吉田沙保里  強すぎてモテない霊長類最強の肉食系女子の霊長類最強のタックル その奥義は「勇気」
2025年8月18日 更新

吉田沙保里 強すぎてモテない霊長類最強の肉食系女子の霊長類最強のタックル その奥義は「勇気」

公式戦333勝15敗。その中には206連勝を含み、勝率95%。 世界選手権13回優勝、オリンピック金メダル3コ(3連覇)+銀メダル1コ、ギネス世界記録認定、国民栄誉賞、強すぎてモテない霊長類最強の肉食系女子。

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12月、全日本選手権55kg級の決勝戦は、吉田沙保里 vs 山本聖子という現役世界チャンピオン対決となった。
全日本選手権とジャパンクイーンズカップは、アテネオリンピックの代表選考会でもあるため、女子レスリング初のオリンピックの出場権を賭けたサバイバルマッチでもあり、注目を集めた。
13歳で全日本女子選手権の44kg級で3位になった山本聖子は、1999~2003年に世界選手権の異なる3階級(51kg級、56kg級、59kg級)で、4度も頂点に立った上、アイドル顔で男性ファンも多かった。
高校時代に同じ男性に6度告白し6度フラれた吉田沙保里は、山本聖子に中学生のときの初対決して以来、大学1年生まで、5連敗。
その後、エキシビジョンマッチで1勝したものの、2ヵ月後、大学1年生の12月、全日本選手権で、再び敗北。
この敗北でヒートアップし、大学2年生のジャパンクイーンズカップ、大学3年生のジャパンクイーンズカップと山本聖子に2連勝し、その勢いで、アジア大会、世界選手権、全日本選手権も優勝。
「プリンセス」
「次の女王」
と期待されていた。

QUEEN OF FREESTYLE WRESTLING. The Most Titled Freestyle Wrestler - Saori Yoshida

吉田沙保里と山本聖子によるアテネオリンピック女子レスリング55㎏級日本代表争いは、
「世界で最も過酷な代表争い」
「どちらが出ても金メダル間違いなし」
「事実上のオリンピック決勝戦」
といわれた。
「まだ必ず勝てるという自信はありませんでした。
勝ちたい、勝つんだとは思ってはいましたが、やってみないとわからないなという感じでした」
という吉田沙保里は、得意のタックルがなかなか決まらず、第2ピリオドは、互いに点を奪えず、延長戦へ。
クリンチ(互いに上体を組み合った体勢)からの始まり、パワーに勝る山本聖子は、組んだまま投げを仕掛けたが、吉田沙保里は、それをすかして、背後を取り、さらにタックルに来た山本聖子をとっさに転がし、勝利を決めた。
これで吉田沙保里は、2年連続2度目の優勝。
山本聖子は、2ヵ月後に行わるクイーンズカップでアテネオリンピックの代表が決定するため、
「死ぬ気で練習する」
と宣言。
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2004年2月23~24日、東京の駒沢体育館でクイーンズカップが開催。
全日本選手権で優勝している吉田沙保里は、クイーンズカップに勝てば文句なしで日本代表だった。
試合1週間前、父親の栄勝は、吉田沙保里に、山本聖子が使う投げ技の返し方を実演し指導。
「タイミングが難しく、実際に相手を返せる可能性は大きくないが、自信をつけさせたかった」
しかし試合前日、減量中の吉田沙保里は、熱中症になり、39度の発熱。
医師は欠場を勧めたが、父親は、
「勝てたらラッキー。
負けても1勝1敗で決定戦になる」
といい、吉田沙保里は、点滴を打って出場。
決勝戦で山本聖子と対戦したとき、37度5分の熱があった吉田沙保里は、ポイントでリードし、終盤、逆転を狙って投げを打ってきた山本聖子に父親から教わった返し技を決め、決着をつけた。
山本聖子は吉田沙保里に近づき、耳元で、
「これまでありがとう。
応援してるから」
高校時代まで吉田沙保里から何度も、
「やめたい」
といわれていた母親は、オリンピック出場が決まった後、初めて
「レスリングやっててよかった。
ありがとう」
といわれ、
「本当に良かった」
と思った。

