ポール・マッカートニー自ら「駄作」と評した1986年リリースのアルバム「プレス・トゥ・プレイ」
2020年3月31日 更新

ポール・マッカートニー自ら「駄作」と評した1986年リリースのアルバム「プレス・トゥ・プレイ」

「プレス・トゥ・プレイ」は、それほど酷いアルバムなのでしょうか?いえ、そんなことはありません。ハッキリ言います。このアルバム、悪くないです。むしろ良いです。だたポール・マッカートニーらしくないというだけなんです。検証してみようではありませんか。

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ポール・マッカートニー

世の中には説明の必要全くナシでOKというミュージシャンがいますよね。ポップスの世界においてポール・マッカートニーは、その筆頭であると言っていいでしょう。
異論のある方、いらっしゃいますか?いないでしょうね。一言で言って天才。それ以外の言葉が思い浮かばない、そういった存在、それがポール・マッカートニーですよ。
ポール・マッカートニー

ポール・マッカートニー

出生名:James Paul McCartney
生誕:1942年6月18日
出身地:イングランド マージーサイド州リヴァプール
ポール・マッカートニーの何がスゴイかって、そりゃもう全部なわけですが、中でも全人類のDNAに訴えかけるようなメロディ。そうです。一度聴いたら逃れられないあのメロディはたまらんです。
そのポール・マッカートニーが自ら「失敗作だった」と語ったアルバムがあるのをご存じでしょうか?それは「プレス・トゥ・プレイ」というアルバムなのですが、それって本当に駄作なのでしょうか?検証してみたいと思います。

プレス・トゥ・プレイ

アルバム「プレス・トゥ・プレイ」は、1986年9月にリリースされました。ヒット・チャートをみると、全英8位に全米30位。因みに日本では11位で、イギリスではゴールド・ディスクを獲得しています。他のミュージシャンであれば、大ヒットとは言わないまでも、堂々たる成績なのではないかと思うのですが、ポール・マッカートニーですからねぇ、この程度では自他ともに許されんのです。厳しかですね。

このアルバムはプロデューサーにポリスの「見つめていたい」や全世界で2,000万枚の売上を記録したフィル・コリンズのアルバム「フィル・コリンズIII」などで知られるヒュー・パジャムを起用しています。
そして、ソングライティングのパートナーとして10ccのエリック・スチュワートと半数以上の8曲を共作しています。
プレス・トゥ・プレイ

プレス・トゥ・プレイ

1. ストラングルホールド
2. グッド・タイムズ・カミング/フィール・ザ・サン
3. トーク・モア・トーク
4. フットプリンツ
5. オンリー・ラヴ・リメインズ
6. プレス
7. プリティ・リトル・ヘッド
8. ムーヴ・オーヴァー・バスカー
9. アングリー
10. ハウエヴァー・アブサード
11. ライト・アウェイ
12. イッツ・ノット・トゥルー
13. タフ・オン・ア・タイトロープ
ヒュー・パジャムにエリック・スチュワート。結果としてこれが良くなかったのでしょうかねぇ。チャートアクション以上に酷評の嵐でした。いかにも80年代なデジタル処理、やたらと耳につくパーカッシブな音作り、これが受け入れられませんでしたかねぇ。
いや、それより何よりポール・マッカートニーらしくない、と言うかポール・マッカートニーを聴いている感じがしないんです。まぁ、確かに問題作ですよね。

ジャケットは盟友ジョン・レノンの遺作「ダブル・ファンタジー」を意識したものになっていて、2枚並べて飾ると面白いです。
ダブル・ファンタジー

ダブル・ファンタジー

1. スターティング・オーヴァー
2. キス・キス・キス
3. クリーンアップ・タイム
4. ギヴ・ミー・サムシング
5. アイム・ルージング・ユー
6. アイム・ムーヴィング・オン
7. ビューティフル・ボーイ
8. ウォッチング・ザ・ホイールズ
9. あなたのエンジェル
10. ウーマン
11. ビューティフル・ボーイズ
12. 愛するヨーコ
13. 男は誰もが
14. ハード・タイムス・アー・オーヴァー
ポール・マッカートニーは、ジョン・レノン死後の「タッグ・オブ・ウォー」「パイプス・オブ・ピース」「ヤァ!ブロード・ストリート」と3枚のアルバムを全てビートルズ時代のプロデューサー・ジョージ・マーティンに依頼していたんです。それらのアルバムからはヒット曲も出て、評判も良かった。当然のようにアルバムは大成功しています。マンネリに陥ることを恐れたのでしょうかねぇ。続く「プレス・トゥ・プレイ」は野心作といえます。それが結果としては裏目に出た感じです。

が、このアルバム、悪くないですよ。いえ、むしろ良いです。だたポール・マッカートニーらしくないというだけです。

プレス

「プレス・トゥ・プレイ」からの先行シングルだったのは1986年7月にリリースされた「プレス」です。全英25位、全米21位とポール・マッカートニーにしてはイマイチな結果に終わっています。
でも、メロディは悪くないですよ。ポール・マッカートニーらしいです。ただジャケット・デザインは何だかなぁと言う感じですよね。
プレス

プレス

カップリング曲:イッツ・ノット・トゥルー
この曲のプロモーション・ビデオは面白いです。ロンドンの地下鉄にポール・マッカートニーが乗りこんで歌ってるというものですが、驚いた乗客たちの反応が楽しいです。 ま、そりゃ驚きますよね。

Paul McCartney: "Press" Music Video (1986)

曲は悪くないですよね?ポールらしいメロディライン、良いと思います。ただ、アレンジがねぇ。80年代を象徴しすぎた音ですよねぇ。ドラムスは特にねぇ。でも1980年には同傾向の「カミング・アップ」は大ヒットしてますからアレンジが悪いとばかりも言えないですね。いや、良い曲だと思います。何と言っても楽しい曲じゃないですか?

プリティ・リトル・ヘッド

先行シングルの「プレス」は、アレンジこそデジタル感が強いですが、曲は間違いなくポール・マッカートニー。歌っているのも勿論ポール・マッカートニーなわけですが、アルバムを通して聴くとポール・マッカートニーらしくない、歌っているのは本当にポール・マッカートニーなのかしら?という印象の曲すらある。
1986年10月にシングルカットされた「プリティ・リトル・ヘッド」などはまさに多くの人がそんな印象を抱いた曲と言えるのではないかと思います。
プリティ・リトル・ヘッド

プリティ・リトル・ヘッド

カップリング曲:ライト・アウェイ
シングルは大胆なリミックスが施してあり、アルバムバージョンとはかなり印象の異なる曲となっています。が、いずれにしてもポール・マッカートニーらしくない。共作したエリック・スチュワートの影響がデカイですね。これ10ccの曲だったらすんなり聴けると思います。実際、10ccのベスト・アルバム「During After : The Best Of 10cc」に収録されていますが違和感なしですよ。
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