『ガンプラり歩き旅』その59 ~イデオン編・7 歴代1/600 イデオン総登場!~
2021年6月22日 更新

『ガンプラり歩き旅』その59 ~イデオン編・7 歴代1/600 イデオン総登場!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。 今回は全8回で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、『機動戦士ガンダム』(1979年)の日本サンライズ・富野由悠季監督の次作品『伝説巨神イデオン』(1980年)のアオシマ製プラモデル群から、現代に至るまでのイデオンフィギュアを、追いかけてみたいと思います!

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アオシマ版ソル・コンバー、後輪収容状態

アオシマ版ソル・コンバー、後輪収容状態

アオシマ版の場合、この状態から脚を半回転させて膝を伸ばせば、そのままイデオンの下半身になるのだが、今はとりあえず、イデオ・バスタに変形させるプロセスを追うことにする。
一方のバンダイ版は。
イデオ・バスタへの変形に向けて、外すべきパーツを外した...

イデオ・バスタへの変形に向けて、外すべきパーツを外したバンダイ版

バンダイ版があえて機首を差し替えで再現したこと自体は賢明な判断であっただろう。
しかも、アオシマ版のような「機種の追加」にとどまらず、アニメ設定では前転変形する腰前部パーツも、一括で差し替えにすることで、イデオ・バスタ時のスタイルが、ぐっとアニメ版に近い完成形を得ることが出来た。
惜しむらくは、後述する「差し替えのカナード翼」だが、逆に悩まされるのは、前方2輪、後方4輪で構成された6輪の車輪パーツを、完全な独立外付けパーツとして、左右1個ずつにまとめてしまった大味さであろう。
アオシマ版イデオ・バスタ用パーツ

アオシマ版イデオ・バスタ用パーツ

バンダイ版イデオ・バスタ用パーツ

バンダイ版イデオ・バスタ用パーツ

差し替えパーツをパッと見ただけだと、両者にそれほどの構造的違いは見受けられないが、脚の伸縮方法など、アオシマ版とはまったく異なった差し替え変形を行ってイデオ・バスタになる。
アニメ設定のイデオ・バスタ

アニメ設定のイデオ・バスタ

アオシマ版イデオ・バスタ

アオシマ版イデオ・バスタ

バンダイ版イデオ・バスタ

バンダイ版イデオ・バスタ

実はアオシマ版のイデオ・バスタは、機首部分のディテール、具体的にはコクピットウィンドウのモールドが明らかに間違っているのだが(アニメ設定では左右2窓だが、アオシマ版は上下左右で4窓がモールドされている)、ここはとりあえず、今回は塗装で誤魔化した。
両者を並べた写真

両者を並べた写真

こうして並べた時に、バンダイ版の方がアニメ設定により近くてリアルなのは当たり前で、むしろ差し替えとはいえ、この超絶トンデモ変形メカを、37年前のアオシマの技術でここまで再現した功績は、かように比較することで、より明確になってくる。
37年の歳月と、ガンプラで技術と経験値を蓄積し続けてきたはずのバンダイという前提で検証してみると、実はアオシマ版もバンダイ版も、イデオ・バスタの主翼の塗り分け、もしくはそのためのモールドが、アニメ設定とはかけ離れているという点ではどっちもどっちなのが、また趣深い。
今回は、どちらもモールド無視で、必死にマスキングでアニメ塗り分けを再現したが、バンダイはたまに、こういうところで画竜点睛を欠くので油断ができない(笑)
伝説の巨神の力、復活の時!

伝説の巨神の力、復活の時!

そして、連結する形で3つのメカが合体してイデオンになるのだが。
完成したイデオン。左がアオシマ版、右がバンダイ版

完成したイデオン。左がアオシマ版、右がバンダイ版

こうして完成形を比較してみた時、アオシマ版が、赤いプラ素材で構成されているにも拘わらず、最新のバンダイ版よりも重厚に屹立している巨神のイメージを保っていることが分かる。
確かにアニメ設定や作画と比較すると、アオシマ版はプロポーション的に、腕部が大きく長く(しかし拳だけは小さく)、脚部(特に腿)が短いという欠点は目立ってしまう。
バンダイ版を使用した再現の一幕。腕から無限ミサイル発射!

バンダイ版を使用した再現の一幕。腕から無限ミサイル発射!

しかし、何度も同じことの繰り返しになってしまうが、考えてもみてほしい。
3機のメカの、3段変形と合体、そしてロボット。
いかにロボットアニメ全盛期の80年代とはいえ、当時の模型技術でこの複雑怪奇な立体パズルを、差し替えやパーツ交換を多用しながらも、80年代初頭の技術で、3種3機のスタイルとロボット形態を、それなりに設定画に似せて再現できた時点で、同時期のバンダイのガンプラと同等か、それ以上の熱意と努力を、アオシマ版からは感じられる。

それはある意味で、アオシマ版から35年以上の時を経てなお、ガンプラ最前線のバンダイが改めて挑んだときでも、イデオンのこの3機3種変形合体を成立させるには、差し替えとパーツ交換を(ある意味アオシマ版よりも多く)取り入れなければ商品が成立しなかったという現実を踏まえても理解できる。
その上で、時代と技術。確かに全ての点で、バンダイ版はアオシマ版よりも優れていることは認める。
各形態メカ時のシルエットやディテール、パーツの色分けやモールド、イデオン時の可動やプロポーション、確かにどれをとっても、バンダイ版は究極の出来とも言える。
贔屓目に何を正当化しても、それらの要素で35年以上前のアオシマ版が勝てる要素は一つもない。
しかし、ここまでの連載で皆さんもお分かりのように、当時のアオシマは児童向け模型から一転してイデプラに向かった時に、むしろバンダイよりも愚直なまでに、アニメの中のイデオンや各メカの再現に拘っていた。
そして、現代のバンダイがばっさり切り捨てた部分においては、かつてアオシマが拘って再現していたギミックが、淘汰されてしまった部分も少なくないのだ。

ここからは少し、「バンダイ版が切り捨てて、アオシマ版では活かされていたギミック」を挙げていこう。

まず一つ目は「イデオンの角の伸縮ギミック」である。
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  • 通りすがり 2020/10/13 20:26

    >「腹部に当たるボディが、ソル・バニア時に左右にスライドして広がる」プロセスをオミットしている。

    イデオノバ時に、ですよね。

    あと、アオシマ版はオミットした、というより、この変形に気付いていなかった可能性が高いと思います。作中でもこの変形が明確に分かる描写があるかは微妙で、設定資料や、ノバの方が全長が短い事に着目しないと分からないでしょう。
    超合金魂も、wikipediaに「全長が縮む」云々が記述される前の発売だったからこの変形について無考慮だったのはないかな、と。

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