至学館レス部

5月、大学4年生になった吉田沙保里は、アジア選手権55kg級でも優勝。
22歳女子の平均が、

握力 28㎏
背筋力 80㎏
50m走 8.8秒
腕立て伏せ 7回
反復横跳び 38回

22歳男子の平均が、

握力 50㎏
背筋力 140㎏
50m走 7.3秒
腕立て伏せ 30回
反復横跳び 45回

なのに対して、22歳の吉田沙保里は、

握力 40㎏
背筋力 160kg
50m走 8.0秒
腕立て伏せ 50回
反復横跳び 52回

アテネオリンピックに向けた国内合宿で男子コーチは、
「骨折でもしない限り、金メダルは間違いない。
捻挫やちょっとした発熱があっても、負けることはない」
といった。
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8月、女子レスリングは大会後半に行われ、出発は開会式後の予定だったが、浜口京子が日本代表選手団の旗手に選ばれたため、吉田沙保里も一緒に開会式前に出発することになった。
栄和人監督は、練習環境を心配したが、
「そんなことどうにもでなる」
と黙らせ、マスコミには、
「開会式が楽しみです。
気持ちが高まると思います」
とコメントしてギリシャへ向かった。
そして8月22日、2日間で行われる女子レスリング競技がスタート。

48kg級、伊調千春 ベリズル(カナダ)、ワーグナー(ドイツ)にフォール勝ち
55kg級、吉田沙保里 孫冬梅(中国)、ジャンピッコロ(イタリア)にテクニカルフォール勝ち
63kg級、伊調馨 ゴロフチェンコ(ウクライナ)にテクニカルフォール勝ち、カルタホワ(ロシア)に判定勝ち
72kg級、浜口京子 モンゴメリ(アメリカ)に判定勝ち、ズラテバ(ブルガリア)にテクニカルフォール勝ち

と日本代表の4人は全員、準決勝進出。

Yoshida wins back-to-back-to-back wrestling gold medals!


その夜、浜口京子は緊張で眠れなかったが、同部屋の吉田沙保里は、隣でイビキをかいていた。
そして8月23日、吉田沙保里は、準決勝でゴミズ(フランス)から先取点を奪ったが、相手の投げ技で3点を失い、逆転され、同点に追いついて迎えた第2ピリオド開始早々、タックルに入ったところを払い腰で返され、3-6に。
最終的に1点差の逆転勝利をしたものの、厳しい表情で首をひねった。
そして自分の出番の直前、48㎏級の決勝戦で伊調千春が敗れ、銀メダルに終わると
「千春さんの敵を討ってやる。
千春さんの分も勝つ。
絶対に負けない」
と逆に燃えた。
決勝戦の相手、バービーク(カナダ)は、数ヵ月前、ワールドカップでフォール勝ちしている相手。
165㎝と自分より9㎝身長が高いバービークの足を狙い、片足タックルでポイントを連取。
その後もタックルで攻めまくり、6分間、攻撃を緩めず、バービーク(カナダ)に何もさせずにポイントでリードし、試合終了の合図を聞くとガッツポーズ。
そして栄和人監督を肩車。
さらに鮮やかな後方宙返りを決めた。
63kg級の伊調馨は、準決勝でルグラン(フランス)、決勝でマクマン(アメリカ)に判定勝ちし、金メダル。
72kg級の浜口京子は、準決勝で王旭(中国)に判定負けし、3位決定戦でサエンコ(ウクライナ)に判定勝ちし、銅メダルとなった。

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金メダル獲得後、吉田沙保里は、選手村の食堂で、競泳で5個の金メダルを獲得したイアン・ソープ(オーストラリア)と遭遇。
「イアン・ソープだ!」
イケメンのスーパースターに興奮した大学4年生の吉田沙保里は、栄和人監督に、
「写真を撮ってください」
と頼んだ。
しかし後で確認すると、うまく撮れておらず、
「チッ、うまく撮れよ。
何をやってるんだよ。
こんな大事なときに・・・」
といい、周りに
「監督に撮らせるのもどうかと思うけど・・・」
といわれた。
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