまうわ♪
時の流れに 身をまかせ♪
あなたの色に 染められ♪
テレサが歌う不倫歌の中には、“待つ女の美しさ”が揺蕩っていました。それは儚げで影のある彼女の人物像ともピタリと重なり、ゆえに、爆発的にヒットしたのです。
Missing(久保田利伸)
発表されたのは、1986年9月10日。今から30年以上前です。にも関わらず経年劣化しないどころか、2016年には、日本レコード協会リリースにおいてフル配信でのダウンロード75万件を達成するなど、今なお、幅広い層から愛されている名曲『Missing』。
I love you 叶わないものならば♪
いっそ忘れたいのに 忘れられない全てが♪
本人も「結婚している女性を好きになった男性の気持ちを書いた」と明言しています。この楽曲が、いつの時代も多くの人から共感されるのは、「不倫」というテーマもまた、時代に左右されない普遍性を帯びているからなのかも知れません。
難破船(中森明菜)
影のある美女に、不倫の歌はよく似合うものです。中森明菜もその例に漏れません。『少女A』の大ヒットで、早熟なイメージを世間に定着された彼女は、22歳にして、不倫歌『難破船』を発表。なんでも、作者である加藤登紀子が、明菜にカバーしてもらいたいと切望したのだとか。たしかに、加藤の読み通り、明菜の歌唱はムードたっぷりで、楽曲とマッチしています。
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