アカデミー賞受賞を逃してしまった優秀傑作映画、あれこれ!!②
2017年6月27日 更新

アカデミー賞受賞を逃してしまった優秀傑作映画、あれこれ!!②

アカデミー賞受賞を逃してしまった優秀傑作映画、あれこれ!!①では1955年頃までのアカデミー賞を受賞できなかった「名作・傑作」映画をご紹介したが、その続きを書こうと思う。さて、どんな作品があるのでしょうか!?

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アカデミー主演女優賞~主演男優賞~作品賞

「第88回アカデミー賞」授賞式が2016年2月28日(日本時間29日)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターにて行われた。

ヒッチコックのフェチズム・変態性が一番色濃く出た映画『めまい』

『めまい』の一場面

『めまい』の一場面

『めまい』(Vertigo)は、1958年に公開されたアルフレッド・ヒッチコック監督によるアメリカ映画。パラマウント映画製作。テクニカラー、ビスタビジョン作品。日本公開は同年。
原作はフランスのミステリー作家、ボワロー=ナルスジャック(ピエール・ボワロー、トマ・ナルスジャック)の『死者の中から』。

刑事じゃなければ、ただのストーカー!?

刑事ジョン・ファーガソン(ジェームズ・スチュワート)は、逃走する犯人を追撃中に屋根から落ちそうになる。そんな自分を助けようとした同僚が誤って転落死してしまったことにショックを受けたジョンは、高いところに立つとめまいに襲われる高所恐怖症になってしまう。そのことが原因で警察を辞めたジョンの前に、ある日、旧友のエルスター(トム・ヘルモア)が現れる。エルスターは自分の妻マデリン(キム・ノバク)の素行を調査してほしいと依頼。マデリンは曾祖母の亡霊にとり憑かれ、不審な行動を繰り返しているという。ジョンはマデリンの尾行を開始するが、そんな彼の見ている前でマデリンは入水自殺を図り……。
ジョンが見る悪夢やヒロインによる真実の告白など練り上げられた演出が冴える。

ヒッチコック映画は「女性蔑視だ!」と罵られる!!

発表当時は多くのヒッチコックの映画と同様に女性が酷い目に遭うことからか、「女性蔑視だ!」なんて言われることも多かった。同じように、二年後の『サイコ』でも冷遇される始末であった。しかし、徐々に評価を高め、近年ではヒッチコック作品の中でもトップクラスの傑作との評価を得ている。『めまい』は2012年には英国映画協会が発表した『世界の批評家が選ぶ偉大な映画50選』の第1位に選ばれた。しかしヒッチコックはこの作品を「失敗作」と語っている。当初ヒロイン役にと構想していたヴェラ・マイルズが妊娠のため降板し、キム・ノヴァクを起用したが、ヒッチコック監督はノヴァクのキャラクターや態度(演出面に関する口出し)に非常に不満を感じていたことが、ネガティブな評価につながっている。
ちなみにアカデミー賞受賞作品は、ヴィンセント・ミネリが監督し、レスリー・キャロン、モーリス・シュヴァリエなどが出演した『恋の手ほどき』という作品であった。

存在しない方位の謎がタイトルになった映画『北北西に進路を取れ』

『北北西に進路を取れ』の一場面

『北北西に進路を取れ』の一場面

『北北西に進路を取れ』(ほくほくせいにしんろをとれ、原題: North by Northwest)は、1959年製作のアメリカ合衆国の映画。監督はアルフレッド・ヒッチコック、脚本はアーネスト・レーマン、主演はケーリー・グラント。

『北北西に進路を取れ』は万人向けの面白さを持つ集大成的作品

キャプラという男と間違われて誘拐されてしまった広告マン、ロジャー(ケーリー・グラント)は、謎の人物タウンゼントからある仕事への協力を要請される。そして、人違いが判明すると今度は泥酔運転に見せかけて殺されそうになる。窮地を脱したロジャーは、翌日、真相を確かめようと国連ビルへ赴くが、そこに現れたタウンゼントは全くの別人だった。そして、タウンゼントの背中にナイフが突き立てられ、容疑はロジャーにかかってしまう・・・。

「007」シリーズの原型になったとも言われる!!

