【決勝戦より松坂を苦しめた】1998年夏の甲子園【PL学園対横浜】
2017年8月8日 更新

【決勝戦より松坂を苦しめた】1998年夏の甲子園【PL学園対横浜】

「平成の怪物」と呼ばれた横浜高校の松坂大輔投手。1998年の夏、優勝の栄冠に輝きますが、決勝よりも松坂を苦しめた試合がありました。打倒、松坂に燃えたPL学園の闘志をご紹介したいと思います。

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4番・松坂の苦悩。

ヘロヘロの松坂でしたが、やはり怪物の怪物たる由縁。
猛練習の成果で、延長戦になってからむしろ球威はアップしていました。
そして、4番バッターとしての役割も果たします。
3打席連続ヒット。スコアリングポジションに駒を進めます。
しかし、これがさらに松坂を疲弊させます。
マウンドでは全力投球。打席ではランナーとしてダイヤモンドを駆け抜けるも、あと1本に泣き残塁。
そしてすぐさま次のマウンドへ。
まさに休む間もない松坂。

16回表に横浜1点勝ち越すも、裏でPLにまた追いつかれる。

両チームヘロヘロの中、試合は16回へ。
表に横浜はポテンヒットを皮切りに、1点を松坂にプレゼント。
勝ち越します。
しかしその時の松坂の表情は、もはや喜ぶことさえ忘れてしまったような表情でした。
そして、その裏、PLは松坂のワイルドピッチによりランナーを進め、決死のホームインで同点に追いつきます。
16回を終わって同点。
18回まで同点だと、引き分け再試合になります。
後に松坂は、13回あたりから再試合を意識した、と語っています。
16回裏PL 果敢な走塁で同点へ。

16回裏PL 果敢な走塁で同点へ。

1点取れば1点取り返すきれいな並びのスコアボード

1点取れば1点取り返すきれいな並びのスコアボード

17回。

17回表、横浜の攻撃は4番、松坂から。しかしキャッチャーフライに倒れます。この時点で情報が入り、このまま18回まで同点なら、翌日13:00から再試合とのこと。
多くの人が再試合を予測したことでしょう。
続く5番小山も大きな当たりをレフトがナイスキャッチ。2アウト。
そして続く6番・柴。ショートゴロに倒れます・・・と、悪送球でセーフに。

「一緒に甲子園を目指そう」と言った親友の一振り。

7番、常盤。
チームのムードが引き分け再試合に傾きかけた頃、常盤は松坂に「絶対勝つからな。俺が打つ」と声をかけました。
常盤は松坂の親友で、「一緒に甲子園を目指そう」と松坂を誘った人物です。

そして常盤はその宣言通り、ホームランを打ちます。
スタンドへ入る常盤の打球

スタンドへ入る常盤の打球

涙(らしきもの)をぬぐう松坂。

17回裏の登板 涙(?)をぬぐう松坂。

17回裏の登板 涙(?)をぬぐう松坂。

そして、17回裏、親友の援護射撃で2点のリードをもらって登板する松坂。
本人は「汗だ」と言うこの何かをぬぐうシーン、おそらく、親友への感謝の涙でしょう。
最後のバッター 見逃し三振。

最後のバッター 見逃し三振。

17回裏のPLの反撃を抑え、最後のバッターを見逃し三振に打ち取り、3時間37分の死闘は幕を閉じました。

試合終了後のマスコミのインタビューにも、松坂は「もう明日は投げられません」と答えています。
横浜の応援団に礼をするPLの選手たち。

横浜の応援団に礼をするPLの選手たち。

選手と一体となって応援してくれた敵側の横浜応援団の前で礼をするPLの選手たち。

よく、「高校野球は教育の一環」などとも言われますが、負けはしたが、ベストを尽くしきった。
ベストを尽くすためには、相手が必要。相手の存在、そしてそれに対しての感謝もあったのでしょう。
選手自身の教育のみならず、それを見ているテレビの前の人たちにさえ、このシーンは「教育」的な意味を持ったのではないでしょうか。

準決勝は大逆転、決勝戦はノーヒットノーラン。

翌日の準決勝は、松坂は疲労のため登板を回避します。
しかし、明徳義塾高校相手に0-6と大量リードされます。
横浜はその後、徐々に点を返し、9回は松坂が登板をして、その裏に大逆転、7-6で決勝に進出します。
決勝戦のドラマチックな展開は、良い記事がありますので、ぜひそちらをご覧ください。
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