高評価と低評価、2枚のアルバムからみるラモーンズ
2016年7月11日 更新

高評価と低評価、2枚のアルバムからみるラモーンズ

パンクの歴史的名盤と言われるラモーンズのファーストアルバムとラモーンズの問題作とも失敗作とも言われる「エンド・オブ・ザ・センチュリー」。ビートルズとのエピソードを交えながらご紹介します。

22,132 view

ラモーンズ

ラモーンズは、1974年に結成し1996年に解散するまでに14枚のスタジオアルバムを残したアメリカを代表する4人組パンクバンドです。

メンバーになると皆ラモーン (Ramone) の姓を名乗るというユニークなバンド・コンセプトを持っています。
その由来は、ビートルズの前身であるシルヴァー・ビートルズ時代にポール・マッカートニーが「Paul Ramon」と名乗っていたのですが、これに因んでいるとのことです。
Ramones

Ramones

ニューヨークのアンダーグランドシーンから発生した彼らのプリミティヴなロック・サウンドは、テクニックばかりが重視されがちだった70年代のアメリカの音楽シーンに新鮮なショックを与えるとともにロックンロールが持つ本質的な魅力を取り戻すことになる。初めて聴いた人にはすべて同じに思える超シンプルなエイト・ビート・サウンド、異様な興奮を呼び起こすポップ・メロ、まるでアメリカン・コミックから飛び出てきたようなメンバーのキャラ。音楽性に対する評価より、そのあまりにもキャッチーな存在自体が愛されたラモーンズの歴史は、ここから始まった。(森 朋之)
Joey Ramone

Joey Ramone

Vocal
Johnny Ramone

Johnny Ramone

Guitar
Dee Dee Ramone

Dee Dee Ramone

Bass
Tommy Ramone

Tommy Ramone

Drums

ラモーンズの激情

Ramones

Ramones

1976年4月23日リリース
歴史に残る名盤。少なくとも、パンクの歴史を作った名盤といってよいでしょう。
とはいえ商業的には当時はまったくヒットしませんでした。
リリースから38年の年月をかけて、2014年4月30日にゴールドディスクに認定されています。
衝撃のデビューアルバム メンバー全員がラモーンを名乗りライダース・ジャケットにボロボロジーンズ姿でとかくテクニックに走りがちで一曲を演奏するのに十数分かかり、アルバム一枚に8曲程度しか収録されていないような時代に1曲全て3分以内で全て3コードで演奏、全てダウンピッキングで演奏、全て8ビート、ギターソロは一切なし、したとしてもチョーキングで少し弾くだけとおよそロックを演奏するにあたり必要最小限のテクニックとスピードだけでロック界に勝負を賭けた一枚、しかも14曲も収録されていてとてもお買い得です。HEY! HO! LETS GO!と始まる「Blitzkrieg Bop 」の掛け声はビートルズの1・2・3・4で始まるI SAW HER STANDING THEREと通じるものがあり新時代の幕開けを感じさせビートルズ同様、こんな音楽がしたかった、これなら俺にも出来るとバンドを始めた人も多いのでは? 以降ラモーンズはこのスタイルを20年以上貫き通す
Ramones

Ramones

それにしてもラモーンズはモノクロ写真がよく似合いますね。
【ラモーンズの激情 収録曲】
1.ブリッツクリーグ・バップ - "Blitzkrieg Bop" (Tommy Ramone, Dee Dee Ramone) - 2:13
2.ビート・オン・ザ・ブラット - "Beat on the Brat" (Joey Ramone) - 2:32
3.ジュディ・イズ・ア・パンク - "Judy Is a Punk" (Joey Ramone) - 1:32
4.アイ・ウォナ・ビー・ユア・ボーイフレンド - "I Wanna Be Your Boyfriend" (Tommy Ramone) - 2:24
5.チェイン・ソウ - "Chain Saw" (Joey Ramone) - 1:56
6.スニッフ・サム・グルー - "Now I Wanna Sniff Some Glue" - 1:36
7.ダウン・トゥ・ザ・ベイスメント - "I Don't Wanna Go Down to the Basement" (Dee Dee Ramone, Johnny Ramone) - 2:40
8.ラウドマウス - "Loudmouth" (Dee Dee Ramone, Johnny Ramone) - 2:15
9.ハヴァナ・アフェアー - "Havana Affair" (Dee Dee Ramone, Johnny Ramone) - 1:57
10.リッスン・トゥ・マイ・ハート - "Listen to My Heart" - 1:58
11.53rd & 3rd - "53rd & 3rd" - 2:21
12.レッツ・ダンス - "Let's Dance" (Jim Lee) - 1:52
13.ウォーク・アラウンド・ウィズ・ユー - "I Don't Wanna Walk Around with You" - 1:43
14.トゥモロウ・ザ・ワールド - "Today Your Love, Tomorrow the World" - 2:17