アルフレッド・ヒッチコックが「めまい」につづいて監督した、恋とスリルに満ちたサスペンス・ドラマ。脚本をアーネスト・リーマンが書下し、「黒い蘭」のロバート・バークスが撮影を、音楽はバーナード・ハーマンが担当している。出演は「無分別」のケーリー・グラント、「愛情の花咲く樹」のエヴァ・マリー・セイント、「針なき時計」のジェームズ・メイスン、他にジェシー・ロイス・ランディス、レオ・G・キャロル等。製作アルフレッド・ヒッチコック。テクニカルカラー・ビスタビジョン。1959年作品。
ちなみにアカデミー賞受賞作品は、ウィリアム・ワイラーが監督し、チャールトン・ヘストン、スティーヴン・ボイドなどが出演した『ベン・ハー』という作品であった。

またまたヒッチコック作品の登場!!『サイコ』

『サイコ』の一場面

『サイコ』の一場面

『サイコ』(Psycho)は、1960年に製作されたアメリカ合衆国の映画。アルフレッド・ヒッチコック監督によるサイコ・スリラー系のサスペンス映画で、全編モノクローム映像。出演はアンソニー・パーキンス、ジャネット・リーなど。前作『北北西に進路を取れ』に引き続き、ヒッチコックが監督。
シャワールームでの女性の叫ぶシーンはあまりにも有名!!

田舎町の猟奇的殺人

アリゾナ州の小さな町ファーベル。そこの不動産会社に勤めているマリオン・クレーン(ジャネット・リー)は隣町で雑貨屋をひらいているサム・ルーミス(ジョン・ギャビン)と婚約していたが、サムが別れた妻に多額の慰謝料を支払っているために結婚できないでいた。土曜の午後、銀行に会社の金4万ドルを収めに行ったマリオンは、この金があればサムと結婚できるという考えに負けて隣町へ車で逃げた。夜になって雨が降って来たので郊外の旧街道にあるモーテルに宿を求めたマリオンは、モーテルを経営するノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)に食事を誘われた。ノーマンは母親と2人でモーテルに接続している古めかしい邸宅に住んでいて、頭が良く神経質で母親の影響を強くうけていた。ノーマンが1号室にマリオンを訪れた時、彼女は浴槽の中で血まみれになって死んでいた。ノーマンは殺人狂の母親の仕業と見て4万ドルともどもに裏の沼に沈めた。会社では、月曜になって銀行に4万ドルが入ってないのを知り私立探偵アポガスト(マーティン・バスサム)にマリオンの足取りを洗わせていた。マリオンの妹ライラ(ヴェラ・マイルズ)は姉がサムの家に行ったと思いサムを尋ねてきた。そこへ探偵のミルトンもやってきた。2人ともサムの家にマリオンがやってきていないことを知った。アポガストはファーベル町とサムの家の間にモーテルがあることを知り、それを調べに出た。そこでマリオンが確かにモーテルに寄ったということを知った。これから母親と会うという電話がアポガストからサムにかけられてきた。そしてアポガストは消息を絶った。アポガストの連絡を待つサムとライラの2人は町のシェリフ・チェンバース(ジョン・マッキンタイア)を訪れ意外なことを聞かされた。ノーマンの母親は10年前に死んでこの世にはいないこと。だが、マリオンが見た母親、アポガストが電話で伝えた母親は――2人はモーテルに馳けつけた。サムがノーマンをフロントに引き寄せておく作戦に、ライラはモーテルから屋敷へと忍び込んだ。そうして地下室で見たものは女の服を着たミイラであり、後ろから襲いかかった老婆は――。

モノクロで大正解!!

「サイコ」は、猟奇的殺人を扱ったサスペンスであるが、現代において犯罪者の心理を読み取るうえで大切なテキストになる知的な作品だ。心理学的観点から見れば、母親への執着で2つの人格を持ったサイコ・キラーであるが、まるで決められた仕事をするかのように殺人を繰り返している。
精神科医がサイコ・キラーだと説明するシーンも興味深い。女装しての殺しや多重人格者という性格を取り入れているのが斬新で現代でも充分に通用する点が怖さを際立たせてる。逮捕されたノーマンが、一瞬、母親の顔と重なり、ニタリと笑うシーンも記憶に残っている。
この映画の魅力は、モノクロである点と心理描写が巧みな点だ。カラー映像にすると凄惨な殺害シーンなるからという理由でモノクロにしたのであろう。犯人の心が分からないというのが、恐怖の原点。
ちなみにこの年のアカデミー賞受賞作品は、ビリー・ワイルダーが監督し、ジャック・レモン、シャーリー・マクレーンなどが出演した『アパートの鍵貸します』という作品であった。当時のアカデミー会員はサスペンスがお嫌いだったみたいですね!!

近未来を舞台に、核による世界破滅を描いたブラック・コメディ『博士の異常な愛情・・・』

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