それをすかさずνガンダムがキャッチ。抵抗どころか身動きできない状態でポッドに閉じ込められたままのシャアと、そのポッドを手にしたνガンダムが、地球へ落下しようとするアクシズに向かいます。
その時、νガンダムはサザビーの脱出ポッドを手にしたままで、ここも当然再現の上では重要なシーンになるのですが……。
実はこのシーン、よくある「二次元の嘘」なのです。
よく観てください、2枚目の写真を。サザビーの脱出ポッドをνガンダムが両手で抱えています。サザビーの頭部はνガンダムと同等程度の大きさだったはずで、画像のポッドの大きさでは、あきらかに頭の中に入り切らないのです。
ここでバンダイ、ガンプラは、未来永劫解決することが不可能なジレンマのはざまで苦しみます。
アニメの設定に忠実に、頭部に収まる大きさでサザビーの脱出ポッドを作って、頭部着脱可能ギミック優先にすると、取り出した脱出ポッドがνガンダムの指でつまめる程度の大きさにしかなりません。
逆に、νガンダムが両手で抱える大きさで脱出ポッドを作ると、今度はそれを収納すべきサザビーの頭部が「小顔・脚長」のイマドキスタイリッシュを無視してしまい、むしろ、それこそSDかってぐらいに頭部だけが大きくなってしまいます。
なので、今現在発売されている1/100 MG版、及び1/144 RG版では、「脱出ポッドが頭部に収まっている」のではなく、「脱出ポッドを核にして、頭部の各装甲が張り付いている」構造にアレンジして素知らぬ顔を決め込んでいますが、MGやRGの構造だと劇中画像1枚目のようにはポッドは脱出できません。
さぁバンダイは困りました。大河さんも困りました。
よく観てください、2枚目の写真を。サザビーの脱出ポッドをνガンダムが両手で抱えています。サザビーの頭部はνガンダムと同等程度の大きさだったはずで、画像のポッドの大きさでは、あきらかに頭の中に入り切らないのです。
ここでバンダイ、ガンプラは、未来永劫解決することが不可能なジレンマのはざまで苦しみます。
アニメの設定に忠実に、頭部に収まる大きさでサザビーの脱出ポッドを作って、頭部着脱可能ギミック優先にすると、取り出した脱出ポッドがνガンダムの指でつまめる程度の大きさにしかなりません。
逆に、νガンダムが両手で抱える大きさで脱出ポッドを作ると、今度はそれを収納すべきサザビーの頭部が「小顔・脚長」のイマドキスタイリッシュを無視してしまい、むしろ、それこそSDかってぐらいに頭部だけが大きくなってしまいます。
なので、今現在発売されている1/100 MG版、及び1/144 RG版では、「脱出ポッドが頭部に収まっている」のではなく、「脱出ポッドを核にして、頭部の各装甲が張り付いている」構造にアレンジして素知らぬ顔を決め込んでいますが、MGやRGの構造だと劇中画像1枚目のようにはポッドは脱出できません。
さぁバンダイは困りました。大河さんも困りました。
最終的にバンダイがHGUCで決め込んだ判断は「脱出ポッドの存在自体をガン無視」でした。
HGUC版サザビー頭部は、モノアイ可動ギミックに決め撃ちして、脱出ポッドは存在にすら触れられませんでした。
賢明な判断だったでしょう。例えオプションでも付属させていたら、頭部に収納できなければ文句を言われ、νガンダムに持たせたときに小さければ文句を言われ、どちらにせよ濃いマニアに吊るし上げられて散々な目にあったに違いありません。
要するに、アニメ制作当時の「二次元の嘘」が壁となって、サザビーをスケールキットで再現する時には、脱出ポッドの着脱ギミックは再現不可能なのです。
そして矛盾から逃げる道を選んだバンダイのおかげで、今現在「1/144 サザビーのアニメ設定どおりに収納される脱出ポッド」はどこにも商品が存在しないのです。
HGUC版サザビー頭部は、モノアイ可動ギミックに決め撃ちして、脱出ポッドは存在にすら触れられませんでした。
賢明な判断だったでしょう。例えオプションでも付属させていたら、頭部に収納できなければ文句を言われ、νガンダムに持たせたときに小さければ文句を言われ、どちらにせよ濃いマニアに吊るし上げられて散々な目にあったに違いありません。
要するに、アニメ制作当時の「二次元の嘘」が壁となって、サザビーをスケールキットで再現する時には、脱出ポッドの着脱ギミックは再現不可能なのです。
