2つの名作が、1つの新たな名作に【イースⅠ・Ⅱ】PCエンジン版
2017年1月24日 更新

2つの名作が、1つの新たな名作に【イースⅠ・Ⅱ】PCエンジン版

1989年12月21日、PCエンジンCD-ROM²版として、ハドソンより発売。ジャンルはアクションRPG。前後編であるものの、独立した2つの作品だったオリジナル版イースⅠ、そしてイースⅡ。本作PCエンジン版【イースⅠ・Ⅱ】は、その両作品を1つに繋ぎ合わせ、大幅なバランス調整やPCエンジンCD-ROMならではの演出により、アレンジの強い異色作となった。新たに描かれたイースを舞台に、アドル・クリスティンの冒険が再び始まる。

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イース

冒険家アドル・クリスティンを主人公としたARPGシリーズ。
ファルコムの代表するコンピューターゲームシリーズでもある。
当時マニア指向の強かった“RPG”をゲームの代表的ジャンルへと
一気に飛躍させ、後のRPGブームの先駆けともなった。

ライセンス提供によって本作の世界観を利用した
派生作品も他社から発売されている。
アドル・クリスティン

アドル・クリスティン

本作の主人公。

後の世に語り継がれた稀代の冒険家。
燃え立つような赤毛が特徴。
PC‐88で発売された、イースシリーズ 第1作『イース Ancient Ys Vanished Omen』
同じくPC‐88で発売された、第2作目『イースII Ancient Ys Vanished The Final Chapter』

両作品が1つになったのが、PCエンジン版【イースⅠ・Ⅱ】となります。

PCエンジン版 【イースⅠ・Ⅱ】

これまではそれぞれ別個に移植されていた2作品を
CD-ROMの容量を活かし初めて1本にまとめたもの。

PCE版は2作品を繋ぎ合わせ
『I・II』という1つの作品として仕上げている点が大きく異なる。

グラフィックスは当時日本ファルコムを退社した直後だった山根ともおを
起用しているため、オリジナルと同様の味わいをそのままに
512色発色の特性を活かし更にブラッシュアップされている。

また、シナリオについてはパソコン版や後の公式版イースの続編と
食い違う部分もあるが、こちらは開発者の岩崎が
イースのオリジナルスタッフからインタビューを重ね再構成したものであり
オリジナルスタッフのイースのシナリオや世界観に
より忠実なものとなっている。
「Ⅰ」と「Ⅱ」

「Ⅰ」と「Ⅱ」

片方だけではストーリーの理解が
不可能だった両作品を
1つの作品としてまとめ上げた本作。
PCエンジン版である「イースⅠ・Ⅱ」最大の特徴は

物語の前後編となる、それぞれ独立した作品だった「Ⅰ」と「Ⅱ」を
ただのセットにすることなく「1つの作品」として、まとめ直している点です。

別々ではなく、1つの作品として完成させているので
「Ⅱから始めてⅠをプレイする」といったことは出来ません。

プレイする中でⅠからⅡへと自然に流れていく内容。
一部のイベント時にキャラクターのアップグラフィックが表示され、
音声もついた。BGM は米光亮によって、シンセサイザーや
サンプラーを用いた打ち込みによるデジタルサウンドへと
アレンジされCD音源で収録されている。
主要キャラの台詞の一部は、肉声による演出となっています。
また、アップグラフィック(顔グラフィック)も追加。
フィーナ

フィーナ

(CV:渡辺菜生子)

Ⅰのヒロイン。
記憶を失っており
自分の名前以外は覚えていない。

作中語られることは少ないですが
イースⅠ・Ⅱは
アドルとフィーナの悲恋の
物語でもあります。

まずはオープニングでも

こちらがPCエンジン版「イースⅠ・Ⅱ」のオープニング動画。

PCエンジン 「イースⅠ・Ⅱ」 イースⅠ OP - YouTube

from Ys I & II for the PC Engine Opening for Ys I

ゲームバランスの大幅修正

2作品を繋げ、1作目の最初から2作目の終盤までレベルが
上がり続けるようにとのバランス調整は、たとえクリアまで
等間隔でレベルが上がり、クリア直前に最高レベルに達するゲームを
2本繋げるだけでも大きな変更を伴うが、イースの場合はさらに『I』が
ゲーム中盤で最高レベルに達する仕様であったためにより複雑であり、
武器によるステータス補正、敵の強さ等を考えると、
ゲームバランスにおいてはほとんど原形をとどめていない。
バランスは別物に

バランスは別物に

元々独立した作品だった
ⅠとⅡを繋ぎ合わせるには
バランス修正は必要なことでした。
イースシリーズの移植は数多く行われているが、
PCE版はイースシリーズのみならずRPGゲーム全体において、
とりわけ異色なリメイク・移植であった。

しかしイースIとIIは完全にストーリーが繋がっているだけでなく、
ドラゴンクエストシリーズのIからIIIなどとは異なり、
『ストーリーは繋がっているが各作品の間に時間の隔たりがある』
わけでもないため、イースIIではIをプレイしていないと
全く意味がわからないイベント、Iで出てくるキャラクターが
クライマックスで多く出てくるなどがあるため、ストーリー的に
「IIのみをプレイするデメリット」が非常に大きい。
違和感なく繋がるストーリー

違和感なく繋がるストーリー

Ⅰをクリアすることで、そのまま
自然な流れでⅡへ移行します。
本作はIとIIの間のイベントも工夫し、
ストーリーが非常にわかりやすくなっている。

ゲーム性も昔のパソコンやファミコンなどに比べ、大幅に容量に
余裕ができたため、敵と味方の強さの段階が細かく設定され
1本のゲームとしてのゲームバランスも綺麗にまとまっている。
最高レベルでなくとも十分にクリアできる様になっている。

レベルの上限が高いため手間がかかるが、苦戦してもレベルを上げて
対処することが可能なためにアクションRPGにありがちな
「アクションが苦手でクリアできない」ということを回避することもできる。
尚、「イースI」の時点で最高レベルまで上げることも不可能ではない。

ちなみにPCエンジン版では『I』においても敵味方のレベル差が
獲得経験値に影響を与えるようになっている。
これは経験値を2作通しで最高65535にするための策であったが、
最終的にはそれでもバランス調整で難があったため
経験値の上限を99999としている。
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