20世紀最後の大スター「オグリキャップ」地方でも中央でも燦燦と輝いた芦毛の怪物!!
2016年11月25日 更新

20世紀最後の大スター「オグリキャップ」地方でも中央でも燦燦と輝いた芦毛の怪物!!

地方での圧倒的強さをもって中央へ飛躍。ハイセイコー以来の超人気馬として競馬界に君臨し、熱狂的な競馬ブームを巻き起こしたサラブレッド、「オグリキャップ」を振り返る

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芦毛頂上決戦

中央入り後、負け無しの6連勝。しかもすべて重賞勝ちという圧倒的強さを誇るオグリキャップの前に、大きな大きな壁が現れます。
同じ芦毛の「白い稲妻・タマモクロス」です。
この年、他の古馬たちをことごとく破り、天皇賞(春)、宝塚記念等々、重賞5連勝中の古馬最強馬です。乗り越えるにはあまりにも高い壁です。
「芦毛の怪物」対「白い稲妻」の激突が始まります。

天皇賞(秋) 東京芝2000m 10月30日

対決第1戦目はオグリキャップが1番人気、2番はやはりタマモクロス。タマモクロスが休み明け初戦ということもあり、2番人気となりましたが、実力は伯仲。しかも相手は史上初の春秋連覇を狙っています。今まで以上に力の入る1戦となりました。

レジェンドテイオーが先頭でレースを引っ張り、タマモクロスは2番手、オグリキャップは中団後方につけます。
ラスト200m付近でタマモクロスが先頭に、オグリキャップは大外から猛然と突っ込んできます。が、追いつけない。1馬身の差をつけられて2着でゴール。
第1戦はタマモクロスに軍配があがりました。

第8回ジャパンカップ 東京芝2400m 11月27日

対決第2戦目となったのは、外国馬を招いての国際レース。
1番人気はタマモクロス。2番人気は凱旋門賞馬トニービーン(イタリア)。
オグリキャップは3番人気となりました。

オグリキャップは先行集団。タマモクロスは後方待機。3コーナー付近からタマモクロスが大外を回り前方に出ます。オグリキャップは一旦下がってしまいました。直線に入るとタマモクロスとペイザバトラー(米国)が先頭争いをしますが、ペイザバトラーは大きく内側にヨレてそのままトップに出ます。大外からオグリキャップが突っ込んでくる。ゴールまでの300mの壮絶な叩き合いを制したのはペイザバトラーでした。2着にはタマモクロス。オグリキャップは3着となりました。
またもタマモクロスに敗れたオグリキャップ。しかも、2戦とも並ぶことさえできませんでした。白い稲妻「タマモクロス」は大きな壁となってオグリキャップの前に立ちはだかったのでした。しかし、このレースは終盤のコーナーで不可解なことがあったのです。河内騎手は先行集団からオグリキャップを一旦さげたのでした。あれがなければもしかしたら、という陣営の思いが募るのもうなづける騎乗でした。
このままでは終われない陣営は、次走「有馬記念」に雪辱を期すことになります。

第33回有馬記念 中山芝2500m 12月25日

1番人気はタマモクロス。オグリキャップは2番人気。鞍上は河内騎手から岡部騎手に変更となりました。タマモクロスはこのレースを最後に引退を表明しており、頂上決戦はこれが最終戦となります。2戦2敗のオグリ。一矢報いることができるでしょうか!?

タマモクロスは最後方、オグリキャップは先行集団の後につけました。
3コーナー付近からタマモクロスが上がってくる。直線で前を行くオグリキャップに並び残り200mは2頭の壮絶な叩き合いとなりました。ジワジワと前に出るオグリキャップ。差し切れないタマモクロス。半馬身差をつけてオグリキャップが1着でゴール!!
3度目の正直、そして最後の頂上決戦を見事制したオグリキャップは、グランプリ馬という栄冠をも手にしたのでした。
名実ともに最強馬になった瞬間でした。

戦線離脱

1989年5歳となるオグリキャップは、天皇賞(春)に合わせローテーションを組みましたが、2月・4月と立て続けに脚部故障を起こし戦線離脱。9か月もの間、療養調整を余儀なくされることになります。しかも、馬主の佐橋五十雄氏が脱税容疑となり、中央での馬主資格剥奪。新たなオーナーとして近藤俊典氏がなったのでした。佐橋氏は以前「競馬はビジネスだ」という発言をしていたこともあり、「あんな人間のために走らされていたなんて」という同情論も巻き起こりました。後日、売却額は5億5千万と明かされますが、この莫大な金額がのちのちオグリキャップにのしかかってくることになるのでした。

新たな戦い「平成3強」

休み明けの初戦は、9月17日オールカマー(中山)。
人間社会の身勝手なゴタゴタに振り回されているオグリキャップに、待望と同情と期待と様々な思いを持ったファンが中山競馬場に集結しました。そして、鞍上は南井騎手に変更となっていました。あの、白い稲妻タマモクロスの主戦騎手です。このこともあり、オグリキャップは単勝1.4倍というダントツの1番人気で推されたのです。そして、レースは見事1着でゴール!期待に答えたのでした。

毎日王冠 東京芝1800m 10月8日

前走からわずか3週間での出走となりました。
そして、後に「平成3強」(オグリキャップ・スーパークリーク・イナリワン)と呼ばれるうちの1頭、イナリワンが待ち構えていました。

オグリキャップは後ろから3頭目。イナリワンはオグリをマークするようにすぐ後ろにつけます。オグリキャップが4コーナーを大外から上がってくると、スタンドから大歓声があがります。残り200mからの先行6頭の壮絶な叩き合い。ゴール前、オグリキャップとイナリワンが抜け出し2頭並んでゴールイン。写真判定の結果、ハナの差でオグリキャップが1着。史上初の連覇となりました。
この激戦はこの年の「ベストマッチ」に選ばれことになるのでした。
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