そして矛盾から逃げる道を選んだバンダイのおかげで、今現在「1/144 サザビーのアニメ設定どおりに収納される脱出ポッド」はどこにも商品が存在しないのです。
そこで大河さんはこれを見つけるまでは、クライマックスの再現での脱出ポッドには、それっぽい球体素材を「見立て」で使うというのも選択肢でした。
幸いにも脱出ポッドは基本的には余計なディテールのない球体ですし、あとはパネルラインが彫られているだけですから、写真や画像の角度や加工で誤魔化せれば御の字です。
しかし。
あったのです。
正確には「1/144 サザビーの頭部に入る脱出ポッド」ではなく、あくまで「1/144 νガンダム」が「手に持って程よい大きさ」の「サザビーの脱出ポッド」のガンプラパーツが、ここにあったのです。
幸いにも脱出ポッドは基本的には余計なディテールのない球体ですし、あとはパネルラインが彫られているだけですから、写真や画像の角度や加工で誤魔化せれば御の字です。
しかし。
あったのです。
正確には「1/144 サザビーの頭部に入る脱出ポッド」ではなく、あくまで「1/144 νガンダム」が「手に持って程よい大きさ」の「サザビーの脱出ポッド」のガンプラパーツが、ここにあったのです。
確かにSDガンダムシリーズはノンスケールですし、そもそもスケールを問う性格の模型ではないです。しかし、もとからこっちの目的は「二次元の嘘」を再現する横車押しですし、なにより「その辺にあった球体素材」ではなく「正規ガンプラのパーツ」であるということはポイントが高いです。
写す角度さえ間違えなければ、ポッド表面のディテールも初めから正確に入っています。これぞまさに「1/144 サザビー脱出ポッド」と言えるのではないでしょうか?
写す角度さえ間違えなければ、ポッド表面のディテールも初めから正確に入っています。これぞまさに「1/144 サザビー脱出ポッド」と言えるのではないでしょうか?
ガンプラだけではなく、バンダイはたまに「こういう仕掛け」を広い商品枠で配置します。
一時期の「装着変身」の平成仮面ライダーとサイズが合うバイクが、正規バンダイの商品内にはなく、系列会社のバンプレストのプライズ商品で出てきたバイクがサイズがぴったりだったとか。現在ウルトラマンシリーズの可動フィギュアはフィギュアーツがメインですが、2013年まで売られていたウルトラ怪獣シリーズのソフビは、宇宙人相手だとウルトラACTがサイズが合いますが、怪獣相手だと今のフィギュアーツがちょうどサイズが合うとか。
一時期の「装着変身」の平成仮面ライダーとサイズが合うバイクが、正規バンダイの商品内にはなく、系列会社のバンプレストのプライズ商品で出てきたバイクがサイズがぴったりだったとか。現在ウルトラマンシリーズの可動フィギュアはフィギュアーツがメインですが、2013年まで売られていたウルトラ怪獣シリーズのソフビは、宇宙人相手だとウルトラACTがサイズが合いますが、怪獣相手だと今のフィギュアーツがちょうどサイズが合うとか。
このGジェネ版サザビーの脱出ポッドも、企画した側はあくまでネタ的な、お遊び的な発想でパーツ化されたのかもしれませんが、「リアルタイプスケールガンプラ」が抱えて解消できない矛盾を、「SDガンプラ」が補完すると考えると、断絶感のあったリアル派とSD派の間に、見えない絆のようなものさえ感じられます。
広大なガンプラの歴史と商品点数です。
探せば他にも、リアルとSDを繋ぐアイテムが見つかるのかもしれません。
広大なガンプラの歴史と商品点数です。
探せば他にも、リアルとSDを繋ぐアイテムが見つかるのかもしれません。
(追記・今回の記事本編は、RG サザビーの仕様が発表された8/8以前に執筆されました。なのでこの記事が掲載される時点では「1/144 サザビーの脱出ポッドはガンプラ化されていない」は上書き修正されるべきですが、仮に「サザビー本体はHGUC版で満足だから、脱出ポッドのためだけに5千円近くも出したくない」という方の参考になれば幸いです)
市川大河公式サイト
光の国から愛をこめて
フリーランスライター・脚本家・演出家・元映画助監督・制作進行
市川大河が語る、ウルトラマン、ガンダム、日本のカルチャー