YOU THE ROCK★やMummy-Dが一般応募により集められた日本語ラップの音源を紹介し批評していくこのコーナーで、THA BLUE HERBは「悪の華」の音源を送り、見事放送される権利を獲得します。同曲はステレオタイプなギャングスタラップや明るく軽快なラップとは一線を画すとても暗い曲調でしたが、YOU THE ROCK★をはじめスタジオ内は手放しで称賛状態となります。
Mummy-Dによると放送前に自宅へ突然音源が送りつけられたようで、同曲だけでなく他の曲の秀逸さも褒め称え、期待を込めて「マジ北海道のB-BOY、皆にシャウトアウト(ここではエールを送るの意)しとくよ」と発言しています。
HIPHOP NIGHT FLIGHT_BOSS THE MC(1996)
それを踏まえると「ウワサの真相 featuring F.O.H」内でMummy-Dによるリリック「おまえのゲージュツとやらに幸あれ」もインタビューを意識しての内容に聴こえてしまいます。
(PV)RHYMESTER feat. F.O.H - ウワサの真相.mpg
『その後』
さらに公の場所での発言に波紋が生じることをお互いに理解したうえで、誤解が生まれることも承知しているニュアンスの発言をして一定の理解を示しています。また、「今回の彼等のライムスターの新曲(「ONCE AGAIN」のこと)は熱かった。」ともコメントし、音楽家として評価している旨もコメントしています。
共に福岡でツアーがあったRHYMESTERとTHA BLUE HERBが、共通のヒップホップ仲間による仲介を得て、宇多丸とDJ JIN、そしてBOSS THE MCによる鼎談が行われ、あっという間にそれまでの誤解が解かれ、和解に至っています。
後日、BOSS THE MCも公式サイトで「いろいろあった。この何年。話そう。で、話して、笑ってさ、最高の時間だったよ。」と感謝を込めて文章を綴っています。
RHYMESTER × THA BLUE HERB。福岡サンセット・ライブ。 pic.twitter.com/GtwgTQSHs3
— DJ JIN (@_DJ_JIN_) September 4, 2016
さらに2019年にはTHA BLUE HERBにとって7年ぶりの5枚目のアルバム「THA BLUE HERB」発売日に、BOSS THE MCが宇多丸のラジオ番組に生電話出演をしています。また、同アルバム内の楽曲「TRAINING DAYS」では、RHYMESTERの楽曲の一部がサンプリングされているなど、両者の雪解けを感じるエピソードとなっています。
RHYMESTER - 耳ヲ貸スベキ https://t.co/kux8f7oV3M @YouTubeさんから
— みやーんZZ (@miyearnzz) July 3, 2019
Mummy-Dさんの「北の地下深く技磨くライマー」が引用されている!
「THA BLUE HERB」と「TOKONA-X」
XXX DISと ONE LOVEで本音100で堂々と闘うぜ 俺のHIPHOPはあの日お前が捨てたマスではなくコアでタイトでラフで
— THA BLUE HERB Bot (@tbh_bot) February 3, 2011
豪快な人柄に加えて、 THUG(サグ、ならず者の意)なラップや風貌で多くのファンを魅了していたTOKONA-X。一方でリリシストでもあるBOSS THE MCは対照的な存在。
そうしたことから、一見ガラの悪く見えるTOKONA-Xに対して、BOSS THE MCが土下座して謝ったといったガセネタが大真面目に受け取られるなど、情報が錯そうします。
EQUIS.EX.X (feat. TOKONA-X)
同曲でTOKONA-Xに対してDisではなく「紹介するぜ オレの五分の兄弟分 PEACE TO ILLな街 尾張 MARIACHI」と愛のある回答を行っています。リリックは明らかにDJ刃頭のみならず、TOKONA-Xを意識したものであり、発表のタイミングを鑑みても実に慎重に言葉を選んでいるのが分かります。
お互いに”対東京”の構図を描きながら、自身の地元からそれぞれのスタイルでのし上がっていった両者。本来はリスペクトこそしても、いがみ合う関係では無かったはずで、前述したDEV LARGEの「カモ狩り(COMIN' AT CHA BABY PT.2)」同様にささいな勘違いが大きなすれ違いを生んでしまったようです。