ボクシングをはじめて2ヶ月しかたっていなかったが
平仲はライトウェルター級で沖縄予選にエントリーした
田野は休学中の手前、試合会場には行けない
「1回戦ぐらい勝てれば・・・」
と思っていた
試合翌日
平仲は田野の家に来た
平仲はライトウェルター級で沖縄予選にエントリーした
田野は休学中の手前、試合会場には行けない
「1回戦ぐらい勝てれば・・・」
と思っていた
試合翌日
平仲は田野の家に来た
「勝ったよ」
この一言が
田野の心身のバランスを回復させる特効薬となった
「また勝った」
「今度も勝った」
勝利のたび、平仲は田野に報告した
田野は
心を縛っていたなにかが解けていく思いがした
平仲は
ほとんどの試合をKOして沖縄大会を優勝した
田野の心身のバランスを回復させる特効薬となった
「また勝った」
「今度も勝った」
勝利のたび、平仲は田野に報告した
田野は
心を縛っていたなにかが解けていく思いがした
平仲は
ほとんどの試合をKOして沖縄大会を優勝した
沖縄で勝ち抜いた平仲は
全国大会でも優勝し
全国高校チャンピオンとなった
ボクシングのウェアとシューズが買えなかったため
体操服の短パンに荒縄を通してくくり
シューズはありふれた運動靴という姿だった
改めて平仲は田野に頼んだ
「ヒロシ
もっとパンチやディフェンス教えてくれんね」
田野はいった
全国大会でも優勝し
全国高校チャンピオンとなった
ボクシングのウェアとシューズが買えなかったため
体操服の短パンに荒縄を通してくくり
シューズはありふれた運動靴という姿だった
改めて平仲は田野に頼んだ
「ヒロシ
もっとパンチやディフェンス教えてくれんね」
田野はいった
「インターハイをとったお前に教えることはないよ
その代わり具志堅さんを育てた人を紹介する
仲井真重次という先輩だ
内地から戻ってジムを開いたばかりだよ」
そして
仲居真と平仲を引き合わせた後
東京の就職先へ旅立っていった
仲居真と平仲を引き合わせた後
東京の就職先へ旅立っていった
「沖縄から世界を狙ってみないか」
チリチリアフロに口ひげ
仲井真は具志堅そっくりだった
平仲をみるなりつぶやいた
「シャドー3回、サンドバッグ3回、ミット打ち3回」
平仲はいわれたとおり3Rずつメニューをこなした
仲井真は
ミットを持って平仲のパンチを受けた
衝撃が腕を通り越して脊髄まで走った
仲井真は具志堅そっくりだった
平仲をみるなりつぶやいた
「シャドー3回、サンドバッグ3回、ミット打ち3回」
平仲はいわれたとおり3Rずつメニューをこなした
仲井真は
ミットを持って平仲のパンチを受けた
衝撃が腕を通り越して脊髄まで走った
「こいつは世界を狙える!」
練習後、
仲井真はいった
「まだプロは早い
大学でしっかり基礎を身につけたほうがいいな
バランスが悪い
このままプロで倒すか倒されるかのボクシングをやったら
お前は偏ったボクサーになる
力任せのボクサーは一か八かの勝負で壊れる
アマでロスオリンピックに出てからプロ入りは遅くないぞ」
「もっと練習すれば世界を獲れますか」
「お前次第さ
だがなプロとして世界を目指すなら
実力はもちろんだが
絵になるボクサーにならなきゃダメだ
ストーリーのないボクサーは客を熱くできないよ
客を喜ばせられなきゃ金にならん
お前はどこのジムからプロデビューしたいんだ」
「いやべつに・・」
仲井真はいった
「まだプロは早い
大学でしっかり基礎を身につけたほうがいいな
バランスが悪い
このままプロで倒すか倒されるかのボクシングをやったら
お前は偏ったボクサーになる
力任せのボクサーは一か八かの勝負で壊れる
アマでロスオリンピックに出てからプロ入りは遅くないぞ」
「もっと練習すれば世界を獲れますか」
「お前次第さ
だがなプロとして世界を目指すなら
実力はもちろんだが
絵になるボクサーにならなきゃダメだ
ストーリーのないボクサーは客を熱くできないよ
客を喜ばせられなきゃ金にならん
お前はどこのジムからプロデビューしたいんだ」
「いやべつに・・」
「沖縄から世界を狙ってみないか」
仲井真のこの言葉で平仲は頭の芯がしびれた
