意外と知られていない五輪でびっくりする事実♂♀女性の性別確認検査
2021年5月16日 更新

意外と知られていない五輪でびっくりする事実♂♀女性の性別確認検査

新型コロナウイルスの感染と森喜朗元会長の発言で大荒れの東京オリンピック。 今大会のトピックスはトランスジェンダー選手の参加が公になったことだ。そうなると、男と女の定義はどこにあるのか。また、意外と知られていない五輪の事実としての女性に対する性別確認検査。 五輪の歴史と性別検査にまつわる話をいくつか紹介したい。

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オリンピックの歴史

古代ギリシアで行われていた「オリンピア祭典競技」。古代オリンピックの競技は男性だけで行われ女子禁制だった。

1896年に開催された第一回アテネオリンピックも、男子9競技が行われ女子は参加していない。1900年第2回パリ大会から女性も参加、997人のうち女子は僅か22人だけだった。
File:With the world's people; an account of the ethnic origin, primitive estate, early migrations, social evolution, and present conditions and promise of the principal families of men (1915) (14784456633).jpg - Wikimedia Commons (2277843)

100年以上の時を経て女性が参加できる種目は増えていったが、試合は男女別競技で実施されている。

オリンピック大会における性別疑惑

1936年のベルリンオリンピック大会で初めて性別に関する疑惑が発生した。

アメリカの陸上選手ヘレン・ステフェンス(1918年2月3日-1994年1月17日)が出した100 メートル 11 秒 5 という記録が早すぎると2位のポーランド選手が異議を唱えた。彼女の要求で視認による女性性確認テストが行われたのだ。そして検査の結果ステフェンスは女性と判断された。
ヘレン・スティーヴンス

ヘレン・スティーヴンス

アメリカの陸上選手
ヘレン・スティーヴンス選手・陸上女子
1936年ベルリンオリンピック金メダリスト
この時に異議を申し立てたポーランドの選手スタニスラワ・ワラシェビッチ(1911年4月3日- 1980年12月4日)は、オリンピック大会から約半世紀を経た1980年に強盗に襲われ殺されている。そして検死の際に両性具有者であることが判明した。外見は女性であるが、体には睾丸があったのだ。
スタニスラワ・ワラシェビッチ

スタニスラワ・ワラシェビッチ

ポーランドの陸上選手
スタニスラワ・ワラシェビッチ選手・陸上女子
1932年ロサンゼルスオリンピック金メダリスト
1936年ベルリンオリンピック銀メダリスト
1992年まで国際陸連は両性具有者が女性の競技に出場することを認めていなかった。
ワラシェビッチが残した記録を抹消するか否かという議論が発生した。
しかし、国際オリンピック委員会と国際陸連はとも記録は抹消しなかった。
現在までワラシェビッチの残した記録は残っている。

ナチスにより強制参加させられたドラ・ラチエン

ドラ・ラチエン(1918年11月20日 – 2008年4月22日)は、ドイツの陸上競技選手である。
1936年ベルリンオリンピックでドイツ代表として男性でありながら女性選手として登録、女子走高跳に出場し、4位に入賞した。しかし、ラチエンは後に男性であることが発覚。後日このメダルは剥奪された。
ドラ・ラチエン

ドラ・ラチエン

ドイツの走高跳選手
ドラ・ラチエン選手・女子走高跳
1936年ベルリンオリンピック4位に入賞
ドラ・ラチエンはナチス・ドイツ当局の強制によって女装して競技させたれていた。身体的には彼の生殖器には瘢痕創傷があり女性と性的交渉は不可能と思われた。出生時に陰茎と陰嚢が中間部で分割しているようだったという。

女性の性別確認ホルモン検査

1968年から国際オリンピック委員会(IOC)では、試合にのぞむにあたり、女性のみを対象に性別確認検査が導入された。当時の検査方法は、女性選手は「医師団の前を全裸で歩くよう求められた」これは、男性が女性を装い競技で優位に立つこと阻止することが目的だった。
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検査の基準は、1968年メキシコシティーオリンピックから染色体検査が開始された。目的は男性の女性偽装を見分けることだった。1996年アトランタオリンピックが最後に染色体検査は停止された。2009年にテストステロン検査が導入され男性ホルモンのテストステロン値で女子種目に参加できる女性の「身体」の範囲を限定した。

しかし、人間の体ははさまざまで、生まれつきテストステロン値の高い女性選手が競技から排除される事態もおこった。

男性ホルモン値で法定闘争に発展したケース

オリンピック女子800mの金メダリスト、キャスター・セメンヤ(1991年1月7日 - )選手の場合、男性のような外見と筋肉質な体格、低い声から男性疑惑もあった。しかし診断では両性具有と診断された。

検査の結果、子宮と卵巣が無く体内に精巣が備わっていた。アンドロゲン過剰症という性分化疾患がみつかり通常の女性の3倍以上の男性ホルモン(テストステロン)が分泌していることが判明した。

国際陸上競技連盟(IAAF)は「テストステロン値が高い女性の出場資格を制限する」という内容の新規定を2018年11月から導入すると発表。男性ホルモンが多いセメンヤ選手の世界陸上への出場が停止された。
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