14曲入っていますが、2枚組ではありません。当時1枚のレコードで14曲入りというのは珍しかった。というよりもなかったと思います。
1曲の収録時間が1~2分台ですから、そりゃ14曲収まるわけですね。

The Ramones - It's Alive (1977) - Blitzkrieg Bop

From the legendary concert, December 31st, 1977; Rainbow Theatre, London.
デビュー曲の「ブリッツクリーグ・バップ」です。
最近は洋楽のタイトルを原曲どおりに表記するようになっていますが、日本での発売当時は「電撃バップ」でした。
こちらの方が味があっていいですけどね。
Blitzkrieg Bop

Blitzkrieg Bop

日本版シングル
「アイ・ウォナ・ビー・ユア・ボーイフレンド 」もシングルになりましたが、デビュー曲同様ヒットはしませんでした。パンクとはいえ、とてもポップで聞きやすい曲ですけどね。

Ramones - I Wanna Be Your Boyfriend (1980)

Ramones live in Paris 1980.
本作は、1976年2月にわずか7日間でレコーディングを行ったということで、制作費はたったの6400ドルだったそうです。

驚くのは当初アルバム・ジャケットをビートルズの「ミート・ザ・ビートルズ」のアルバム・デザインを模したアイデアが企画され、その製作費に2000ドル使ったとのことです。
全アルバム制作費の3分の1近くをジャケットにつぎ込むなんて!
しかし、残念ながらこの企画は没になり、雑誌に掲載されていた写真を125ドルで買い取って現在のアルバム・ジャケットになっています。
34 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

ビートルズ史上もっとも難産だった「レット・イット・ビー」。結局完成したのは予定とは正反対のものだった!

ビートルズ史上もっとも難産だった「レット・イット・ビー」。結局完成したのは予定とは正反対のものだった!

デビュー当時のようにオーバーダビングを極力行わずシンプルなアルバムを作ろうということで始められたレコーディング。ビートルズ最後のアルバムとなった「レット・イット・ビー」は、極端にオーバーダビングされメンバーの思惑を外れたものとなりました。なぜそんなことになったのか時系列で足跡を辿ります。
obladioblada | 13,362 view
60年代から70年代に異彩を放ったフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンド

60年代から70年代に異彩を放ったフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンド

フィル・スペクターといえばウォール・オブ・サウンドと呼ばれる独特のサウンドを作り上げたことで知られています。その特徴的なサウンドは、多くのミュージシャンを虜にし、フィル・スペクターはビートルズからパンク・バンドまで幅広くプロデュースを手掛けた今や伝説のプロデューサーです!
obladioblada | 8,448 view
映画『ジョン・レノン 失われた週末』×CA4LA!!キャスケットが日本公開同日の5月10日より発売!!

映画『ジョン・レノン 失われた週末』×CA4LA!!キャスケットが日本公開同日の5月10日より発売!!

映画『ジョン・レノン 失われた週末』とのコラボレーションアイテムが、5月10日(金)より発売されます。
懐かしのグッズが大集合!「阪神のレトロ博2024」が開催中!ソフビの祭典「ソフビ・玩具万博」も初開催!!

懐かしのグッズが大集合!「阪神のレトロ博2024」が開催中!ソフビの祭典「ソフビ・玩具万博」も初開催!!

大阪・阪神梅田本店8階催事場にて、中古レコードや懐かしの漫画、映画パンフレットなどの古書、昭和テイストのファッションなどが集合したイベント「阪神のレトロ博2024」が開催中となっています。
隣人速報 | 354 view
「ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実」のブルーレイ&DVD発売が決定!

「ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実」のブルーレイ&DVD発売が決定!

2022年12月より日本全国で劇場公開された『ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実』のブルーレイ&DVDセットの発売が決定いたしました。「ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実」公式サイトでは2023年11月28日(火)より予約受付を開始いたします。

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト