【マイル戦全勝の女王】フーちゃんの愛称で親しまれたノースフライト
2022年6月5日 更新

【マイル戦全勝の女王】フーちゃんの愛称で親しまれたノースフライト

生涯成績11戦8勝、2着2回。マイル戦5戦全勝。GIマイル春秋連覇。コースレコード2度記録。これだけの実績がありながら、その後語られることの少ない名牝がいます。その名はノースフライト。愛称はフーちゃん。かつて "マイルの女王" と呼ばれ、わずか1年半の競走馬生活を一気に駆け抜けた、彼女の足跡をたどります。

1,020 view

最強マイラー有終の美

迎えたラストレース、マイルチャンピオンシップ(GI)。ノースフライトは、単勝1.7倍の1番人気に支持されました。2番人気はもちろん、ライバルのサクラバクシンオーです。
レースは、先行するサクラバクシンオーの後ろに、ノースフライトがピッタリ付く展開。ライバルをしっかりマークします。4コーナーでサクラバクシンオーが先頭に出ると、これを追走。最後の直線では、2頭が抜け出し一騎打ちの様相を見せますが、最後はノースフライトが交わし、1馬身半差を付けての勝利。鮮やかな "ラストフライト" でした。

1994年 マイルチャンピオンシップ(GⅠ) | ノースフライト | JRA公式

走破タイム1分33秒0。
京都競馬場の従来の記録を0秒3も更新する、当時としては驚異的なコースレコードです。

これで、安田記念、マイルチャンピオンシップと、同一年度の春秋マイルレースを連覇し、1985年のニホンピロウイナー以来の快挙を果たしました。
最強のまま、惜しまれつつ引退。
サクラバクシンオーを管理する境勝太郎調教師の、レース後のコメントが印象的です。
6歳秋、この馬と戦ったバクシンオーは1400メートルのスワンステークスでは勝ち、1600メートルのマイルチャンピオンシップでは負けた。これは距離適性の差ではない。ノースフライトの状態が完全だったかどうかで結果が決まった、ということだ。あの馬が完調で出てきたら、たとえ1200メートルでもバクシンオーが勝てたかどうか。

引退後

引退後は、翌1995年から繁殖牝馬となりました。あいにく目立った活躍馬は出なかったものの、サンデーサイレンスとの子ミスキャストが、後に種牡馬となり、天皇賞馬ビートブラックを輩出しました。

2011年で繁殖を引退。功労馬として余生を過ごし、2018年1月22日、28歳でその生涯を閉じました。

語り継いでいきたい最強マイラー

生涯成績11戦8勝、2着2回。マイル戦は5戦全勝、コースレコードを2度記録。しかも、GI競走の2レースは、いずれも1馬身超の差をつける完勝でした。

エリザベス女王杯2着で注目を集めてから、引退レースまでわずか1年。これだけの活躍をしながら、最強マイラーとしてあまり名前が挙がってこないのは、レース同様、競走馬としてのキャリアをあまりにも速く駆け抜けてしまったからなのかもしれません。

ノースフライトは、いや、フーちゃんは、ずっと語り継いでいきたい最強のマイラーです。
32 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

【逆三冠馬!?】ナリタブライアン三冠の裏の記録がすごかった!サムソンビッグ

【逆三冠馬!?】ナリタブライアン三冠の裏の記録がすごかった!サムソンビッグ

ナリタブライアンのクラシック三冠で盛り上がった1994年。実はその裏で、逆三冠馬(最下位の三冠馬)になれそうだった競走馬がいたことはあまり知られていません。皐月賞ブービー、ダービー最下位、菊花賞最下位。最低人気で重賞を勝ってしまったこともある競走馬。その馬こそサムソンビッグです。
izaiza347 | 693 view
【小さな逃亡者】この馬が出るとレースが面白くなる!人気の大逃げ馬!ツインターボ

【小さな逃亡者】この馬が出るとレースが面白くなる!人気の大逃げ馬!ツインターボ

レースを必ず面白くしてくれるのが大逃げ馬。10馬身以上も差がつくと、後半必ずバテるだろうと思いつつも、いつもハラハラドキドキしてしまうのが常です。その代表格がツインターボ。4コーナーで失速して惨敗はお約束。しかし、重賞を3勝した実績もあります。そんな個性的アイドルホースの足跡を振り返ります。
izaiza347 | 234 view
【JC優勝】去勢して才能が開花!騸馬として初めてGIを勝ったレガシーワールド

【JC優勝】去勢して才能が開花!騸馬として初めてGIを勝ったレガシーワールド

レガシーワールドは、騸馬(せんば)として初めてGIレースを勝った競走馬です。デビュー当初こそ勝てなかったものの、去勢してからは高い競走能力を発揮し、ついにはジャパンカップを勝利しました。同期で同厩のミホノブルボンがクラシック路線を進む中、独自路線で強さを見せたレガシー。そんな実力馬の足跡を振り返ります。
izaiza347 | 189 view
【東京5戦5勝】実は安定して強かったプレクラスニーと江田照男の名コンビ

【東京5戦5勝】実は安定して強かったプレクラスニーと江田照男の名コンビ

メジロマックイーンが降着した時の天皇賞馬、として語られることの多いプレクラスニー。実は、15戦7勝、2着3回、東京コース5戦5勝、GI、GII、GIII各1勝ずつと、安定感抜群の強い馬でした。江田照男が主戦騎手になってからは、特に力を発揮しています。そんな実力馬の足跡を振り返ります。
izaiza347 | 264 view
【GII3勝】最強の兄弟馬にも先着した実力馬マチカネタンホイザ

【GII3勝】最強の兄弟馬にも先着した実力馬マチカネタンホイザ

重賞4勝、うちGII3勝。GIでは一度も連に絡めなかったものの、7度の掲示板を記録。善戦ホースのイメージが強いマチカネタンホイザですが、実は、あのビワハヤヒデ、ナリタブライアン兄弟の両方に先着した、唯一の馬でもあります。そんな実力馬の足跡をたどります。
izaiza347 | 314 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト