軍隊から生まれた!?懐かしの和菓子「玉羊羹(ようかん)」。
2017年11月26日 更新

軍隊から生まれた!?懐かしの和菓子「玉羊羹(ようかん)」。

自衛隊音楽まつりで目にした懐かしの和菓子「玉羊羹(ようかん)」。直径35㎜程の丸ゴム風船の中に羊羹がキュムっと入っている、ご存知玉羊羹。じつは自衛隊で売られてしかるべき歴史を持つオカシだったりします。

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11月16日、私は東京・九段下の日本武道館に向かっていました。
当日、平成29年度自衛隊音楽まつり・第一回公演があったのです。今年のテーマは「ONE 音が結ぶ、ひとつの想い」。陸海空の自衛隊や各国の音楽隊のこころを1つにした演奏が楽しみで、会場に向かう足取りも軽かった記憶。

会場につくと、売店が出ておりました。ふと立ち寄ってみたら、何やら懐かしい和菓子が。「玉羊羹」だ!コレ…若い人には馴染みがないかもしれませんが、ある程度の年齢からは「あ、知ってる」と言われる羊羹です。食べる時はヨウジやフォーク、ナイフなどでつつく。すると、ニョニョニョニョっと羊羹が出てくる…そんな和菓子です。

「航空携帯糧食 玉羊羹」

ちなみに、売店で売られていたのは「航空携帯糧食 玉羊羹」。直径35㎜程の丸ゴム風船の中に羊羹がキュムっと入っている、そんな玉羊羹。まさに自衛隊で売られてしかるべき歴史を持つオカシだったりします。
 (1946503)

さて、ここで2009年4月24日の毎日新聞(東京朝刊)の記事を引用します。
日中戦争が勃発(ぼっぱつ)した1937年、福島県二本松市で新しい菓子が誕生した。慰問袋で戦地へ送ってもおいしく簡単に食べられるようにと、小さなゴム風船に封入されたピンポン球大の「日の丸羊羹(ようかん)」。
そう、この「日の丸羊羹」が現在の玉羊羹!日本陸軍からの開発指示を受けて、見事開発したのは二本松市の和菓子店「玉嶋屋」さんです。玉嶋屋さんのサイトを引用しましょう。
昭和12年県知事と軍の依頼により開発されました、いつまでもやわらかい羊羹を戦地の方に食べてもらえるようにゴムに入れる方法を考案しました。最初は日の丸羊羹という名前で販売されましたが戦後再開業のときに軍国主義のイメージを避けるため形と店名から名前を玉羊羹と改めました。
そういう訳で「日の丸」から「玉」になったんですね。

余談ですが、開発から2年後の1939年、世界一周に挑んだ毎日新聞社の飛行機「ニッポン号」にも同種のゴム玉入り羊羹30個が積み込まれております。この由来もあり、先ほど引用した毎日新聞さんの記事のタイトルは「空弁事始め」。つまり、玉羊羹は空の弁当(携帯食)の歴史を作った一品でもあるわけです。羊羹に歴史あり、ですね。

各地に伝播し、それぞれのご当地羊羹へ

さらに、玉羊羹は福島県から各地に伝播し、各地それぞれの羊羹へと姿を変えていきました。有名なモノといえば、北海道民にはお馴染みの「まりも羊羹」。阿寒湖に生息する毬藻(マリモ)をイメージした緑色の玉羊羹です。緑=抹茶と誤解されがちですが、緑色にしただけの羊羹です。

このほか、最近生まれた玉羊羹としては、広島県の「“はじける”ようかん 広島ぶどう」が個人的にオススメ。これは、広島の大学生有志団体「SUETI」協力の下、元祖丸形柿羊羹本舗の株式会社扇屋さんが竹原の名産「ぶどう」を使用して製造した玉羊羹です。

あ、カラフルな玉羊羹もあります!うなぎパイで有名な春華堂(静岡県浜松町)が2014年に立ち上げた新ブランド「五穀屋」の玉羊羹です。正式名称は「発酵さしすせそ羊羹 五季(いつき)」。5色で1セットの玉羊羹です。
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この五穀屋の名前を聞いて「聞いたことある」と思った方は、日々のニュースを読み込んでいらっしゃる方かもしれません。少し前の2017年9月19日、ニューヨーク国連総会で行われた日本政府主催レセプションで和菓子のブランドとして唯一、五穀屋だけに声がかり、ここでこの五色の玉羊羹などが振る舞われておりましたから☆

他にも各地に玉羊羹があるかと思いますので、良かったら旅先でぜひ見つけてみてくださいませ。
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  • 玉嶋屋です 2017/11/26 21:55

    お取り上げ頂きありがとうございます。お陰様で今年で玉羊羹も80年になりました。戦前の名前は日の丸羊羹でしたので日の丸にちなんで何とか自然な赤さの玉羊羹を作りたくて、今月にようやく赤い玉羊羹を作りました。青森県産の紅の夢という赤いリンゴを使って色素を使わず赤い玉羊羹にたどりつきました。そのときにこの記事を拝見したのでうれしくて投稿させていただきました。ありがとうございます。  玉嶋屋のおやじです。

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