【1985年・阪神】完投できない先発陣なのに優勝!? 強力な打撃陣と安定のリリーフ陣
2023年11月5日 更新

【1985年・阪神】完投できない先発陣なのに優勝!? 強力な打撃陣と安定のリリーフ陣

2023年、18年ぶりのリーグ優勝を果たした阪神タイガース。防御率2.66の投手陣は、優勝への大きな原動力でした。一方、同じ優勝でも、1985年優勝時の防御率はなんと4.16。しかも、先発投手の完投試合数は15試合で、リーグ最下位でした。そんな先発陣を支えたのは!? 当時の投手陣を振り返ります。

391 view

1985年の阪神の投手成績

1985年の阪神タイガース投手陣の成績を見てみましょう。

主な先発投手の成績

まずは、主な先発投手の成績です。
選手名 登板 先発 完投 完封 防御率
ゲイル 33 33 4 2 13 8 4.30
池田 32 23 3 1 9 6 4.45
中田 31 20 4 1 12 5 4.23
仲田 25 17 1 1 3 4 4.38
伊藤 25 16 3 0 5 5 4.51
防御率が全員4点台。規定投球回数に達したチームのエース、ゲイル、池田までもが4点台です。因みに、他チームのエースを見ると、小松(中日)が2.65、斎藤(巨人)が2.96、遠藤(大洋)が3.15、北別府(広島)が3.57と、2〜3点台の成績を残しています。

勝ち頭ゲイル13勝先発登板数の33試合セ・リーグ最多です。ところが、完投したのは33試合中わずか4試合。因みに、遠藤(大洋)は28試合に先発し16試合で完投、小松(中日)は25試合に先発し14試合で完投しています。当時は、チームのエースは先発して完投するのが普通の時代で、ゲイルの完投率の低さは当時としては異常です。

チーム全体で見ても、完投試合数はわずか15試合セ・リーグでダントツの最下位です。

以下は、チームごとの完投試合数。

1. 広島 37完投
2. 巨人 26完投
3. 大洋 25完投
4. 中日 45完投
5. ヤクルト 28完投
6. 阪神 15完投


防御率が4点台で、完投できない先発陣にも関わらず、なぜリーグ優勝できたのでしょうか。その要因は、リリーフ陣と打撃陣にあります。

主なリリーフ投手の成績

次は、主なリリーフ投手の成績です。
選手名 登板 先発 S 防御率
中西 63 0 11 3 19 2.67
福間 58 4 8 5 1 4.05
山本和 33 0 5 6 11 2.70
最初に驚くのは、中西の勝利数。一度も先発登板していないのに、二桁勝利の11勝です。(エースの池田は23試合に先発して9勝。)登板63試合と19セーブはセ・リーグ最多で、最優秀救援投手のタイトルを獲得しています。

次に、3人の防御率。いずれも主な先発陣を上回っており中西、山本和に至っては2点台です。登板試合数もリーグ随一で、中西、福間はそれぞれリーグ1位と3位。

以下は、登板試合数のランキングです(50試合以上)。

1. 中西(阪神) 63試合
2. 鹿取(巨人) 60試合
3. 福間(阪神) 58試合
4. 斉藤(大洋) 55試合

先発が打たれてもリリーフが抑える。同点や劣勢で登板しても猛虎打線が逆転してリリーフに勝ち星がつく。成績の数字からも、その傾向が見て取れます。

1985年の阪神投手陣を象徴する試合

では、1985年の阪神投手陣を象徴するような試合を、いくつか見てみましょう。

[4月14日] 楽勝ムードが9回裏に大ピンチ→ゲイルは完投逃すも勝利投手に

4月14日広島戦先発はゲイル。初回に2点、3回に1点を失うもその後は0点に抑える好投を見せます。一方、打線は8回に勝ち越し、9回にダメ押しの得点を挙げ、8対3と楽勝ムードです。

9回裏、5点を追いかける広島の攻撃。点差があるので、ゲイルは続投します。しかし、これが大誤算。山中に2ランホームランを打たれるなど、あれよあれよという間に1点差にまで詰め寄られます。最後は、山本和がなんとか抑えて、8対7で辛勝。阪神のシーズン初勝利となりました。優勝への第一歩となった試合です。

[5月6日] 猛虎打線が23安打18得点→池田が6失点完投

5月6日中日戦先発は池田。池田はこの年3度の完投を記録していますが、そのうちの一つがこの試合です。序盤から猛虎打線が爆発し、楽勝ペース。4回を終わって9対0で、池田は余裕を持って完投を目指します。