「具志堅、上原兄弟
沖縄出身のボクサーはみんな東京のジムからデビューした
沖縄は強い選手を育てるだけでいいところはヤマトに持っていかれた
これじゃウチナーンチュは本物の夢を手に入れられない
俺は沖縄から世界王者をつくるために帰ってきた
金もない
テレビ局にコネもない
試合を組むのも大変だが
それでも世界チャンピオンをつくる自信はある
どうだ
やるか」
「沖縄から世界を狙います」
「我慢がいるぞ
内地で世界チャンピオンになる10倍、20倍の忍耐と努力がいる
それでもやれるか」
「会長
沖縄から世界を獲りましょう」
「よし大学へ行け
休みに帰ってきたら練習はいつでもみてやる
ボクシングの基礎を覚えるのはいいが
手先だけのアマチュアスタイルに染まるな
チマチマしたボクシングになりかけたら
いつでもオレが叩き直してやる
倒すボクシングを徹底的に教えてやる
酒は先輩にすすめられても絶対に飲むな
酒を飲んだら肺に水がたまる持病があるといえ
女には深入りするな
女でダメになった選手はゴマンというぞ
朝夕のロードワークには必ずダッシュを入れろ
ボクサーは疲れたときの瞬発力が勝負だ
いいかボクシング1本に集中しろ
オレは必ずお前を世界チャンピオンにしてやる」
「はい」
平仲18歳
仲井真29歳だった
「具志堅、上原兄弟
沖縄出身のボクサーはみんな東京のジムからデビューした
沖縄は強い選手を育てるだけでいいところはヤマトに持っていかれた
これじゃウチナーンチュは本物の夢を手に入れられない
俺は沖縄から世界王者をつくるために帰ってきた
金もない
テレビ局にコネもない
試合を組むのも大変だが
それでも世界チャンピオンをつくる自信はある
どうだ
やるか」
「沖縄から世界を狙います」
「我慢がいるぞ
内地で世界チャンピオンになる10倍、20倍の忍耐と努力がいる
それでもやれるか」
「会長
沖縄から世界を獲りましょう」
「よし大学へ行け
休みに帰ってきたら練習はいつでもみてやる
ボクシングの基礎を覚えるのはいいが
手先だけのアマチュアスタイルに染まるな
チマチマしたボクシングになりかけたら
いつでもオレが叩き直してやる
倒すボクシングを徹底的に教えてやる
酒は先輩にすすめられても絶対に飲むな
酒を飲んだら肺に水がたまる持病があるといえ
女には深入りするな
女でダメになった選手はゴマンというぞ
朝夕のロードワークには必ずダッシュを入れろ
ボクサーは疲れたときの瞬発力が勝負だ
いいかボクシング1本に集中しろ
オレは必ずお前を世界チャンピオンにしてやる」
「はい」
平仲18歳
仲井真29歳だった
ロサンゼルスオリンピックに出場
平仲は日本大学農獣医学科に進学し
ボクシング部に入った
そして一気に才能を伸ばした
最初は言葉の壁で
コミュニケーションがとれず
部屋に引きこもりがちだったが
試合に出て勝ち出すと
自然と打ち解けていった
全日本選手権優勝
アジア大会優勝
大学3年でロサンゼルスオリンピックに出場した
ボクシング部に入った
そして一気に才能を伸ばした
最初は言葉の壁で
コミュニケーションがとれず
部屋に引きこもりがちだったが
試合に出て勝ち出すと
自然と打ち解けていった
全日本選手権優勝
アジア大会優勝
大学3年でロサンゼルスオリンピックに出場した
「これで平仲は終わった」
オリンピックから帰国すると
いくつものボクシングジムからプロへ勧誘があった
中には4000~5000万円もの契約金を提示してきたところもあった
一方
プロの転向されるとエースを失う大学側は
卒業するまでアマチュアに残るように強要した
平仲の「プロ転向」を発表した
注目された所属ジムは
仲井真会長の「沖縄(現:琉球)ボクシングジム」だった
平仲はいった
いくつものボクシングジムからプロへ勧誘があった
中には4000~5000万円もの契約金を提示してきたところもあった
一方
プロの転向されるとエースを失う大学側は
卒業するまでアマチュアに残るように強要した
平仲の「プロ転向」を発表した
注目された所属ジムは
仲井真会長の「沖縄(現:琉球)ボクシングジム」だった
平仲はいった