【ブライアント】シーズン204三振!本塁打王と打点王も同時に達成!三振王は強打者の証?
2023年2月25日 更新

【ブライアント】シーズン204三振!本塁打王と打点王も同時に達成!三振王は強打者の証?

三振かホームラン。ハズレかアタリ。でも、当たればでかい!いつの時代も、そんな大味な打者がいました。その典型ともいえる選手がラルフ・ブライアント。シーズン204三振は歴代最多記録で、しかも同じ年に、本塁打王、打点王の二冠を達成しています。正に怪物。そんなブライアントの当時の記録を振り返ります。

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近鉄リーグ優勝の立役者

1990年前後の近鉄バファローズは、名将・仰木彬監督の采配で、毎年優勝争いに加わる強豪チームでした。実際、仰木監督が率いた1988〜1992年は、すべてAクラス。その中でリーグ優勝を果たした年が、1989年でした。その優勝に最も貢献した選手が、近鉄歴代最強の助っ人ラルフ・ブライアントです。

それを象徴する試合が、10月12日、西武とのダブルヘッダー。この時点では西武が首位でしたが、ブライアントは神がかり的な活躍で、4本塁打7打点と西武の投手陣を粉砕。試合は6対5、14対4と2連勝し、後日リーグ優勝を果たしています。最終的には、1位近鉄から3位西武まで0.5ゲームの超僅差で、史上稀に見る大混戦のシーズンでした。

この年、オリックスのブーマーが首位打者、打点王の二冠を獲得しますが、本塁打王はブライアントが獲得し、ブーマーの三冠を阻止しています。しかも、49本塁打は2位のブーマーを圧倒する9本差。むしろ打点の方が僅差で、ブーマーにわずか3点およばず、二冠を獲れそうな勢いでした。

実はこの年、同時にリーグ最多を記録した成績があと3つあります。塁打数の310塁打長打率の.628、そして、三振数の187三振です。自己最多の140安打を記録した年でもありますが、その数値を大きく上回ったのが三振でした。

1989.10.12 パリーグ天王山 ブライアント奇跡の4連発(その1)

シーズン三振数の歴代トップ10は・・・

では、ブライアントだけでなく、シーズン三振数の歴代トップ10を見てみましょう。
順位 選手名 所属 三振数 年度 試合数
1 ブライアント 近鉄 204 1993 127
2 ブライアント 近鉄 198 1990 108
3 ブライアント 近鉄 187 1989 129
4 村上 宗隆 ヤクルト 184 2019 143
5 ブライアント 近鉄 176 1992 119
6 岩村 明憲 ヤクルト 173 2004 138
6 佐藤 輝明 阪神 173 2021 126
8 中村 剛也 西武 172 2015 139
9 エルドレッド 広島 169 2014 118
10 ゴメス 阪神 166 2014 143
なんと、ブライアントがトップ3を独占!しかも、ヤクルトの村上が2019年に184三振を記録するまでは、20年以上もの間、トップ4を独占していたことになります。

達成年度を見ると、1989年、1990年、1992年、1993年とほぼ連続で、1991年が途切れているのは、シーズン途中で右膝半月板を損傷し、手術でアメリカに帰国したためです。それでも、1991年はわずか63試合の出場ながらリーグ3位の100三振を記録しています。また、1994年にもシーズン最多三振を記録しており、日本プロ野球在籍8年で5度のシーズン最多三振を達成しました。

歴代最多のシーズン204三振!

1993年に達成した、歴代最多のシーズン204三振。どれほどすごい記録なのか、実際の数字を見てみましょう。

この年のブライアントのシーズン記録は次の通りです。

127試合 550打席 497打数 125安打 打率 .252
42本塁打 273塁打 107打点 83得点 長打率 .549
46四球 5死球 204三振 出塁率 .320 OPS .869

太字がリーグ最多記録、赤字が歴代最多記録です。

やはり、安打数を凌駕する三振数が目立ちます。497打席のうち204三振。三振率に直すと.410で、10回に4回以上は三振したことになります。

さらに驚くのは、シーズン三振数が歴代最多にもかかわらず、同時に、本塁打王と打点王の二冠も獲得していることです。しかも、本塁打に至っては、125安打中42本塁打で、ヒットの3分の1以上が本塁打という計算になります。塁打や長打率でもリーグ最多を記録したのは、本塁打率の高さに依るところが大きいでしょう。

【伝説の助っ人】ラルフ・ブライアント★THE GREATEST

正に三振かホームラン

「三振かホームラン」と言われた外国人選手といえば、広島にいたランスや、近鉄などで活躍したタフィ・ローズなどがいますが、その形容が最も似合う選手こそラルフ・ブライアントでしょう。それもそのはず。シーズン記録だけでなく、通算記録でも他を圧倒しています。

特に高いのが、三振率と本塁打率

通算成績は、

773試合 3335打席 2980打数 778安打 打率 .261
259本塁打 1693塁打 641打点 512得点 長打率 .568
311四球 31死球 1186三振 出塁率 .336 OPS .904

そして、三振率(= 三振数 / 打数)本塁打率(打数 / 本塁打数)を計算すると、

三振率 .398
本塁打率 11.5


三振率のほぼ4割は無論ですが、本塁打率の高さも驚異的です。ホームランバッターの本塁打率を見ると、歴代最高が王貞治の10.66、ホームランアーティストの田淵幸一が12.41、シーズン最多本塁打の日本記録保持者ウラディミール・バレンティンが12.49、松井秀喜が13.77、落合博満が14.95です。これらと比較して、ブライアントの11.5がいかに高いかは自明でしょう。

これからも、プロ野球観戦が楽しくなる、ブライアントのような選手の登場に期待したいところです。

ラルフ・ブライアント ホームラン集

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