打線はその後さらに爆発し、最終的には23安打18得点。池田は、6失点を喫する乱調ぶりでしたが、交代を告げられることはなく、最後まで投げきり18対6で完投勝利を収めました。池田はむしろ打撃の方が絶好調で、この日は野手顔負けの3打数3安打。打率は.455に達し、自身で投げて打って勝った試合となりました。

池田の入団秘話

ドラフト1位で行くはずが。。。。まさかの1位で指名なし!日産自動車の本社で茫然・・・・。

池田 vs. 高橋慶彦 対談

【プロ野球OBに会いに行く】1985年開幕投手秘話「真弓さんに骨折られました」【池田親興】【高橋慶彦】

[5月22日] 猛虎打線が7点差を大逆転→リリーフの中西が勝利投手に

5月22日広島戦の先発は野村収。初回にいきなり5点を失い2回KO、3回表を終わって0対7広島のワンサイドゲームとなります。

ところが、この年の猛虎打線はここからがすごい。ホームランの連発で、バースが14号、15号、掛布が10号、11号とバース、掛布のアベック2ホームラン。さらには、真弓11号、岡田9号も飛び出し、最終的には13対8で広島を圧倒しました。この日の勝ち投手は、チームが逆転した8回に1/3イニングだけ投げた中西。打線が後半逆転してリリーフに勝利がつく、典型的な試合となりました。
29 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

【真弓明信】恐怖の1番打者!猛虎打線の切り込み隊長!1985年の成績を振り返る

【真弓明信】恐怖の1番打者!猛虎打線の切り込み隊長!1985年の成績を振り返る

恐怖の1番打者と聞いて、真っ先に思い浮かべる選手は誰でしょうか?共通するのは、単にヒットをよく打つだけでなく、クリーンナップ並みにホームラン・長打もよく打つ強打者ということでしょうか。その筆頭の一人が阪神の真弓明信。1985年、猛虎打線の切り込み隊長として、21年ぶりのリーグ優勝に貢献しました。当時の成績を振り返ります。
izaiza347 | 377 view
【プロ野球】阪神の工藤!日ハムの工藤!西武の工藤!1980年代に活躍した3人の工藤投手

【プロ野球】阪神の工藤!日ハムの工藤!西武の工藤!1980年代に活躍した3人の工藤投手

"1980年代に活躍した工藤投手" といえば、今でこそ「工藤公康投手」を挙げる人がほとんどでしょうが、その当時には、パ・リーグで最多勝のタイトルを獲得した工藤投手、セ・リーグで21年ぶりの優勝に貢献した工藤投手もいました。今回は、そんな "3人の工藤投手" を振り返ります。
izaiza347 | 356 view
【プロ野球】水を得た魚!阪神からパ・リーグに移籍して大活躍した選手たち

【プロ野球】水を得た魚!阪神からパ・リーグに移籍して大活躍した選手たち

元々は阪神タイガースの選手で、パ・リーグの球団に移籍した途端、大活躍した選手がいます。阪神時代は、結果が残せず、あるいは、調子を落としてしまい、トレード要員となりますが、結果的にはそれが功を奏し、移籍後は期待以上の活躍を見せました。今回は、1980〜1990年代にプロ入りした5人の選手にフォーカスして、移籍前後の成績の変化を見てみます。
izaiza347 | 479 view
1985.阪神タイガース優勝劇 阪神が優勝すれば日本は変わる!バックスクリーン3連発、道頓堀ダイブ、カーネル・サンダースの呪い

1985.阪神タイガース優勝劇 阪神が優勝すれば日本は変わる!バックスクリーン3連発、道頓堀ダイブ、カーネル・サンダースの呪い

1985年、虎が長い眠りから覚めると、日本は熱狂のジャングルと化し、その優勝劇は、まさに「Tigers The Movie」、まるで映画のようでした。
RAOH | 2,002 view
猛虎旋風、広岡西武、KKドラフト…85年のプロ野球を特集した「よみがえる1980年代のプロ野球Part.1」が発売!

猛虎旋風、広岡西武、KKドラフト…85年のプロ野球を特集した「よみがえる1980年代のプロ野球Part.1」が発売!

ベースボール・マガジン社より、80年代のプロ野球を特集した書籍「よみがえる1980年代のプロ野球」の第一弾となる「Part.1 [1985年編] (週刊ベースボール別冊空風号)」が現在好評発売中です。
隣人速報 | 1,577 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト